【感想・ネタバレ】情報分析力のレビュー

あらすじ

プロはどう集め、読み、アウトプットするのか?
溢れる偽情報時代、情報に溺れないための「分析装置」の作り方とは?

問題は「情報がない」ではなく、「情報を分析するやり方」にあった!
情報の取り方、分析の基本、情報分析のための文章術……
ビジネスパーソンから学生まで
ロシアの軍事・安全保障専門の著者による情報分析力入門講義

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■著者「はじめに」より

現代は情報に関するコストが人類史上で最も低下した時代と言えるでしょう。
情報は誰にでも、いくらでも入ってくるのだけれども、その処理装置を持つのは簡単ではない。
これは現代の世界が抱える大きな問題ですし、本書ではこのギャップをなるべく
縮めることを試みてみたいと思っています。

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■目次より
第1章 ロシアのウクライナ侵略はどう分析されたか?――溢れる偽情報といかに向き合うか
第2章 情報分析で大事なスタンス――「情報」とは何か
第3章 情報を取る――どのように定点観測するか
第4章 集めた情報を分析する――「位置」を描き、具体論で語る
第5章 情報をまとめる――情報分析のための文章術
第6章 情報分析で陥りやすい罠――「予断」と「偏り」の中で
終章 不確実な時代の情報分析
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Posted by ブクログ

ネタバレ

3つの学び
・情報をただ集めるだけではダメで、情報処理装置が必要。
・自分の脳みそを過大評価しない。
・人間が一番厄介なフィルターである。

情報が溢れる現代において、単に情報を集めるだけでは意味がなく、それを分析し、意味づけるための『情報処理装置』が必要。
食材(情報)を調理(分析)して、食べられる料理(知見)にすることが必要だ、という例えはすごく腑に落ちた。
情報が容易に手に入るからこそ、ただの「インフォメーション」を「インテリジェンス」に変えることが必須だ。

特に、情報発信を生業にしている身としては、自分のアウトプットが「インフォメーション」なのか「インテリジェンスなのか」は強く意識する必要があると感じた。
SNSなどは「インフォメーション」としてのアウトプットにも価値はあるし、発信者として「インテリジェンス」のかたちでのアウトプットが必要なのも間違いない。
ここのバランスを取ることが、これから先もインフルエンサーとして生きていくなら必要なのだと思った。

自分の脳みそを過大評価しない、という教訓も刺さった。
私の場合は特に「原稿を書く」という作業が一番詰まるところなんだけど、うんうん唸って搾り出すとか、アイデアが出るまで待つという行為は、確かに自分への過大評価だ。
自分から良いものが生み出されるという過信をせず、ただ単にインプット不足を認めてインプットを増やそう。
自分の脳みそはただの部品で、ここからすべてが生み出されるわけではない。
もしどうしてもアウトプットが出ない場合は、環境を変えたり、運動や睡眠を取ることでハードウェアをメンテナンスしようと思った。

また、最後、インプットにしろ、アウトプットにしろ、相手が人間であるという一番の課題へのアプローチが「文学を読む」なのにも痺れた。
人間の考えは曖昧で合理的ではない。「ダブルスタンダード」を責めたり、「論破」することにはあまり意味がなく、曖昧で合理的であること、すなわち人間には人間性があることを理解するほうが、良い結果につながりそうだ。
対人のコミュニケーションにおいては、合理性よりも人間性が必須。
そのために、文学作品は人間性を疑似体験する手段となる。
文学作品を読むことで、さまざまな人間の行動や思考を疑似体験できる。
優れた文学作品は小説家たちが見抜いた人間性のスケッチであり、人間性の勉強には文学が有効である。

というわけで、分析力をブチ上げるために、文学を読もうと思った。

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2025年06月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

<読書の動機と個人的見解>
軍事専門家によると、2027年が台湾有事のターゲット・イヤーと目されており、2029年までは緊迫した時期が続くという見通しだ。
そこで疑問に思ったのが、ロシアによるウクライナ侵攻(2022年~)のときに軍事専門家らはこのタイミングを見通せて警告を発していたのか、ウクライナ市民(特にキーウ)は事前に察知して安全確保のための行動を取れていたのか、ということだった。
気になっていたところ、Audibleの聴き放題に本書が入ったので聴いてみた。

<本書の内容>
この疑問への回答として、小泉さんはロシアがクリミア半島に勢力を増強し、ウクライナ側もその時に備えているという戦争の兆候は確認していたが、まさかキーウ攻撃に踏み切るとは想定できなかったという。
ロシアの軍事専門家として有名な小泉悠さんは素人目から見ると「インテリジェンスのプロ」に思えるが、彼に言わせると、政府機関で軍事にあたっている人のことをプロというようだ。
例えば、衛星画像はお金で誰でも入手可能になったとはいえ、軍事施設周辺などは発注から3~4日待たされるそうだ。軍関係者の検閲が入って、時には入手できないこともあるとか。検閲なしに即時提供してもらうには億単位の料金が請求されるという。つまり、民間の軍事専門家は「プロではない」という認識らしい。そしてロシアによるウクライナ侵攻についても米政府(当然米軍関係者ら)は、かなり確証の高い根拠を持って事前に把握していたとのこと。つまり民間の軍事専門家はインテリジェンスのプロ集団には敵わないということだ。

<個人的考察>
冒頭の「いつ、台湾有事が始まるのか?」という問いに対する答えは、軍事関係者らの動きを観察する感度を上げる必要がありそうだ。
具体的には、世界トップレベルのインテリジェンスのプロ集団を持つ米国、イスラエルの日本に滞在する自国民(非戦闘員)の疎開作戦(NEO)が秘密裏に行われている兆候を掴むこと。大使館や領事館、インターナショナルスクールに通う彼らの子供らの動きで引っ越しや退去が顕著になってきたり、米軍基地では軍用輸送機が頻繁に飛び交うようになっているはずだ。

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2025年07月30日

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