【感想・ネタバレ】時帰りの神様のレビュー

成田名璃子

うちの神様に選ばれた方ですね。はい、境内の竹林を抜けると行きたい過去に戻れます。その前に休憩処でお抹茶を一服いかがですか？――ここはイケメン神主・若宮雅臣と美人巫女・汀子の兄妹が切り盛りしている北鎌倉の一条神社。残念ながら人気はなく、台所事情は厳しいけど実は時帰りの神様が鎮座まします知られざる超パワースポット。タイムリープ後はすべてあなた次第、さて「２回目のあの日」で何をしますか？ 帰ってみて結局心が揺れまくる「やり直しチャレンジ」物語５編。あなた様にも時の御利益がありますように。

[ブクログ · ★★★★★]

鎌倉を舞台にした、神様がくれる時帰りが起きるファンタジー。
イケメン神主、美人巫女の兄妹がお仕えする一条神社は聖神様をっている。巫女の汀子が夢で見た人が、翌日訪れてくる。兄の雅臣が祝詞を唱え、巫女の汀子が舞を舞うと竹藪がひかり、行きたい過去を訪れることができる。ただし、ひとを生き返らせるなど、大きな変化を起こす事はできない。
1人目は、高校時代に告白をし、失敗し、校内でその噂が広がり、周りのみんなと微妙な関係になった女性が、その告白を止めに行く話。見事に告白をやめるが、別の男子から告白を受ける展開に。
2人目は、同期の誰よりも早く出世した男性の話。一度は出世話を断ったが、なんだかんだ昇進してしまう事に。しかし、今でも続く同期の親友をゲットする事に。
3人目は、子育て中の女性の話。役に立たない旦那に、文句を言ってしまった女性の話。子育てしながら、旦那まで育てなければならないのかと、イライラする毎日。でもじつはあ、旦那さんも分からないなりに努力をして、会社でも父親会なるものを作り、子育ての勉強をしていた。ただ単に会話を持たなかった事が夫婦中に亀裂を生じさせてしまっていた。
4人目は、いつも夏祭りに一緒に行っていた小学生の仲良しな2家族のお話。主人公の小学生の兄は、友達と一緒に子供達だけで夏祭りに行きたいと言い、主人公の小学生もその魅力に惹かれる。しかし、仲良しの友達がその後引っ越しをしてしまうことを知っている。最後になるみんなで行ける夏祭りを取り戻したく、時帰りをする。
しかし、当日結局熱を出してしまい行けなくなる。リモートでそろいのお面を買ったりと、違った楽しみ方をすることができた。
5人目は、娘を事故で亡くした夫婦のお話。前日にも嫌いなピーマンを食べなさいとか、遊びをめんどくさがったりした父親は、全部わがままを聞き入れてあげたいと夫婦で時帰りをする。
今更ながら、大切な娘との日々だったんだと噛み締め、事故に遭わないように十分注意するようにいうが、こちらに戻ってきても結局生きているという奇跡は起きなかった。ちょっと切ない話。

全体的に私好みの設定でした。まだまだ、続編も作れそうな感じでしたので、期待したいです。

[ブクログ · ★★★★★]

あの時に戻れたら。
この本を読んで、私も戻りたくなったからです。
あの時に戻った人のエピソードにほっこりしました。

[ブクログ · ★★★★☆]

時間を遡る事ができたら、私はどの瞬間を選ぶだろう。
これは時間を戻す事ができる神社の物語。やってくる人々はなんらかの後悔を抱えている。
全てをやり直す事はできないし、できる事はわずか。
なら、私は？　ということになるのだけど。
余りにも多くて答えが出ない。私はその程度ということなのを幸せだと思いたい、そう考えて本をとじた。