【感想・ネタバレ】君の顔では泣けないのレビュー

あらすじ

高校1年生の坂平陸は、ある日突然クラスメイトの水村まなみと体が入れ替わってしまう。どうやら一緒にプールに落ちたことがきっかけのようだ。突然のことに驚き、戸惑いながらも入れ替わったことはお互いだけの秘密にしようと決めた2人。しかし意外やそつなく坂平陸として立ち振る舞うまなみに対し、陸はうまく水村まなみとして振る舞えず、落ち込む日々が続く。まなみの家族との距離感、今まで話したこともなかったまなみの友達との会話、部活の顧問からのセクハラ……15年間、男子として生きてきた自分が、他人の人生を背負い女性として生きること。いつか元に戻れる日を諦めきれないまま、それでも陸は高校を卒業し上京、そして結婚、出産と、水村まなみとしての人生を歩んでいくことになる――入れ替わった後の15年を圧倒的なリアリティで描く、第12回小説野性時代新人賞受賞作!!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

中身が入れ替わった主人公と同級生の話。

入れ替わった男側(体は女性)の目線で物語は進んでいく。
入れ替わりの物語は多々あるが、15年という月日を描いたものは少ないように思う。

その中でそれぞれが「この体は自分の体だけではないから」と気を遣いながら、時にそれを嘆きながら生活するその様は斬新な気持ちで読んでいて面白い。

でも性に関しての描写や、入れ替わった先が異性故の悩みなどジェンダーに関するところは現代的だと感じた。

現実にはありえないからこそ登場人物の苦悩を想像し、その気持ちを察しようという思考になる点がこの小説の醍醐味であり魅力だった。

読み終わるまで時間は掛からなかったし、どんどん読み進められるそんな面白い小説だった。

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2025年12月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

*第12回小説野性時代新人賞受賞作

「もし、入れ替わったら、どうする?」
これは、"男女の入れ替わりの物語"

今まで、「入れ替わり」の物語は見たことがあった。
しかし、高1の頃から15年にもわたる期間の長さに驚いてしまった。

坂平と水村は朝起きたら入れ替わっていた。
それは家族にも、友だちにも誰にも言えない。
情報交換をしながら、互いを演じ切ることを決意する。
しかし、そんな中で、"水村"がこの1として生きる"坂平"がこの15年の間に恋愛し、結婚し、それに子供まで作るのは、すごいなぁと思った。

自分がもし、誰かと入れ替わったら、どうするのかな?
15年もどうやって生きていくんだろう…?
この2人の人生がリアルに描かれている。
続きが気になったので、スラスラと読み進められた。

映画化で話題の本作!
映画もかなり楽しみな作品です!!

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2025年11月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

面白くて一気読みした。
入れ替わる系はどの作品でもよくあるストーリーだから期待してなかったのに、思ってたよりも面白くてとても好みな作品でした!
生々しいシーンや恋愛、結婚、出産と入れ替わったままでもしっかり人生を歩んでいく感じがリアルで、あやふやにせず描写されているところが凄く好き!
坂平くんが弱音を吐くシーン、それを水村さんがあっさりと慰める感じが男性と女性での精神的な強さの違いを表現されてる気がしてそこも好き。
そして結末が分からないのもこの作品の良さだと思います。

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2025年11月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最近読んだ作品の中で1番の良作。
入れ替わるということがこれほどまでリアルに、時には生々しささえ感じしてしまうほどであった。

お互いの家族、友人に対して、また性別の違いに対する障壁など様々な葛藤が細やかに描かれており、作品を通して退屈するところがなかった。

視点としては入れ替わった後のリクの視点がメインであったため、マナミはどのように感じていたのだろうと気になりながら、読み進めていくと、最後にマナミ側の視点も描かれており、お互いの心情について最終的に知れたのも高評価。

万年筆や月などを使った上手い表現の仕方も好きであった。

個人的にもう少し知りたかったところを挙げるとするなら、ラストに学校のプールに忍び込んで、その後本当に入れ替わったのかどうかが気になった点である。アナザーストーリーの最後に、その描写があれば文句ないほどの神作品であった。

映画もぜひ観に行きたいと思う。

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2025年11月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

『君の顔では泣けない』は、感情表現と主人公の生き方という点において、非常に静かで、しかし確かな重みをもった作品だと多くの読者に受け止められている。

本作の感情表現は、声高に叫ばれることがない。主人公・陸が抱える苦悩や迷いは、涙や激情として噴き出すのではなく、日常の選択や沈黙、諦念に似た受容の中に沈殿していく。その抑制された描写が、かえって感情の深さを際立たせている。
「泣けない」というタイトルが象徴するように、感情は常にそこにあるのに、それを素直に表出できない。その不自由さが、読む側の胸に静かに迫ってくる。

主人公の生き方もまた、この作品を重厚なものにしている要素だ。
陸は「元に戻るために生きる」のではなく、戻れないかもしれない現実を引き受けながら、その都度、自分に与えられた人生を選び続ける。異性の身体で生きることの違和感や痛みを抱えながらも、結婚し、家族を持ち、社会の中で役割を果たしていく姿は、英雄的でも劇的でもない。だからこそ、それは現実の人生と地続きの重みを持つ。

読者の多くが心を打たれるのは、主人公が「正解」を選んでいるわけではない点だろう。
迷い、後悔し、それでも立ち止まらずに生きていく。その姿は、人生とは取り戻す物語ではなく、積み重ねていく物語なのだという静かな真実を突きつけてくる。入れ替わりという非現実的な設定を用いながら、描かれているのは極めて現実的な生の重さだ。

感情を爆発させない代わりに、時間と生活の中で感情を育てていく。
主人公の生き方は、「どう生きるか」を問いかけるというより、「こうして生きてしまう人間もいるのだ」と示す。その誠実さが、読後に長く残る余韻を生んでいる。

派手なカタルシスはない。だが、自分の人生を他人の顔で生きざるを得なかった一人の人間が、それでも人生を肯定しようとする姿は、確かに胸を打つ。
この作品の感情表現と主人公の生き方は、読む者にそっと問いを残す――自分なら、この人生を引き受けられるだろうか、と。

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2025年12月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

設定が面白い。他の入れ替わりものの結末を知らないけど、とても丁寧にその後を書いている。
支え合う男女2人の友情物語としてよんだら泣けてきた。
自分の本当の姿を言えない、それでも自分らしくいきる道を模索するという意味では万人に共通するテーマだと思う。

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2025年12月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

自分が性別が違う人と入れ替わったらどうだろうと想像して怖くなった。
家族や友人、職場、慣れ親しんだ場所が他人のものになり、自分には新しい場所が与えられて、でも他人を演じないといけないから上手くやれなくて、、二人の立場を想像すると本当に辛く、苦しい
自分にはとても上手く生きていく自信が無いと思った。

苦しみながら、それでも二人は諦めずに自分の人生を生きていて逞しい。
入れ替わってから15年間、相手のことを大切にする気持ちと共に、自分の人生も諦めなかったから、元に戻るのが怖いと感じるんだなと思った。
ラスト二人がどうなったのかは明かされないけれど、そのまま戻れなくても、元に戻ったとしても、二人は自分だけの人生を生きていくことができるんだろうと思った。

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2025年11月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

15歳で人生と性別が入れ替わってしまう。
自分は男性で中年だけど、15歳から30歳というのは人生でいろいろなことが大きく変わっていく歳。

もちろん30歳からもさらに成熟していくのだが、この15年という歳月で自分という人格がある程度形成されていく時期に、自分なら陸のようにまなみを守っていくのか、またはまなみのように陸を謳歌していくののだろうか。

冒頭での身体が入れ替わってしまうこと自体はファンタジーなのだが、15歳からの陸目線での思想の描写で、少しずつまなみの人生を受け入れていくのがリアルだった。なんだか自分のなかでも女性になった気持ちになってしまうくらい。

結局は戻れなかったのだと思うけど、個人的には元に戻ったあとの二人の人生まで話を膨らませてもらいたかったかなということで星4。でもそれはそれで辛い人生かなとは思うけど…。

読み終わってしまうのが寂しいくらいだった。
映画を観るのが楽しみで仕方ない…

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2025年11月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

男女が入れ替わってそのまま15年戻らず
結局なんで入れ替わったかもわからず、戻ることもなく

2人の視点を書くのではなく1人固定というのも珍しくとても楽しく読めました。

映画化のCMで15年経った、そして妊娠しているのをみて衝撃すぎて読みましたが読んでよかったです

男と女、生きやすいのはどっちなんだろうなあと何度も思った。

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2026年01月27日

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