あらすじ
江戸を舞台に、個性豊かな三人の婆たちの日常と
その周りで起こる悲喜劇をコミカルに描く
「女性の老後」をテーマにした長編小説。
名手宅の祐筆(文書や記録を取り扱う職)を得て静かな余生を
過ごしたいお麓(ろく)は、おはぎ長屋という長屋に住んでいた。
これで老後の安泰は約束されたと思い込んでいたが、
その平穏な暮らしはわずか一年で終わりを迎えた。
お菅(すげ)が越してくると、さらに半年後には
お修(しゅう)がやってきたのだ。
二人の幼馴染はお麓の長屋を毎日欠かさず訪ねてきては、
心底どうでもいい話をしゃべり散らす。
お麓はこの先、二人とうまくやっていけるのか。
安穏に暮らすはずの余生はどうなってしまうのか。
さらには、いろいろな事件に巻き込まれていき……。
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
おもしろくなくはないんだけど、如何せん三人の婆たちに共感できないというか、魅力を感じられなかった。
まさに姦しい。なんかこう、歳を重ねたからこそのみたいなのがあまりなく、皆偉そう(笑)
でもお萩の武家の娘としての凛とした感じは読んでいて気持ち良かった。
Posted by ブクログ
西條奈加さんの「南星屋」シリーズ*が大好きで、こちらも読んでみた。
*江戸の町で親子3代で和菓子屋を切り盛りするお話。
(まるまるの毬、亥子ころころ、うさぎ玉ほろほろ)
ーーー
江戸の町屋にすむ3人の姥。子どものころの幼馴染で遠慮がない。
考えるより先に口が出る、イヤミも出る、態度に出る 笑。
それでも裏腹なく本音で体当たりなので、かしましい姥3人、楽しくやっている。
ある日、行き倒れの母娘を助けて、流れで女の子を預かり暮らすことになる。
どこかから逃げてきたようだが、女の子は口が聞けず名前すらわからない。どうやら何か訳あり??
ご老齢の暮らしに「子ども」という楽しみ喜びができて、張り切る3人。家事やら読み書きやらまめまめしく世話をやく。
手がかりはないまま、日々暮らしていると点と点がつながって……
一冊でストーリーが繋がっており、女の子お萩の出自が気になるし怪しい養子の話が出てきたり、どんどん読み進められた。
伏線がこう繋がるのもほぉー!と驚き。
途中には和歌もたくさん出てきて幅がひろいな。
姥も3人寄れば文殊の知恵??
身分の壁をこえて頭を捻り町人の人情があつまるのは胸が熱くなった。
ここでいう姥たちは江戸時代だから5、60代くらいなのでは??今ならまだまだお元気なお歳よね。
というわけでシリーズ化しそうな予感?
Posted by ブクログ
婆さまたちの日々の暮らしや来し方から浮かび上がるのは、人によって程よい距離感って異なるから人間関係って難しいよね、というところだろうか。
お麓はもう一歩踏み込んだ感慨を抱く。感情に蓋をしていると別の形で発散させる可能性があるということだ。酒、博打、色、暴力。抑圧された感情が暴走するのは、自分自身かもしれないし身近な人物かもしれない。そんな危険な状況に陥るぐらいなら、めんどくさいながらもコミュニケーションを交わして、それぞれの心の風通しを良くしておく方がいい。
作中の水落のように心がないものには通じないのだろう。けれども、通じない相手と対峙するときには味方がいた方がいいわけだし、リスクヘッジとしては悪くないように思う。挨拶やちょっとした声掛けも、双方にとって効果があるのだ、きっとたぶん。