【感想・ネタバレ】転生程度で胸の穴は埋まらないのレビュー

あらすじ

このライトノベルがすごい!2026(宝島社刊) 新作文庫部門第2位!

人の渇望(ねがい)が固有の魔法になる異世界。固有魔法を扱い邪神から人類を守護する超越者〈アデプト〉たちには、あらゆる権利が与えられる。
転生したコノエは永い修行の末、遂にその資格を得たのだった。
――惚れ薬〈きんしやくぶつ〉を使うために。
「……惚れ薬があれば、僕でも、誰かの一番になれるんだろうか。」
前世のトラウマから、人を信じられず生きてきたコノエ。そのせいで固有魔法が発現せず、転生しても孤独に苦しんでいた。そんな彼に助けを求めてきたのは、死病に侵された金色の少女で――。
「私、コノエ様の為なら何でもさせて頂きますので!」
これは、渇望〈ねがい〉を持たない白い孤独が、黄金の愛と出会う物語。

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匿名

ネタバレ 購入済み

人生経験の欠如がここまで影響している主人公も珍しい。これを青いと見るか、愚かと見るかで作品に対する印象がガラッと変わる。

些か拗らせてるパートを挟み過ぎかなと思ったし、その感情を起爆剤として、限界を超えてなおオリジンの能力に覚醒するわけでもなかったりと若干モヤッとしたのも事実。

終わり良ければ全て良しとはいえ、個人的にはそこが減点かな。

#切ない #ダーク

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2025年12月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

著者初読。KU。

この作品は、異世界転生を題材としながら、その表層的な娯楽性に留まらず、“胸の穴”という心の深い喪失を真正面から扱った稀有な物語だった。主人公コノエの渇望は、単なる力の源として描かれるのではなく、彼の生き方そのものを形づくる根源的な痛みであり、読者はその孤独と誠実に向き合わされる。しかし、この重さは決して読後の気分を曇らせるためのものではない。むしろ彼のひたむきさは、絶望の中に差し込む細い光のように、ページをめくるほどに温度を帯びていく。

 そんな彼の隣に立つテルネリカの存在は、とりわけ鮮烈だ。無償の愛という言葉を軽々しく使うことが憚られるほど、彼女の優しさは静かで揺るぎない。コノエの“穴”を埋めようと無理に踏み込むのではなく、寄り添いながら彼の影そのものを受け止めていく。その態度は、物語全体に柔らかな光を投げかけ、重厚なテーマを包み込む温かさを与えている。

 また、この世界で生きることの痛みや選択の重さが、派手な活劇や魔法設定よりも前面で語られることで、物語は単なる異世界ファンタジーを超え、人が「救われるとは何か」を問う深い作品となっている。コノエが背負ってきた過去と、その痛みを理解しようと手を伸ばす者たちの姿に、読者までが静かに励まされていく。

 読み終えたあと、胸の奥に残るのは沈痛な余韻ではなく、あたたかい息のようなものだ。癒えない傷があったとしても、人は誰かと出会うことで、歩く速度を変えられる。そうした希望を丁寧に示してくれた本作は、重厚でありながら、確かな救いを感じさせる一冊だった。

0
2025年11月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

まずは主人公のキャラが良すぎる。前世の経験によって人を信じられず、でも信じたい。愛が欲しいと思う主人公が「ヒト」は信じられなくても「薬」なら信じられるという発想で惚れ薬ハーレムという夢に縋りつく心情の流れがギュっと心を締め付けてきて良いですね。 読者視点シンプルに根が良い子過ぎて、いざ実行しようとしても出来るのか?とは思う辺りも愛おしい主人公造形。幸せになってほしい。 神様から親のような主のような愛の供給は有ったので、そのまま居座れば?とも思ったけど、種族的特性で気持ちが雰囲気として伝わるっぽい神様ではなく、単なる人同士で信じあえることが大事なんだろうなってラストまで読んで思った。 冒頭のテルネリカのいっそ狂気的なレベルの正しい行動が、結果的にテルネリカを疑う発想に徹底的にインターセプトかけてたの本当に運命的な出会い。 ヒロインとの別れシーンと、別れてからぐっちゃぐっちゃになってる主人公の心情描写が本当に心に来るけど、だからこそラストの主人公の必死さが分かって本当良い。 ラストバトルの純白にして虚ろの槍に金色の愛が走るシーン好き。完璧に覚醒するんじゃなくて兆しなのが良いよね。二人はこれからなんだって分かって再開をさらに願える。 静かな温もりを感じるイチャつき描写本当良い。ラストの夢を捨てるシーンが欲しかった愛を手に入れたんだなって分かって主人公良かったねってなる。

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2025年05月08日

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