あらすじ
思うに〈青春〉というのは、よくできた推理小説のようなものだ。
失われてしまった恋愛成就の桜の謎。部活勧誘の小さな違和感。巨木の樹齢に秘められた物語。密室で消えたハムスター。壊れかけの生物部に捧げられた、高校生たちの切実な決断。
無関係だと思われたひとつひとつの因果はどこかでつながっていて、あとから振り返って初めて俺たちはそれを〈青春〉と認識する。そこでようやく気付くのだ。見落としていた大切なことに。
「検証してみようよ……科学的に!」
これは、科学をこよなく愛する高校生たちが日常で直面する数々の謎に挑む、綱長井高校「理学部」のささやかな活動記録。
――そして、一つの初恋が解き明かされるまでの物語である。
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Posted by ブクログ
謎解きはそんなに難しくなく割と予測がつく。
ラストの証明が検索に委ねるところが斬新。
続き読みたし。
これが高一4月の話で、次作がゴールデンウィークということは、完結までに36巻になるな。
それまで生きられっかな。
Posted by ブクログ
KU。
逆井卓馬著『よって、初恋は証明された』を手に取ったとき、私はまず爽やかな青春小説を想像していた。理系の部活動を舞台にした友情や恋愛のきらめきが中心になるのだろうと。しかし、読み進めるうちに明らかになったのは、それだけではない――日常のなかに潜む小さな謎を、理系的思考と論理の力で解き明かしていく、知的で滋味深い物語だった。驚きとともに、その二重構造の巧みさに心を奪われたのである。
本作の魅力は、若者らしい感情の機微と、冷静な推理の積み重ねが緊張感をもって同居している点にある。登場人物たちは悩み、迷いながらも、検証や論理のプロセスを通じて自分自身や他者と真剣に向き合っていく。その姿は、単なる謎解きを超えた「青春の証明」そのものだと感じられた。
青春小説としての瑞々しさと、日常系ミステリーの知的快楽。その両方を併せ持つ本作は、読み手に爽やかな余韻と深い思索を同時に与える稀有な作品である。青春とは感情の奔流だけではなく、思考と対話を重ねる過程にこそ宿るのだという真理を、私はこの物語から強く教えられた。
Posted by ブクログ
いやあ、この雰囲気、懐かしい。
理系高校生の部活もの軽ミステリー。
なにが懐かしいって、理系人間たちの会話が。
曲がりなりにも理学部という理系ばっかりが集まる場所で青春を過ごした人間としては作中の人物の思考回路や話題の持って行き方が、いやもう分かりすぎて楽しくなってしまう。
そしてデルタくんとガンマさん二人のそんな出会いは素直に羨ましいと感じてしまう。
普段ミステリはあまり読まない方なのだけどこの理系謎解きはとても面白い。
と思っていたら最後のなんだかラスボスのようなあるいはラプラスの悪魔のような人物の登場で、さてこの話はどう展開していくのか続きが気になる。
ちなみにラストの一文でタイトルは回収されたのかな?
個人的にはまだのような気がする。だって証明はされてないし。タイトル回収される時を楽しみに待ちたい。