【感想・ネタバレ】彼女たちの売春(ワリキリ)のレビュー

あらすじ

出会い系メディアを利用して行われる現代型売春“ワリキリ”。100人超の“彼女”たちへのインタビューから、その実像=変わらぬ排除と貧困の構造が明らかに。気鋭の評論家、初のルポ。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

読んでいて非常に辛い内容。
ここまでの調査を行った著者に敬服する。

貧困や精神疾患などによって、ワリキリという名の売春をしなければならない女性たちがいる。この本はそんな女性たちへのインタビューをまとめたものである。

ただ、留意が必要なのは、ワリキリを行う女性たちは、必ずしも困窮している人ではないとも著者が記していることである。実際に、それ以外の女性のインタビューも本文中に登場する。

一方で、ワリキリに頼らざるをえない女性たちも相当数存在する。
そんな状況は過去のものだという言説は全くの間違いであることを本書は指摘する。

本書の中で印象的だったのは、女性たちのエピソードもさることながら、出会い喫茶の創設者へのインタビューである。どこまで本音を話しているのかは疑う必要があるであろうが、この創設者は出会い喫茶を行き場がなくなった人々の生きていく場であると答えている。本文中にもそれを示すように必要悪という言葉が何度も登場する。
合法な世界で生きていくことが困難になった人々は、グレーな世界に足を踏み入れる。そのグレーな世界がつぶされれば、また別のグレーな世界が生まれ、そこに人が集まる。
そのグレーな世界を批判するのであれば、人々がそこに足を踏み入れなくてもいいような社会設計をしなければならない。それが著者の言う、「売春男に彼女たちを抱かせることをやめたいなら、社会が彼女たちを抱きしめてやれ」(p313)という言葉である。

余談だが、この本と『AV女優の社会学』との関係が気になった。『AV女優の社会学』では、女性たちがAV女優になる理由は非常にありふれた理由であり、著者はその点に関してはあまり関心がないことを記している。
そのありふれた理由がどういったものだったのかということが気になった。
それははたしてこの本(『彼女たちの売春』)で書かれたような理由と強い相関性があるのか、はたまたそれは単なるこちらの勝手な想像なのか。そういったテーマで書かれた本があれば読んでみたい。

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2013年09月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

出会い喫茶や出会い系サイトを利用しての非管理買春である「ワリキリ」を行う女性たちについてのフィールドワークをまとめた本

虐待やネグレクト、貧困、DV、精神疾患や依存症、身体障害、母子家庭・・・読んでいて胸が痛む境遇がほとんどで,どうしたらいいのかと考え込まざるを得ない。

というわけで、非常に有益な本なのだが、欠点が2つ
1 文章。冷静な描写や分析が続くのに、各章の最後が突如ポエム的になるので面食らった。
2 専門用語(?)の説明がなくて不親切。「セクキャバ」「バンギャ」等の用語にについて、巻末に五十音順の解説がほしかった。

特に印象に残った点
・ 最近の「貧困問題」は男性も貧困に陥ったので慌てて騒ぎ出した側面がある、との指摘
・ 「ワリキリ」は「風俗」等に比べて搾取が少ない、という事実

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2013年10月26日

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