あらすじ
横浜で探偵業を営む遠刈田蘭平のもとに、一風変わった依頼が舞い込んだ。九州を中心にデパートで財をなした有名一族の三代目・豊大から、ある宝石を探してほしいという。宝石の名は「一万年愛す」。ボナパルト王女も身に着けた25カラット以上のルビーで、時価35億円ともいわれる。蘭平は長崎の九十九島の一つでおこなわれる、創業者・梅田壮吾の米寿の祝いに訪れることになった。豊大の両親などの梅田家一族と、元警部の坂巻といった面々と梅田翁を祝うため、豪邸で一夜を過ごすことになった蘭平。だがその夜、梅田翁は失踪してしまう……。
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Posted by ブクログ
東京空襲で戦災孤児となるも、地獄から這い上がり、戦後の社会経済システムを構築した梅田翁。彼の秘められた生涯が明かされる。現実に戦後復興の波にうまく乗り、怪物実業家として王国を築いた人物は、大下英治氏や佐野眞一氏の小説で読んできた。とりわけ実体験をもとに描く野坂昭如氏のアニメ映画『火垂るの墓』なんぞは、まさにサバイバーズギルドの告白だった。ここでは、生き残ったことへの感謝と贖罪がSF手法で描かれる。今や夢物語ともいえぬ人体冷凍保存による永遠の愛の誓い。瞬間蘇生の結末には思うところあれど、登場人物が皆温かい。
Posted by ブクログ
映画『国宝』が大ヒットロングラン上映。大注目の作家、吉田修一さんが昨年上梓された小説。昨年、産経新聞に連載されていたようだ。
長崎の九十九島(くじゅうくしま)が舞台の梅田一族の話だ。百貨店を経営し財を築いた創業者。その米寿のお祝いに一族が集まる。翌朝その創業者が姿を消す。
ここからはネタバレ。
『砂の器』『飢餓海峡』『人間の証明』…いずれも日本映画の名作だが、この映画のDVDを疾走する前に創業者が見ていたという。これがヒントとなる。
戦争で孤児になった子供の残酷な運命。そして創業者の過去の事実に目頭を熱くした。
これもきっと来年あたり映画化されそうだなあ。それぞれのシーンの絵がすでに何だか浮かんでくる。
最後の最後にこの話を小説に書いてもらう作家として、何故か『吉田修一』の名が出てくるのは、ちょっと悪ノリかそれとも作者の思い入れが深いということか。吉田修一が実際にこの小説を書いたことが、この話がリアルだと訴えていることなのか、ちょっと賛否が分かれるところかなあ。
Posted by ブクログ
孤島を舞台にしたミステリーであり、戦災孤児など歴史の重みがにじむ人間ドラマでもあった。時々クスッと笑える描写もあり、気づけば結末が気になって一気読み。作中で触れられる「砂の器」など昭和の名作とは異なる予想外のラストに驚かされた。初読みの作家さん。引き込まれる作品で、とても面白かった。
Posted by ブクログ
面白かった。まさかそんな方向に行くのかと先が気になって急いで読んでしまい,二度読みした。真相というか過去の経過はすごく辛くて,実際を知っている人にとって虎に翼はきれいすぎただろうなと思う。最後のファンタジー的な結末はちょっと,と思うけど,全体が面白かったので気にならない。
話は面白かったけど,砂の器とかのネタバレになっているのはどうなのか,「砂の器等のネタバレをされたくない人は先にそっちを読んで・見てください」と注意喚起すべきでは,でもそうするとこっちのネタバレになってしまうし難しい,と思う。先に知っておいて良かった。
映像化は難しいだろうなと思うけど,そう思った国宝も映像化されてるし,されるかな。梅田翁はイッセー尾形さんあたりでどうか。豊大と三上も絶妙な俳優さんを選んでもらえることを期待。
Posted by ブクログ
なんか凄い小説だった。漫画みたいなオチには驚いたけど。
産経新聞に連載してたんだね。
こんな奇想天外な小説が新聞に載るんだ。
ちょっと吃驚。でも夕刊だろうな。
本の帯だけ読むと長編ミステリーなんだけど、中身は戦後から今に続く狂おしいほどの恋愛話。
このあからさまなギャップが面白い。
意外性はそんなにないけどSFっぽいオチでカバー。
一読の価値あり。
Posted by ブクログ
資産家の男の失踪をきっかけに男の幼少の頃に遡って物語が展開される
ミステリーの体をとっているが、壮大な愛や友情が描かれている
戦後の貧しかった日本で1番の犠牲者は子供達だった
食うものに困り盗みを働くが、大人に捕まってボロボロに殴られる
生きていくためには何だってしないといけない時代だった
その中で、資産家の男は2人の信頼できる友を持つ
1人は幼くして亡くなるが、もう1人とは時折会い、思い出話に盛り上がる
そんな中で事件が起こった
これ以上は自分の心に留め置くとする
吉田修一らしい、心に沁みる作品だった
Posted by ブクログ
45年前の主婦失踪事件の容疑者でもあった富豪の米寿の祝いの最中、その富豪が姿を消し彼を見つけようとする祝い参加者と45年前の主婦失踪事件の謎に迫る物語。
読むにつれて次はどのような展開になるのかと興味を持って読み進むことが出来たが、当初は風雨の中、決して島からは出れないと言っておきながら、クルーザーでもやっとたどり着けた離島に88歳の富豪が一人でボートに乗って離島に行ったことになっているのはどう考えても???。せめて、離島への秘密の地下道でもあったとなれば何とか納得は出来るのだけれど。
このことが頭から離れずすっきりとしない読後感だった。
Posted by ブクログ
もっと陰鬱なものを書く作者という印象だった(が、実はほとんど読んだことがなかった)ので、序盤の軽妙でポップでロックなノリになんだ読みやすいじゃんと思いっきり油断させられたところ、突然の戦後要素をねじ込まれてそこまで乗り切れなかった。初出が新聞連載小説だったということで、読みやすさにも乗り切れなさにも納得はいく。しかしいつ見ても顔面のいい作者だなあ。
Posted by ブクログ
孤島で一族が集った翌日、主催者が失踪…とミステリのような展開だが、どこか現実離れした展開で、どことなく軽さと胡散臭さが漂う。
セリフが「」書きでないのが慣れず、読みづらかった。
戦争孤児という実際にあったであろう社会問題を扱っており、そのあたりは興味深く読めたが、後半の宝石の話や冷凍人間といったSF要素はいまいちしっくりこなかった。
急にSF展開になって、ん?何これ?という感じで終わってしまって自分の中でいまいち消化しきれなかった。
Posted by ブクログ
探偵の遠刈田は「一万年愛す」という宝石を探してほしいと依頼をうけ、依頼者の豊大とともに孤島、野良島を訪れる。そこでは豊大の祖父、壮吾の米寿をお祝いするため息子家族、そして元刑事の坂巻が待っていた。
その次の日、「一万年愛すは、わたしの過去に置いてある。」という遺言書をのこし壮吾は消えてしまう。台風の影響で本土から警察も呼べないなか、彼らは壮吾を探し始めるが……。
この本のほとんどが会話文で成り立っており、その9割が「」の外にあるため、それがセリフなのか、それとも状況説明なのかを確認しながら読まなければならない。
最初はものすごく読みづらかったが、中盤あたりもすぎるとそれにも慣れ、気にならなくなってくる。
ミステリとしては話が薄いし、途中なかなか進まない展開にやきもきさせられたものの、話がたくみに進んでいくからだろうか。しだいに物語に引き込まれていった。
雪島に到達してからは、それまでが嘘のように目まぐるしい速さで物語が進んでいく。壮吾が語るむかし話に涙し、45年前の真実には驚き、文章の稚拙さが気にならなくなるほど面白い作品だと思った。ここまでは。
冷凍保存というSF展開までは良かった。ありえる話だし、そこに到達するまでの話にも納得ができる。技術的な話も小説ということで許容できる、のだが……。
その後 がやばかった。急に投げたのか? となるくらい唐突すぎて、時代背景も世界観もまったく合わない展開に思考が追いつかない。しかもなんとも陳腐な展開。
正直、評価を下げようかとも思ったんだけど、予想できなかった展開と、最終章で明かされた真実を見てとどまりました。
Posted by ブクログ
吉田修一さんの作品はけっこう読んでます。
わりと普通な感じのミステリという印象でしたが、
結末はややSFというかファンタジー的なものになったのが、
この著者にしては意外でした。
でも、落としどころというか真相としてはわるくないものでした。
最後に著者が登場してきて、ちょっと混乱しました。
登場人物のキャラもわかりやすかったりして、
映画にはしやすそうなので、映像化にも期待します。