【感想・ネタバレ】ことばの番人(集英社インターナショナル)のレビュー

あらすじ

日本最古の歴史書『古事記』で命じられた「校正」という職業。校正者は、日々、新しいことばと出合い、規範となる日本語を守っている「ことばの番人」だ。ユーモアを忘れない著者が、校正者たちの仕事、経験、思考、エピソードなどを紹介。「正誤ではなく違和」「著者を威嚇?」「深すぎる言海」「文字の下僕」「原点はファミコン」「すべて誤字?」「漢字の罠」「校正の神様」「誤訳で生まれる不平等」「責任の隠蔽」「AIはバカともいえる」「人体も校正」……あまたの文献、辞書をひもとき、日本語の校正とは何かを探る。校正者の精緻な仕事に迫るノンフィクション。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

「校正」に関するエッセイ集。最初は校正者への取材から始まり、校正という仕事、言葉の意味について書いているのだが、憲法にも誤植はある、という話からどんどん話は広がって薬のラベル、遺伝子の話にまで行き着く(遺伝子にも校正者がいるのだ!)。読みやすいんだけど読みごたえはある、という感じの文章で、言葉についての面白い話が次々に出てくるので読んでいて飽きない。

憲法にも誤植があるという話は驚いたが、ただ「ある」という豆知識的な話に終わらず、英語の草案との比較や憲法制定のために行われた議論にまで踏み込んで憲法の文章の意図に迫っていくのが面白かった。
その他の章も辞書や古典、哲学者の言葉を引用しながらも言葉の意味を柔らかく解きほぐしていくような内容で、「よむ」は数え上げていくこと、寿ぐ(言葉通りに物事を動かす呪術)こと、というのがなんだかいいなと思った。著者の他の本も読んでみたい。

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2025年11月01日

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