あらすじ
「この子たちに選択肢を与えてあげられるのは世界で一人、私だけだ」
大手化粧品メーカーで働く新田茜は、ある日従姉妹のさやかの影響で、中学受験回避のための小学校受験に興味を持つように。
テレビ局記者の夫を持ち、世間的にはパワーカップルと呼ばれる茜たちだが、お受験の世界はさらに上の富裕層との戦いだった。
仕事と家庭の両立、協力してくれない夫、かさんでいく教育費、思い通りにならない子供たち。
悩み葛藤しながらも、5歳の娘・結衣を名門小学校に合格させるため、茜はどんどん小学校受験にのめり込んでいく。
その先に見えるものとは――。
東京で過酷なお受験に翻弄される家族の物語!
※紙書籍版カバー裏には、特別短篇「新田茜の子離れ」を収録(電子版には収録されません)。
※電子書籍版巻末には、特別短篇「新田総介の人生」を収録。
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Posted by ブクログ
私にはまだ子供がいないのですが気持ちがとても理解できる本だなと思いました。
子供が成長するための環境はどうしても親しか作れない。親の視野が子供の世界になってしまう幼少期。
親は自分の幼少期の時の風景しか知らずに大人になり、もっと自分の幼少期にはこうして欲しかったや自分にも別の世界があったのではないかと考えずにはいられません。特に大学受験で苦労したり、高校入試など、その前からエスカレーター式で名門大学に入れてもらえていたら、、、そんな思いがよぎってしまう主人公。
小学校受験をさせようと思い至りますが、そこもまた不思議な世界で広いようで狭い世界。
初めてのことで何が正解か不安になりながらも進むしかない道。
受験を機に家族関係までもが変化し、仕事と家事の両立。協力的ではない旦那さん。
子供のための受験は本当に子供のためなのか,子供はスクスク元気に育ってくれれば満足ではないのか。。
だけど大人になったら分かる格差を前に親としてはより良い環境を用意してあげたい。これは親のエゴなのか。
悩む姿がとても印象的でした。
結局は娘に将来どうなって欲しいか面接で聞かれた時に後悔しないように生きて欲しいと答えてしまう。
でもそれが志望校に合わせて国際的に活躍して欲しいや定型文ではなく本来望んでるものなのだと思う主人公の葛藤。
実際にその子が幸せか未来なんてわからない、
何を望んで受験させようとするのか。子供の可能性を広げるため、幸せになって欲しいため。
幸せとは何か、形があるようでなくて人それぞれの回答があるはずであり、それで良いはずなのに。
受験をしてその学校に行くことが正義であるかのような世界観。とても深いなと思いました。
実際にはそれで着いていけなくなって落ちこぼれることだってある。知らない方が良い世界だってある。
大富豪と比べたらいつまでも自分はちっぽけで、でも幸せじゃないわけではなくて、お金や経験で幸せは測れない。答えなんてないけど幸せを考えさせられる作品でした。
また余談で、主人公の旦那さんの態度で共感できる部分が多くて、旦那にいかに自分のして欲しい行動を取ってもらうようにコミュニケーションを取るかは重要なのは要素だと思いました。
Posted by ブクログ
小学校のお受験、小受を目指す
新田茜の娘、結衣。
夫婦の世帯年収2000万超えでも、
東京ではペンシル住宅に住み
私立受験を悩むのかぁ。
桁違いに金持ち世帯の世界なのかなぁ。
受験も大変だろうし、
入ってからも価値観の違いとか
ありそうで怖い。
子どもの意思なんてさすがにないだろうし、
完全に親の自己満足の世界。
それが将来的に子どものためになれば
全然いいと思う。
あとは、夫婦で同じ気持ちでいること。
片方だけがやる気満々で勝手に話を
進めるのは良くないと思う。
新田夫婦も怪しかったしな。
ともあれ、無事に合格して良かったね!
Posted by ブクログ
家族と子どもの小学校受験のお話。
こんな小さいうちから受験かあ、、、
こどもがかわいそうだなあ、、
なんて先入観を持って読み始めました。
私にとって小学校受験なんて未知の世界。
でも、都市部では本当にこの世界があるんですね。
この作品を読んで、
果たして小学校受験する(させられる?)子どもはかわいそうなのか。。
実際かわいそうなところはあるんですが、
やっぱりそれだけじゃない。
マイナスの面も確かにあったと思うけど、
それ以上に、目標に行き着くまでの過程や経験が
確実に子どもにプラスの面をもたらすこともあるんだな
と思えました。
そこまで頑張った子どもたちの未来が、
少しでも素敵なものになっていて欲しいと思います。
Posted by ブクログ
バスで立ちながらこの本を読んでいる若い男性がいて(そんな面白いんか....)となり、自分も購入した小説です。
お受験の世界というテーマでヘビーなところもありますが、文章が読みやすくて内容も面白くてサクッと読み終わりました。
印象に残ったのは、大道寺先生の教室に通わせるようになってから、唯衣が「できる子」だったことで、母親の茜が優越感を感じるところ。教室のママ友となった麗佳が子育てに悩んでいるという話を聞いて余計に歪んだ自尊心が高まる。もちろん、母親の茜は、子どもは自分の所有物ではないということを理解していて、その後すぐに優越感に浸った自分を浅ましさを思い知る。親の虚栄心を満たしたりする存在ではなく、この醜い感情に気づかないまま無垢で育っていってほしいと願っている。
自分は子どもはいないけど、こういう感情ってあるよな、と。仕事や趣味などで、仲間の手柄を自分の能力と錯覚して優越感に浸ってしまったり...そのドロドロとした感情に身に覚えがあり、ちょっと反省しました。
地方出身の茜は、東京に出てきて教育格差や良い学校を出ることで選べる将来の選択肢が多くなることを感じていて、自分が味わった差別や苦痛を娘の唯衣には味わせたくない。だからこそお受験を成功させたい。
一方で、夫の聡介はお受験に失敗していて、大人になった今でも母親にそのことを突かれている。そういう経験から、唯衣に幼少期から失敗したいうレッテルを背負ったまま生きていってほしくないと思っている。
茜も聡介も娘に幸せになってほしいとそれが一番と願っているが、自分の経験によって考え方が違ってくるのはやっぱり面白いなと感じました。
Posted by ブクログ
2024/02/21リクエスト17
知らない世界なので興味本位で読んだ。
こんなにすごいのか…
化粧品メーカー広報の茜は、娘の結衣を中学校受験させないため、小学校受験させる。
40歳前の慶應大同級生夫婦でテレビマンのオット1,300万、妻750万の稼ぎ、文京区に億超え戸建てを持ち…ってその時点で桁外れ成功者に感じられ、鼻白む。
塾を掛け持ち、送迎を家政婦さんに頼み、夕食作り置き掃除洗濯もお金で解決。
お陰で結衣は無事に志望校に入学できた…
途中、義両親との関係や夫の浮気などあったもののラストはきれいにまとまる。
都心にはお利口さんっぽい子どもがラッシュ時にもたくさんいる。
その子たちは、そんな経験をしてきたのか!と改めて思った。
エンタメ小説と読むなら、面白い。
受験を知っている人からしたら、そうじゃない、と思うところもあるのかな。