【感想・ネタバレ】インドラネットのレビュー

あらすじ

美貌とカリスマを備えた友人・空知の行方を追い、東南アジアの混沌に飛び込んだ晃。だが待ち受けていたのは、空知とその姉妹の凄絶な過去だった……。数多の賞を受賞した著者が到達した「現代の黙示録」!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

こんなに悲しいことってない。
カンボジアまで探しに来た親友を、自分の手で最期を迎えさせなければならないなんて。
これまでの晃の人探し旅は、こんな形で終わるのが正解だったのか。親友だからなのか。

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2024年10月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

桐野夏生さん、文庫が出たらだいたい読んでます。
本作は文庫の裏書に、「何のとりえもない非正規雇用の男性」が主人公と書いてあったので、社会的弱者を描き、問題提起するような作品かと思ったら、もっと壮大でした。
主人公の八目晃が、高校時代に親しくしていた「空知」の父親の葬儀に行き、「カンボジアまで空知を探しに行ってほしい」という依頼を受ける。
ダメ男、晃が実際にカンボジアに旅立つまでもけっこうイライラさせられ、依頼してきた男たちにも怪しいところがあり、ドキドキする展開。やっとカンボジアに着いたと思ったら、親切な人に助けてもらったりもするのだが、それもまた罠だった?と思うことになったり、大金をあっというまに盗まれたりして恐ろしい。
カンボジアの建設業で成功した男に助けられたりもするが、その手下は日本の闇バイトとつながっているようでもある。
闇バイト(振り込め詐欺)の拠点が東南アジアにあった…というニュースをここ数年で目にするようになったが、こういうことなのか?と興味深かった。(ある程度は取材して書いているはず)。
晃とかかわる人たちの、誰を信じてよいのか全く分からない怖さがある。
そして、追ってきた空知の正体がわかってくる。

いわゆる民主化運動のカリスマ的存在だった人物の息子で、現政権にとって邪魔な存在であり、命を狙われていた…ということだった。
政情不安定な国に暮らすということがどういうことなのか、政治的リーダーというのはときに、自分の意思でなるものではなく、周りから祀り上げれ、逃げ出せなくなるものなのか、など色々興味深かった。
空知の行方を追ってついに、個人が所有しているという謎の島にたどり着いた晃。
え?え?このあとどうなるの~!?と、最後どうなるか全く予測がつかないまま、残りのページ数が少なくなってドキドキした。終わり方が衝撃的だった…。


↓ネタバレ注意
戦いの象徴に祀り上げれた?空知は、テロ?か何かで顔(眼球)も、手足も吹き飛ばされ、生きた屍のようになって、麻薬づけになって生きていた。はるばる会いに来た晃と心を通わせ、最後には「おれを殺してくれ」と頼む。
晃はそんなの無理だ…ともちろん言うのだが、不自由な体の空知を胸に抱きしめたあと、「あ!」という間に崖に放り投げてしまうのだ。読んでいて「わ!」と言ってしまった(笑)。潔すぎる終わり方だった…。
そして部屋に残った晃が、次の「象徴」になる?という気持ち悪ーい終わり方だった…。
解説によると、コンラッドの「闇の奥」のリスペクト作品なのではないかと。怖いです。

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2024年10月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

頼りない主人公が危ない旅に巻き込まれていく様子がとてもハラハラさせられて一気に読んだ。理解できそうに思えてやっぱり全然共感できない主人公の考え方。
ダメ人間だった主人公も旅で色んなことを経験してラスト親友に会う頃にはしっかりした人間になって感動の展開かと思いきや、やっぱり相手の言動にすぐ流されて自暴自棄なまま変わってなかったのか…それとも親友の思いを汲んであげたということなのか。空知は“お前が次のソルになれ”とか言ってたけど重要人物の空知消えたら主人公殺されないのか?
主人公はカンボジアのばあちゃんとか空知のことばかり気にかけて本当に心配してくれている日本の母親には金を無心するだけでろくに連絡もしないってとことん何かが偏ってる
ラストだけゲームで唐突なバッドエンドになったときくらい急に幕が閉じられてしまった感はある。でも帯には「最後の1ページまで希望と絶望が反転し続ける」と書いてあったのでまさにその通りだった。
総じてすごく楽しめました。めちゃくちゃ後味は悪いけどね

これ語り合いたいけど、周りで誰も読んでくれそうな人いないかなしみ

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2025年01月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

梲が上がらない現代的な男子がカンボジアで大人に成長する話。

40代の私には全く理解できない主人公の価値観の展開に、文章の読み易さも相俟って、子供を心配する親のようにソワソワしながらイッキ読みしていた。

ノンフィクション作家の高野秀行さんの解説に、小説の世界では「信頼できない語り手」という手法があるらしく、カズオ・イシグロ「日の名残」やコンラッド「闇の奥」などがその例と紹介されていた。「闇の奥」を読んでまたソワソワしたいと思った。

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2024年10月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

久しぶりの桐野夏生

主人公八目は何も取り柄がない社会人。
唯一誇れることは、高校時代に空知と親友であったこと。
空知は頭もよく、かっこよく、人気者。空知の親友ということだけが自慢だった。
だが、社会人になって急に空知と疎遠になり、アジアへ旅立ち行方不明に。
空知の姉と妹も同様にアジアで行方が知れない状態になっていた。
空知の父親の葬式で、複数人に空知兄弟を探してほしいと頼まれる。

すごく壮大な話だった。展開が結構変わるし、色々な人にだまされ疑心暗鬼になる。早く続きが読みたく一気に読んでしまった。
八目は旅を通じてたくましくなり、大変な経験は人を成長させるんだなと思った。

空知と再会はできたが、変わった姿になりやるせないが
最後に八目と会い空知の望みをかなえてもらったので終わり方はよかった。
空知が亡くなったところで終わったが八目はこれからどうなるのか・・続きが気になる。無事に生きて帰れる気がしない。

カンボジアの政治についてはよく知らないため、背景をしっていたらもっと楽しめたかもしれない。

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2024年09月27日

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ネタバレ

桐野さん作品初めてでしたが、旅行したことがあるカンボジアが舞台ということもあり、だいぶ引き込まれてグイグイ読み進めてしまった。終始、主人公に対しては「なんだこいつ」という感が拭えなかったけど、それでも世界の暗い部分、闇の魅力に抗えず、読み進めるとそれでもずっと不穏で、ハッピーエンドじゃないんだろうなと思わされつつもどういう終わりを見せてくれるんだろう…!っていうワクワクが増していった感じ。そして期待を裏切らない終わりだった。
日本で少し退屈だけど、平穏な日々を暮らしていく人もいれば、それだけじゃ飽き足りなくて違う世界に飛び出していく人もいる。今平穏に暮らしていることは決して当たり前でなくて、一度踏みたがえれば全く違う世界があることを、普段見てみぬふりをしていたり、平穏に飼い慣らされてしまっていたりするけれど、結局全部自分次第なんだよなぁと思ったりする。。
色々考えてしまうけど、とても面白かった。桐野作品また読みます。

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2024年08月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

表紙に魅かれて購入
どうしようもない主人公(晃)に対して嫌な感じになったが、一気に読み進めた

なぜ そこまでして晃は空知に会いたかったのか? 愛情がある??


ニェット婆さん以外は、全員 敵だったか?

空知になる晃 合成ドラッグに溺れていくのか?

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2024年09月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

202408/理由等も描かれてはいるけど、それでもこういう性格・能力の主人公がそれだけで海外に人探しに行くかなあとか、ここまで力がある黒幕達がわざわざとる手段や行かせる言い訳として用意してた設定がこれ(オペラだの結婚だの)って…とか、ちょっと納得いかない部分はあったけど、結局続きが気になるし面白くて一気読み。展開もラストもなかなか衝撃的。バックパッカーやブロガー達の描写も秀逸で、こういうサブキャラ達の外見や言動が、より物語を息づかせている。

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2024年08月14日

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