あらすじ
失踪した作家・青山黎明が遺した原稿。それは彼を長年悩ませる謎の転移現象の記録だった。転移に抵抗する青山だったが、更なる悪夢に引きずり込まれていく(「フーグ」)。至高のホラー4編による連作集。
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Posted by ブクログ
怖くて密度が濃くて面白かった!
フーグだけなら星五つ。
黒い家と同じくらい怖かったかも。
備忘記録
◯餓鬼の田 モテそうなのに、付き合えそうで付き合えない運命を嘆く男性。最後、女性が「スンッ」となるのが笑えた。
◯フーグ めっちゃ怖い!!ゾッとした。これぞ貴志祐介と感心した。瞬間移動を止められない作家がウォーターベッドの中で溺死。拝み屋のおばばの言うことを聞いておけばよかったのにね。「運命に身を委ねれば万に一つでも助かるかも」が効いてる。
◯白鳥の歌 伝記を書くように頼まれた作家が、二人のオペラ歌手の悲劇を聞く。蘊蓄が多くて興味深かった。描写がうまくて、作中出てきた曲をまた聴きたくなってしまう。
◯こっくりさん こっくりさんが安楽死させてくれるはなし。段々と事情が詳らかになっていくのが絶妙に面白かった。バッドエンドかも知れないけど、神様が案外優しくて心穏やかに読み終えることが出来る。
Posted by ブクログ
ホラー短編4作品、どれも趣向が違っていて楽しめた。
「餓鬼の田」
怖いというより可哀想な話だった。餓鬼の飢えが癒えることはないのだ。
「フーグ」
寝ている間に自分の意思が通らない・制御できないという点で、実際に悪夢を見た時の感覚が想起され、その無限に膨らんでいく恐怖がとても良かった。監視カメラの映像を確認しているシーンは、その様子が頭に浮かんできてより不気味さが増した。部屋の隅にうずくまっているのって、たとえそれが生きている人間であっても妙に怖い。霊能者が「餓鬼の田」に出てくる人と同一人物に思えるので、その後も登場するかと少し期待してしまった。この霊能者目線の物語も読んでみたい。
「白鳥の歌」
これは作者らしさがあるテーマだなと思った。芸事のために悪魔に魂を売るといったようなことは昔から言われるが、人間の限界を超える瞬間、それは神秘性を帯びた存在になるのだろうか。神々しく禍々しい歌声というものを聴いてみたくて仕方なかった。
「こっくりさん」
都市伝説をテーマにしていて馴染み深い。ただしお遊びではなく本気の召喚。安らかに死なせてもらえるのなら儀式をやりたいと思う人は大勢いそうな気がしてくる。ここまでの3作品でバッドエンド続きだったため、最後はとびきりの後味を期待していただけに、4人全員が許されたのは意外だった。
Posted by ブクログ
「餓鬼の田」
青田の話を最初から全く信じようとせず、分析して、
それが正しいかのように勝手に理解して納得してる
美晴の態度が鼻についてしまい、話がどうとかいう
より意識がそっちにいってしまった。
確かに信じ難い話だけど、ひとの話はひとまず柔軟
な心持ちで最後まで聞いて欲しいわ。
「フーグ」
悔しい!!
状況も条件も揃ってたし、ちゃんと記述もされてたの
に…ただただ話を楽しんでしまった。
怖いというより、かわいそうだと思った。
苦しかっただろう…。
あ”〜 それにしても気づかなかったのが悔しい!
「白鳥の歌」
これは…なんとも…切ないというか…なんと言うか。
最後は少しショックだった。
黒人、水… これも示されてたのに!
「こっくりさん」
中では一番読み応えがあった話。 面白かった。
だけど、拓矢は本当に充分苦しんだのか?
最後まで卑怯だったような気がするが。
どれも「秋雨」の雰囲気に合う話でした。
少し切ないような、不気味であるような…
Posted by ブクログ
ホラー全体そうかもしれませんが、凄く想像するとジワッと怖い、上手く文書にできませんが貴志さんを感じる4本でした
餓鬼の田
結構美晴性格的にはあまり、というかまぁでもこういう子いるよな、って思った。私なら!と盛り上がったその瞬間、すんっ、って感情がなってしまうのなんかちょっと面白いというか青田さんこれの繰り返しなんだろうなぁと
フーグ
怖い…まさかウォーターベッドがそんな事になるなんて。もし普通のベッドだったらそんな事になかったのだろうか、いやでも、結局マットの間に転送されてしまうのだろうか、とか
てか松浪の下心が。もう途中で手を引くべきだったのに結局最後まで…もちろんそうじゃなければ話にはならないですが
あのあと警察に亜貴とともに滅茶苦茶疑われるだろうなぁと。亜貴も警察にすぐ連絡せずに松浪に連絡したんだな。なんにせよ黎明途中、抗えた!勝った!みたいなテンションになったけど霊能者、本物でした…
白鳥の歌
音楽の知識というか、そこの情報量が凄い
結局現代の医学でもその悪魔の治療はできない、と言うことなんですかね…ロスさん…
こっくりさん
結局これは静かに逝く為のものだった、という結末…
神頼みしてる時点で限界を迎えている人達
一番心に引っかかったのは、フーグかな。もう途中気になって気になって、読むの止められなかったです
Posted by ブクログ
粒揃いのホラー短編集
ラストで盲点を突かれた「フーグ」が一番良かったかな
次点は「こっくりさん」。途中までワクワクしてたけどラストがちょっと呆気なかった
Posted by ブクログ
【餓鬼の田】
前世の業のせいでモテないという、ホラーというよりも落語みたいな話
【フーグ】
水があるテレポーテーション先は何処だろうか?と考えながら、最後の2頁で驚愕。これ以上怖いラストはない。
【白鳥の歌】
もうすぐ視力を失くす運命を受容し、その後は好きな音楽を聴くことを生き甲斐と考えるお金持ちの音楽マニア。彼が幻のレコードの歌手の生涯についての調査を依頼。その歌手の残酷な結末の報告を受けるが、本当の残酷はその報告を受けた本人に対してであった。美しいと思った声の謎を知ってしまい、これからの生き甲斐を失った依頼者。読者の予想を裏切る逆転の恐怖。
【こっくりさん】
4人で行い1人死ぬ代わりに残りの3人が救われるロシアンルーレットこっくりさんを巡る物語。救われたの思っていたのが実は勘違いだったという恐怖。
長編小説を読んでいるのかと錯覚するほど、4話とも密度が濃いく面白かった。
Posted by ブクログ
貴志祐介のホラー短編集。たとえば『黒い家』のような、ぞっと総毛立つような恐怖はなかったけれど、どの作品も完成度が高いエンタメで面白かった。「こっくりさん」が特にお気に入り。