【感想・ネタバレ】飽くなき地景のレビュー

あらすじ

土地開発と不動産事業で成り上がった昭和の旧華族、烏丸家。その嫡男として生まれた治道は、多数のビルを建て、東京の景観を変えていく家業に興味が持てず、祖父の誠一郎が所有する宝刀、一族の守り神でもある粟田口久国の「無銘」の美しさに幼いころから魅せられていた。家に伝わる宝を守り、文化に関わる仕事をしたいと志す治道だったが、祖父の死後、事業を推し進める父・道隆により、「無銘」が渋谷を根城にする愚連隊の手に渡ってしまう。治道は刀を取り戻すため、ある無謀な計画を実行に移すのだが……。やがて、オリンピック、高度経済成長と時代が進み、東京の景色が変貌するなか、その裏側で「無銘」にまつわる事件が巻き起こる。刀に隠された一族の秘密と愛憎を描く美と血のノワール。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

なんかこう、地味な話のわりに読ませる一冊でした。旧華族に生まれた治道が父や腹違いの兄と反目しつつも自身の夢につきすすめようと生きる。青年期こそ、青臭いながらもまっすぐであったのにだんだんと・・・な感じがなんとも言えない読み心地。そして彼が敵視している父親が読んでる限りそんなに悪い人物にも思えない。むしろ令和の時代からすると彼の経営方針は時代に沿いつつも先を見据えた的確なものともいえるし、ところどころで治道に対してきちんと道を示している。まあ母親に手を上げたり愛人つくりまくったりとかはあるにせよ直接的な描写があんまりないからなあ。
いっそ治道のほうがいろんな意味であやうさを抱えてる感じがしました。祖父としてはそれを見抜いて粟田口久国を兄に託したのでは?とも思えてしまう。実際に最後では治道の周りにはもう誰もいなくなってしまってるし。。。
こういうことを読んだ後にもくよくよ考えたりしてしまうような面白さがありました。

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2025年06月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

祖父から三代続く父子の確執、受け継がれる守り刀に纏わる怨念じみた物。物語自体は面白く、刀剣に関する蘊蓄には興味津々。だが主人公の自分勝手な正義感やこだわりが鼻についた。登場する女性たちがあり得ないほど不幸なのと、円谷選手を思い出させる高橋選手が気の毒だった。

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2025年05月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

主人公は旧華族の烏丸家の嫡男である治道。大叔父が作り、一族の暮らしを支える建設会社を継ぐ気はない。祖父の遺した美術品を管理して後世に伝えたいと考えていた。烏丸建設をより大きくしたのは父の道隆だった。彼は治道よりも数日早く生まれた庶子の直生を跡取りとすべく建築の道へ進ませていた。経営者として冷徹だが当然の判断だった。
祖父が亡くなった時、治道は父から遺書はない、と告げられた。その後しばらくして、祖父の形見であり家の守り神と教えられていた日本刀が無くなっていることに気づく。友人である重森の機転によりなんとか刀のありかを突き止めたが、そこは愚連隊の松島組の事務所だった。藤永という男は父から刀をもらったというばかりで返してもらえそうにない。その後、とんでもない計画を練るが、果たして‥というのが第一部のあらすじだが、第二部以降、その後何年か経過後の治道らの姿を描いていく。
治道は文化事業、兄は建設や都市整備などへの関心が高いとか、どこかできいた話。と思ったら参考資料にその名もあった。
史実も踏まえてよく考えられた話で、面白かった。最初なかなか進まなかったが、途中からは一気に読み終えた。長かった分、昭和の時代はいろいろあったなぁと改めて感じられる作品だった。

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2025年04月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

天邪鬼かな。

ページの割に文の多い本で読むのが大変でした。

読む限り、兄を嫌っていたと書いていますがそれ程嫌っているように感じられなかった、読みきれなかった。

父を軽蔑していながら、父に愛されているところを読むとそんなに嫌ってないじゃん、って思ったり。

天邪鬼なのかなって思いました。

重森さんが一番辛かったね。

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2025年01月20日

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