【感想・ネタバレ】水たまりで息をするのレビュー

あらすじ

ある日、夫が風呂に入らなくなったことに気づいた衣津実(いつみ)。夫は水が臭くて体につくと痒くなると言い、入浴を拒み続ける。彼女はペットボトルの水で体をすすぐように命じるが、そのうち夫は雨が降ると外に出て濡れて帰ってくるように。そんなとき、夫の体臭が職場で話題になっていると義母から聞かされ、「夫婦の問題」だと責められる。夫は退職し、これを機に二人は、夫がこのところ川を求めて足繁く通っていた彼女の郷里に移住する。そして川で水浴びをするのが夫の日課となった。豪雨の日、河川増水の警報を聞いた衣津実は、夫の姿を探すが……。女性が主体として生きていくことの難しさを描いた物語。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

終始、息苦しい作品だった。

夫婦の外側の人間たちの描写に救いがなくてとてもリアルだった。
普通、では息ができなくなってしまったのに壊れた心と身体のまま仕事をし続けていた夫の気持ちを想像すると辛すぎる。
正常な判断ができていないのに、頭からミネラルウォーターかけたり雨水で頭洗ったり。目を背けてしまう、、
そんな時、やっと息ができる場所を見つけることができた。最後の描写も、生死はわからないけれど彼はやっと息ができるようになったんだと思う。そこに辿り着くには死ななければならなかった寂しさ。

母親からの電話に何度も大丈夫という彼。大丈夫ではない人間に大丈夫と言わせる残酷さと、大丈夫か聞く側の想像力の浅さ。でも親ってそうなんだよなぁ。憎みきれないところがある。

私は夫側に感情移入してしまったため、妻側の気持ちがなかなか理解しきれないけれどこういう感じ方があるのかと感心した。

厳しいほどにリアルな小説でした。

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2026年09月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ものすごく面白かった。こういう、現実世界に絶妙に空想が混じったシュルレアリスムっぽい雰囲気は、どこまでも空想と解釈が広がるので大好きです。

「夫が風呂に入らなくなった」という問題は、パートナーが世間的に批判されるような状況になったとき、あなたはどこまでその人を愛せるか?と問うているように感じた。義母から批判され、職場を失い、それでも風呂に入らない(入れない)夫を、あなたは責めるのか、それとも寄り添うのか。

ところどころ妻の圧倒的な生活に結びついた愛情を感じる言動があり、でも責めたい衝動と葛藤し、この人はほんとうに夫のことを愛しているんだなあと切ない気持ちになった。

終盤の台風の後のシーンは解釈がむずかしいなあ。夫が出てこないのも不思議だし、魚をまた飼おうとしているのも。捉え方によってはものすごくダークなように解釈できそう。

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2026年09月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

妹から誕生日プレゼントで貰った1冊✩.*˚
「自分の夫だと思って読んで」と言われたので、旦那に置き換えながら読んでみました。
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ある日突然お風呂に入らなくなった夫。
はじめは、会社で嫌な処遇を受けていて、後輩にかけられた水がトドメになったのかな?読み進めてくと語られるのかな?って思ってたけど、最後まで特には触れず。
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本人は、自分自身が不潔なことに気がついてはいるが、それでも入れない。
自分の夫がもし、そうなったら私はすぐに精神科に受診させるだろう。
主人公の何もしていない感じが私には理解できなくてイラッとしてしまった。
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最後は、え!?夫どうなった!?とすごく気になり余韻がすごい。

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2026年08月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

お風呂に入らない以外旦那さんは穏やかでいい人そうだし、夫婦2人で生きていくという決意のもとの生活、互いに干渉しすぎない生活は一見良さそうに感じる。でも人に迷惑がかかるほどにお風呂に入らない。私なら病院に連れて行ってしまうかもしれない、と思うと衣津実の冷静さが羨ましくも思った。それは私の中に弱さがあるからなのか?
なんでこうなったか、最後どうなったかも語られないけど、それよりもこの生活自体が不思議で奇妙で読んでる側としては夢中になって読んでしまいました。私は高瀬隼子さんの小説が、人間の隠しきれない本当のところが見えるから好きです。

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2026年08月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

書かれてないところを深掘りすればそんな簡単なことではないのかもだけど、あえて簡単に言ってしまうと心に傷を負ってしまった夫をもつ妻のお話なんだろう。
正直、最終的にこうはならないでしょっていう感想にはなってしまったのだけど、心理描写の表現が共感できる部分があったり、いやそうじゃないだろっていうところがあったり、自分だったらとか、今の生活で同じようなことがあったらとか考えながら読めた。
途中ちょいちょい出てくる「おままごと」、これはいわれても仕方がないでしょ。とも思った。
最後は、無理やり終わらせた感があるが、逆にこの終わりかたがいちばんリアルなのかもとも思った。
終始、違和感を感じさせられたことで、一気に最後までページをめくらされたのかもしれない。

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2026年09月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

夫がお風呂に入ってないことに気がついた

ふとしたことから水道水がダメになってしまった夫、お風呂に入ることを強要できない妻。常識で行うことのただひとつのことができなくなった、それだけで社会からは弾き飛ばされてしまう。

「狂うということは、感情の爆発の先にあるのだろうか」(P59)
「許したくてしんどい。夫が弱いことを許したい。夫が狂うことを許したい。」(P115)

水がダメになったというのはただの象徴であって夫は精神的にもう一般社会ではやっていけなかったのかもしれない。

一度読み始めて体がどうしても痒くなって読み進められずにいたけど今回やっと!読み切りました。

私だったらどうするかなぁ…精神は置いといて水だけの問題なら温泉がある土地に引っ越す?(というか、水がどうこうより石鹸がNGだったために退路を断たれてた気がする。)

第165回芥川賞候補作。読み終わってこれで受賞できないのか…と思って165回の他の作品を再確認したところ、この回、レベル高すぎ(汗

日本人は垢がたまりやすいのかな。イギリスのホームステイ先のご主人は一週間で一回くらいしかシャワー浴びてなかったけど全然大丈夫そうだった。

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2026年08月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

これまで普通に働いていた夫が、突然お風呂に入らなくなる話。

高瀬隼子さんは、不快感を描くのが抜群に上手い。夫の汚れていく過程がリアルで、嗅覚が過敏なわたしは文字を読むだけでもちょっと気分が悪くなるほど。

そんな夫を否定せず、寄り添う⾐津実は気長というか、こういう愛情もあるな‥と読み進めていくと、だんだんとそんなきれいでシンプルなものじゃないと気付かされる。

幼い頃に雨上がりの川で拾った魚「台風ちゃん」と彼女の関わり方から見えてくる、彼女の本質が怖い。そしてそれを踏まえた上でラストを読むと、本当に狂っているのはもしかして⾐津実なんじゃないかとすら思ってしまう。

ここからネタバレを含むけれど、⾐津実は愛情深いとか見守る懐の広さがあるとかじゃ全然なくて、ただの無関心なんじゃないだろうかと思ったりした。水道水が嫌だという風呂に入らない夫にミネラルウォーターを買ってきたりするのは、世間体だったり常識的に臭いのはあかんでしょ、という外に向けたパフォーマンスであって、彼女自身は一貫して無関心なようにも思える。

汚い水の中に放っておかれても生きていた台風ちゃんと、夫の姿が重なる。

そして、壊れていく夫を間近で見ながらも「うつ病なんかじゃないでしょ」と見て見ぬ振りをした結果は、台風ちゃんと同じように残酷なものだ。

他の方のレビューを見ていると「台風ちゃんの呪い」とか「夫は台風ちゃんの生まれ変わり」とか面白いものもあるけど、わたしは単純に⾐津実の内面の残酷さを描いたお話だと受け取った。

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2026年07月03日

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