あらすじ
ノーベル文学賞を受賞した作家・一ノ瀬が、授賞式前日に失踪した。彼の足取りを追った担当編集の相沢は、北海道のある岬の存在に辿り着く。その岬では30年ほど前から何人も消息不明になっており、得体のしれない薬草の噂まで流れていた。相沢は過酷な道のりの果てにようやく一ノ瀬を見つけ出すが、すでに彼は変わり果てた姿になっており……。人を人たらしめるものとは何か。生きる意味を問う、戦慄のサスペンス・ミステリ!
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Posted by ブクログ
カリスマ主婦、ノーベル文学賞作家、由緒ある名家の令嬢…北海道の片隅にある岬に引きよさせらた、彼らの謎を追うミステリー。
経済も国力も停滞し衰え、インフラ整備や外国の侵犯にも手をこまねく近未来の日本を舞台に、不老不死や若返りの妙薬の謎を追いかける話になっていく。
ミニマムとか断捨離とかにあこがれ、少しずつでも実践しているのだが、その極地である欲望を制御しきった先にある生き様を考えさせられた作品。不老不死の謎を解明したシーンには共感と同時にちょっと背筋が寒くなる気がした。
ギラギラした欲望を排除して灰汁の抜けきった生き方は平穏ではあるけれど、外から見れば不幸で無力に見えるのかもしれない。それは人間個人個人の話だけではなく、集団や国家もそうなのかもしれない。