あらすじ
迫られる攘夷か、開国か――。嘉永六年(一八五三年)六月、浦賀にその姿を現した四隻のアメリカ軍艦。幕府は強大な武力をもって開国を求める艦隊司令長官・ペリーの対応に苦慮していた。清国がイギリスとの戦争に敗れ、世界の勢力図が大きく変わろうとするなか、小姓組番士・永井尚志は、老中首座・阿部伊勢守正弘により、昌平坂学問所で教授方を務める岩瀬忠震、一足先に目付になっていた岩瀬の従兄弟・堀利煕とともに、幕府の対外政策を担う海防掛に抜擢される――。迫り来る欧米列強を前に、新進の幕臣たちが未曾有の国難に立ち向かう。現代へと繋がる日本の方向性を決定づけた重要な転換期を描く幕末歴史小説! 「隠蔽捜査」シリーズをはじめ警察小説の名手が、“薩長史観”に一石を投じる!
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Posted by ブクログ
良くない
非常に良くない
見出しを付けるとすれば
「今野敏製作所が高い技術力を転用し新規事業開拓に成功」
と言ったところだろうか
株主として非常に不安
今野敏製作所が世界に誇る技術力とは他社の追随を許さない圧倒的な読みやすさにあると言える
老若男女あらゆる層を問わず読みやすいと感じるのは抜群に会話文が上手いからだと思われる
特に会話の中にいわゆる「説明」をぬるっと潜り込ませるところ
まさに龍角散「お薬飲めたね」だ
(甘いゼリーの中に薬を混ぜて子どもに飲ませるあれ)
そして、さらに物語を分かりやすく展開させる会話技術があって、それが近年では今野敏製作所のお家芸とも言える変人と常識人の会話にある
常識人とはもちろん読者の分身である
この常識人が愚鈍に変人と会話を重ねることで、なんとなく変人の中身が見えてきて魅力が分かりやすく表に出てくるのだ
会話の中身が変わっていくことで、常識人はどんどん変人を理解し好きになっていく
それが読者の身にもいつの間にか起こるのだ
そしてここで今回の新製品『海風』である
本作は幕末の時代に諸外国との交渉にあたった幕府の役人たちの奮闘を描いた歴史小説なのだが、今回その会話を現代風にアレンジすることで、圧倒的な読みやすさを歴史小説という舞台でも発揮できることを証明した
また、言うまでなく、歴史の転換期に登場した偉人たちは奇人変人の宝庫でもある
つまり今野敏製作所がもつ技術と歴史小説の親和性が非常に高いことに他ならない
これは良くない
これからは歴史小説もどんどん生み出して行くことになるとすれば、少なくとも自分はそんなことは望んでいない
あくまでも本業に精を出すべきだ
今さら新規事業などに限られたリソースを振り分けるべきではないと思う
次回の株主総会で強く主張してこようと思う
歴史小説書いてる暇があったら竜崎もっとばんばん書いてよ
読者ってわがままよね
読者違う株主
Posted by ブクログ
「天を測る」に次ぐ幕末歴史小説の2作目。と云っても直接的な繋がりはなく、むしろ時代は少し前。永井尚志、岩瀬忠震、堀利熙も前作の小野友五郎同様に全く知らなかったので、それは興味深い。時代も、ちょうど関口宏のBSの番組で、この時代の解説をやってるのを見てるので、そこから続く流れで面白い。しかし、ちょっと退屈でもある
Posted by ブクログ
不平等、とひとくくりにするのは簡単だけど、結果はどうあれ奔走した人たちが確実にいたことを知れて嬉しい読書でした。途中難しくて集中が途切れかけてましたが、テンポの良い会話や今野さんのならではの心情描写に助けられました。
Posted by ブクログ
永井尚志、岩瀬忠震、堀利熙の3人を主人公とした物語というがここでの中心は永井だ。若い俊秀達と引き上げ、仕事をさせる。そんなシステムをきちんと以っていた幕府とそれに応えた若者達。素晴らしい。
現代語かつタメ口で話す阿部正弘のキャラクター眼科面白い。彼がもっと長生きしていれば日本はもっと早く進んでいたのではないか。
この3人のうち2人は長生きせず、一人も余り恵まれなかった。幕府方の俊秀達の悲哀だ。
Posted by ブクログ
鎖国時代いよいよ開国に、10年以上に渡る物語は同時それに携わる人々は大変だったと思う。言葉も理解するに難儀しただろ。日米和親条約を結び更にその他の大国とも条約を結ぶという途方もなく大変な仕事を成し遂げることは!なかなか読み応えあった一冊であった!流石今野さんだ!
Posted by ブクログ
テンポの良いほぼ会話のみで構成され読みやすい。勝海舟でしか馴染みのないベランメイの江戸弁が、時代のうねりの深刻さを和らげる。日本の未来を夢見て汗を流した幕臣もたくさんいたんだ、当然だけど。3人がどうなったのか知りたい。