あらすじ
【罪を犯した「本当は良い子」の少年たち。奪われた命が、彼らの真実を浮かび上がらせる。】
重大な罪を犯して少年院で出会った六人。彼らは更生して社会に戻り、二度と会うことはないはずだった。だが、少年Bが密告をしたことで、娘を殺された遺族が少年Aの居場所を見つけ、殺害に至る――。人懐っこくて少年院での日々を「楽しかった」と語る元少年、幼馴染に「根は優しい」と言われる大男、高IQゆえに生きづらいと語るシステムエンジニア、猟奇殺人犯として日常をアップする動画配信者、高級車を乗り回す元オオカミ少年、少年院で一度も言葉を発しなかった青年。かつての少年六人のうち、誰が被害者で、誰が密告者なのか?
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Posted by ブクログ
すごい小説だった。
新川帆立さんの小説は3作目。3分の3で面白い。
元彼の遺言状はちょっとコメディ要素もあったが、ひまわりと本作はとにかく凄い小説だった。
少年に娘を殺された母親が、少年院から出てきた少年を殺すという事件が起きた。殺された少年(かつて少女を殺した少年)を少年A、少年Aの居場所を母親に密告した少年を少年Bとされた。
少年犯罪なので、世間は少年Aですら誰かわからないのである。
裁判を通して少年犯罪の被害者にスポットを当てていく話かと思って読み始めたが、そんな浅いものではなかった。
ライターが取材をしていく方式。
はじめはその時期に少年院に入っていた6人への取材(一人は少年Aなので死んでいる)。
とにかく腹が立つ。誰も反省していない。数年入院しただけで顔も名前も公表されていない彼らはのうのうと生きている。
次に少年Aが常城君だとわかり、ライターは少年Bを探しているのだとわかり、ライターが常城君の母親だとわかり…とベールが少しずつ剥がれていく。
読んでいて驚いた。
それまで復讐した母親側に共感していて、常城君が殺されたことに対して仕方ない、当たり前とすら思っていたのが、ライターが常城君のお母さんで、子どもを殺された母親という同じ立場とわかった途端、読み手の私の意識が変わった。
常城君を子分のように従えていた小狡い大阪君への印象もどんどん変わっていく。
自分の罪に全く向き合っていなかったのが、罪の重さに気づき、押しつぶされそうになりながら向き合っていた。駅伝大会からは常城君との関係も変わり、友情を育んでいた。
常城君を殺した女性が、間違っていたと反省するような生き方を見せると決心した大阪君の言葉に涙が溢れた。
凄い小説だ。
Posted by ブクログ
あらすじに惹かれて読み始めた。
復讐された加害者が殺されたきっかけを作った密告者の少年Bとは誰なのか?の謎を追いながら、復讐することは贖罪なのか、更生とは、反省とは、みたいな疑問を読者に投げかけるような物語になっていた。
登場人物の少年たちの設定が読んでるうちに混合してしまい、けっこう苦労した。あれ?この子はどういう背景の子だったっけ?とかいちいち戻って確認したりした。
語り手の主人公の正体は、物語の中で明かされる前にわかってしまったけど、密告者が誰なのかは最後までわからず、明かされたときはけっこう衝撃だった。
償いのために自分で自分を密告して、遺族に復讐を果たしてもらうことこそが贖罪であるという結論を出した加害者に対して、どう反論するのか。殺したんだから殺されて当然だと反省しない母親への答えが、更生する姿を見せることで、自分が何を奪ってしまったのかを自覚させる。というのは納得のいくというか、なるほど!と思った。できるかどうかはさておき、出した答えとしては納得はいくと思う。
大阪くんがこんなに化けるとは思ってなかった。
殺されることじゃない、罪の償い方を模索し、かつミステリーとしても面白くて、とても良い小説だった。
けど、序章の少年Xってじゃあ誰?と疑問が残ってるんだけど。少年Aが殺したのは少女であって少年じゃないよね?序章の説明は辻褄合わなくない??
Posted by ブクログ
すごくおもしろかった。
少年院がテーマになったお話でタイトル通り目には目を!なんだけど、それが奥深くて…
まさか調べてた人がお母さんだったとは思わなかった。
そして罪を犯してしまった少年の罪の償い方も切なかった。
でもそもそもが償うという構図になる行動があってはいけなくて。
だけどそうなってしまった時にどうするか?をよく考える本となった。
何かが足りてない、何かが満たされてない
そんな環境のせいにしてはいけないのだけど
それでも環境のせいにしてしまいたくなったり
少年院の中での関わりだったりつながりだったり
なんともスッキリできない感じなのだけど
興味深く読めた。
Posted by ブクログ
1人の少年が犯罪を犯し、少年院から退院した後に、被害者の母に殺される。居場所を教えた密告者は誰なのか。同じ寮で出会った6人のそれぞれの犯罪とその後を描きつつ、真相に迫っていくミステリー。暗くて悲しくて切ないけど、いい小説だった。
Posted by ブクログ
傷害致死の罪を犯し、少年院に入った少年Aが、少年院で同じ班だった少年Bの密告により被害者の母親に殺害された「目には目を事件」の真相を、ライターが少年Aと少年院で生活を共にした5人の元少年等の関係者への取材により明らかにしていくというストーリーのミステリ小説。「贖罪と復讐」がテーマとなっている。
ライターの正体、密告した少年Bの正体というこの小説の肝は、読んでいる途中で分かってしまったものの、よくできた構成のミステリ小説であった。
また、命を奪う犯罪、特に少年犯罪について、本書のテーマの「贖罪と復讐」ということを含め、自分の中でも明快な答えは出ないが、いろいろと考えさせられた。犯罪を犯した少年にはいろんな事情があるんだろうけども、命を奪う犯罪をしてしまったら、それはどうしようにも取り返しのつきようがなく、被害者の家族等にも多大な影響を与えるのであるから、それが少年院への入所だけでまた社会復帰するというのでよいのかというのはそもそもあるし、何をもって償いや更生になるのかというのも本当に難しいなと感じた。
Posted by ブクログ
読後少し経った感想。
後半、主人公が母親だったのか!とまずビックリした。ただ、この作者は性善説を信じてるんだ、というのも感じた。私には子供がいないので、私に息子がいたとして、まず犯罪を、しかも殺人を犯した息子を息子と思えるかどうか、というところから始まるのだが…。
息子は息子で、酒を飲んだら寝るとはいえきっと痛かっただろうに、声を上げずにひたすら罰を受ける為に殺されたところも性善説のような感じがした。
この世の中も、形はこうでなくても作者が叫ぶような性善説ばかりであるといいな、と思う。
Posted by ブクログ
最後まで読み、堂城君の決断や最後を思って涙が出たけれど…
どうしても、彼に殺された女の子のことを思うと当たり前の決断であるし、加害者の親が女の子の親に対して反省してくれたらとよく言えたなとどうしても思ってしまう。
どんなに堂城君が、本来は穏やかで優しい人だったんだと伝えられたとて…
Posted by ブクログ
本当は★5にしても良いのだけど
何とも言えない読後感の悪さが★を
ひとつ減らしてしまった
最初から少年Bの正体が分かるまでの
重く辛くイライラがラストでほんの少しだけ
小さな【期待】へと向かいはするが…
いや、やはり重い
Posted by ブクログ
新川帆立さん、何作か読んだことがありますが、軽い読み物といった印象でした。
なので今作は重いテーマで驚いた。
オチにも驚いた。
まず話の内容とは別で、ちょいちょい登場人物が誰が誰かわからなくなって、みんな覚えてられるの?と思ったけど、私以外にもそんな人いるよね!?
とは言え1人1人のリアリティ、解像度は高くて、どの子も「いてそう」と思った。
なので、どの子もどう更生させればいいんだろう、できるのか?…無理じゃない?の結果、救いようがないなと思ってしまった。
本では最後に、犯罪を犯した人間が更生する様を見届けると決意してたけど。
犯罪者の中には境界知能の者が多いという話も思い出した。
病気と違って治るものじゃないし、誰か本当に親身に根気強く療育していく人がいて何とかなるかどうかなんじゃないのかな。成人した子にそれだけ寄り添える親でもいない限り現実難しいよね。
ただネットを中心に“異分子”が排除される傾向にあるから、そういう人でもいなくなればいいてことはないんだよ、ということが言いたかったのかな。