あらすじ
山東京伝とふたりの妻、そして江戸出版の黎明期を
賑わせた重鎮たちが躍動する!
2025年大河ドラマの主役で話題の
蔦重が見出した江戸時代のマルチクリエイター
山東京伝が主人公の長編小説!
山東京伝には前妻と後妻、二人の妻がいた。
後妻のゆりは少々浮世離れした夫との暮らしに戸惑い、
「出来た前妻」の影に嫉妬を覚えながらも、
完璧な妻を目指して奮闘していく。
京伝と二人の妻にまつわる感動的な場面や、
スカッとして笑える悪者退治の騒動など、
読み応え満載の物語。
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Posted by ブクログ
戯作者の山東京山は、吉原から2人の女房を迎えているが、菊は病で亡くなり、後妻に入ったゆりは、家のそこここに漂う菊の気配を感じ、引け目を感じてしまう。その葛藤が描かれる。
戯作の裏話のようなエピソードと、2人の女房の物語を描いて、想像と、史実の部分をうまく組み合わせ、飽きさせない展開だ。今の大河ドラマとも重なるので、とても楽しめた。
それにしても、山東京山の、粋で惚れ惚れするような男っぷりが、これでもかと描かれる。読んでるこちらも惚れてしまうくらい、江戸の粋人の見本のような人物だ。
そして、相変わらずの、馬琴の面憎さ(笑)女房のお百も登場する念の入り用だ。あちこちの小説に書かれるが、どの馬琴も相当なもの。本当に嫌なやつなんだなと思ってしまう。木内昇のが一番辛辣だったけど。
歌舞伎役者のように顔の整った若い武士の仇討ち話や、ゆりの出生や家族のドラマもあって、最後まで面白い。