あらすじ
【「エンジンのついた爆弾」で飛んだ男は、戦後三十年、誰にも語らず水道を整備した】
昭和19(1944)年、苦戦を余儀なくされる中で組織された必死必殺の「特別攻撃隊」。大戦中「軍神」として崇められ、戦後は戦争犯罪者と言われた隊員や遺族たちには、胸に秘め続けた想いがあった。
笑顔の写真を残した荒木幸雄、農場経営が夢だった森丘哲四郎、出撃直前「湊川だよ」とつぶやいた野中五郎……自らの命を懸けた特攻隊員たちは、私たちに何を託したのか? 30年以上にわたり元隊員と遺族の取材を続けてきた記者が、今だからこそ語られた証言に耳を澄ます。
最初の特攻出撃を見送った第一航空艦隊副官
「娑婆の未練」を断ち切り二度飛び立った元隊員
沖縄で特攻機の最期を目に焼き付けた女性
晩年、想い人の遺影を病床で握りしめた婚約者
彼らの「戦後」は終わっていなかった――
【目次】
序章 笑顔の奥の真実を求めて
第一章 出撃した者たち
一 最初の特攻
二 学徒出陣の特攻隊員
三 死を決断した者の「目」
四 沖縄だけが見た最期
五 非情な人間ロケット
六 「後に続くを信ず」が問いかけるもの
第二章 見送った者たち
一 終わらない終戦――母
二 同じ海へ還る――婚約者
三 残された者の宿題――父と弟
四 慰霊の心の旅――大西中将の妻
第三章 大義に生きた者たち
一 楠公精神の系譜
二 海外の評価
あとがき
主要参考文献
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
特攻に興味を持ち書店に向かったタイミングで、店頭に積まれていた本。
私の特攻に対する知識はせいぜい神風特攻隊という名称と、陸海それぞにそういった事があった事(漠然とした理解)程度のものであったために、御遺族等にインタビューへ奔走されてまとめあげられた本書はとても為になりました。知らない事のオンパレード。
華々しいものは取り上げられ、賞賛もされるが 残された遺族に寄り添うものが無いことや 取り上げられないことについての筆者の憤りも拝見して 自身も興味がある事、調べることといえば軍のことばかりで 御遺族に関するお話はきちんと調べてこなかったの猛省するにも至りました。この本は今日の日本に必要な本だと思います。もっと広がるといいなぁ。
Posted by ブクログ
「私たちは、戦後日本の平和と安寧に感謝すると同時に、平和の礎となった英霊(特攻隊員等)に感謝することを忘れてはならない。
平時を生きることができていることは、決して当たり前でない。
数えきれない人々が味わった悲しみや怒りを歴史に埋もれさせることなく、現在の日本を考える手がかりにしなければならないはずだ。」
本文より抜粋。()は私の追文です。