あらすじ
華族令嬢の一之宮 菊華は両親を喪い、強欲な叔父夫婦に育てられた。淑やかに躾けられた美しい人形のような菊華は、年頃を迎え、老人の後妻として売られそうになる。
たまらず家を飛び出しはや五年――。
貿易船にもぐりこんだ菊華はイギリスに停泊する船でしっかり者で目端の利く下働き(男)に成長していた。愛する骨董品に携わる仕事で、将来は自分の骨董店を持つのが夢だ。
そんな折、貿易商会の会頭である東堂政宗が船を訪れる。
彼と因縁のあった菊華は女性だと暴露され、なぜか彼と結婚することに……!?
豪華絢爛なアンティークジュエリーと陰謀うずまく社交界をめぐる、恋と謎の物語。
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Posted by ブクログ
顔だけはいいインテリヤクザと作者様に称された政宗よ。
しかも彼は終盤囚われのヒロインでもあったという。
助けに行くのは勿論、菊華である。
骨董品大好き、鑑賞用の美術品大好き(だから旦那様の顔は好き)実家を抜け出し男として生きてきたので度胸もあるし、物覚えもいい方なので割と有能。
中盤くらいまでは割と無双してたし。
そんな二人の契約結婚してからの、骨董品に関する「いわくつき」解決したり、囚われの旦那様を救ったりするお話。
とにかく総じてキャラが濃い。
主役二人は言わずもがな、途中から仲間(?)になる政宗のことも菊華のことも大好きな女泣かせ男に、菊華を厭う女性陣(後に華麗なる手のひら返しを見る)もなかなか。
何より、菊華のお母様が一番濃かったかもしれない。
菊華は確実にお母様の血を引いたのだなとしみじみ感じたラストという。
アンティークも不思議現象も事件も(そして主役二人の恋も)絡めた割と盛り沢山の内容ながら、濃いキャラたちが隙あればコメディを繰り広げるので笑いながら読みました。
一冊でお腹いっぱいになる贅沢なお話かと。