【感想・ネタバレ】対怪異アンドロイド開発研究室のレビュー

あらすじ

「おばけは怖くありません。機械ですから」
彼女にはいくつかの優れた機能がある。話題が無限分岐し堆積していく雑談でも自然言語による受け答えができる。ZMPを見極めながら階段や斜面の昇り降りができる。補給なしに六時間以上の連続稼働ができる。ドアノブを掴んで回すことができる。――おばけが見える。
白川研究室は「出る」と言われる場所や噂を調査する対怪異アンドロイド・アリサを開発した。機械の彼女は、呪いも祟りも受け付けない。ゆえに、恐怖心もない――。深夜に山奥の廃村を調査したアリサは、搭載された機能を駆使して、さまざまな異常を検知する。白川教授の研究テーマに興味を惹かれ、初めて研究室を訪問した新島ゆかりが、アリサが持ち帰ったデータを見ると……。
恐怖を感知しない美麗アンドロイドVS.予測不能な「怪異」。第8回カクヨムWeb小説コンテスト〈ホラー部門〉特別賞を受賞した新感覚ホラー・エンターテインメント!

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

「怪異」をAIで問題とされているフレーム問題(現実世界で起きる無数の出来事のうち当面の問題と関係ある事柄のみ抽出(=フレームの設定)し、それ以外の事柄は無視して思考しなければならないことで、たとえば人間はハウスダウトの動きをいちいち目で追ったりしないし、物を移動する時に壁の色が変わってしまう可能性などは無視し効率よく認知処理を行っている)にからめ、怪異そのものは物理的に存在しているが人間の認知フレームの外にあるから人間は実態を把握できないと定義づけしているという設定が勝利。オカルトとSFという異ジャンルの組み合わせがただの目を引こうとするだけのアイデアではなく、AIだからこそ人間が認知できないものを調査でき得るという必然となったわけだ。オカルトとSFというと円谷プロの特撮ドラマ「怪奇大作戦」を連想してしまったが、こちらは一見オカルティックに見える奇怪な現象は、実はすべて科学技術で犯罪者が作り出したものだとするミステリーだったが、まったく違う発想だったのにとにかく感心してしまった。登場人物のアンドロイド『アリサ』の開発者である博士が、なぜ怪異を自分で調査せず超高性能アンドロイドを作ってまで調査させるという遠回りこの上ないことをするのかという問題も、自分で調査するのが「怖いから」という理由で解決しているのも上手い。確かに怪異に直面したら人間は調査どころかそこから逃げ出すことしか考えられなくなるが、アンドロイドは平気で怪異の中に飛び込んでいくというわけだ。その設定が、ガチのホラーは読むのが「怖いから」ダメという読者でも、ホラーの表層のゾクっとするところだけを味わうことができるという仕掛けにそのままつながっている。

0
2025年01月06日

Posted by ブクログ

怪異に対峙するけど祓うわけではないアンドロイドのアリサ。
裏世界ピクニックや唐木田探偵社の物理的対応にめちゃくちゃ通じる作品で好みすぎた。
設定面白かったから続きがぜひ読みたいです。
出来たら文庫なら良かったのにな〜と思う。
いちばん気になるのは貝洲理江子さんとビバ・ヒバレッジという会社と久方タクシー。
この3つはまだあかされていないしこれからまだ続きそうだと思った原因です。
異界への入り口のはなしが好きなのでそこをさらに描いた作品を読みたい。

0
2024年02月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

アンドロイド。アリサ。怪異。検知システム。
有栖。ゆかり。青島。心霊スポット。電車。ストーカー。AI。

0
2025年08月17日

Posted by ブクログ

怪異に感情がないアンドロイドをぶつける発想は面白いし教師データを集めることで怪異かどうか判断するとかの設定も楽しかった。
AIの絶妙な融通の効かさなさも良かった。
アイデア一本勝負でなく出てくる怪異もちゃんと不気味で良かったけれど最終章が少し唐突な感じがした。
次回作が出るならぜひ読みたい。

0
2024年12月19日

Posted by ブクログ

高性能アンドロイドは不気味な怪異なんて恐くなくても、その行動を追って読んでる方はちゃんと恐いんだな…とビビりながら読んだ。大筋はなんだかんだ上手いことまとまって大団円の雰囲気を出しているけれど、締めに至るまでの幾つかの変事件はきっちり解決していないので、余計に恐いというか、嫌な後味が残るので良かった。『異界案内』が何も信用できなくなるので、面白かった。

0
2024年11月12日

Posted by ブクログ

設定勝ち。怪異というゲームイベントの裏側をデベロッパーツールで覗こうとするようで、ゲームデザイナーらしい怪談へのアプローチだと思う。これまで「そういうものだから」と納得するほかなかった怪談の裏側にはじめて頭を突っ込めたような快感がある。
アリサの先進性、得られた記録の重大さに対する世間の反応があまりにアンバランスで、それに伴って研究所の成り立ちに色々と疑問が生じること、いかにもラノベ/アニメっぽいキャラづけ・口調づけ、会話主体で話を進行させる作品としての軽さは個人的に好きじゃない。
良くも悪くも設定の面白さ一本で押し通した感がある。異世界アニメみたいなギルティープレジャー。

0
2024年03月17日

Posted by ブクログ

怪異テイストは好きだけどホラーまでいくと苦手、という人にちょうど良い一冊。終盤の湿っぽさは私好みではなかったが、全体を通してとても楽しめた。小難しい用語が散りばめられており、厨二心をくすぐる。総じてハイティーン向けだと思われる。

0
2024年01月26日

Posted by ブクログ

「対怪異アンドロイド」という胸熱ワードに惹かれて購入。(「最先端科学をもってオカルトに挑む」というのがロマンの塊で大好物なんですよ。)

近城大学の白川教授率いる研究室は、「対怪異アンドロイド開発研究室」を名乗り、高性能アンドロイド<アリサ>を"いわくつき"の場所等に派遣して、「怪異」の調査を行っていた―――。

「怪異に対する恐怖心はないし、呪いも受け付けないよ。だってアンドロイド(機械)だもの―――」ということで、ジョークも言えちゃうクールな高性能AI搭載アンドロイドのアリサちゃんが、様々な怪異に接触、調査するお話を期待していたのだが・・・いや、実際それが中心と言えるとは思うのだが、「白川教授がなぜ『対怪異アンドロイド開発研究室』を立ち上げて怪異の調査を行っているのか」、という内容が物語のメインストリームとなっているため、どことなくアリサちゃんの活躍は薄味な感じ。

うーん、上記のようなバックストーリーの内容を扱うにはちょっと尺が足りない。もうちょっとエピソードを重ねた上で扱う内容かと。駆け足感が強く、読後の満足感がイマイチだったのが残念。シンプルな調査エピソードをメインにした方が良かったんじゃないかなぁ。

とりあえず、怪異に物理攻撃を仕掛けるアリサちゃんは最高だな!(怪異は爆速で逃走。笑)

0
2025年03月16日

Posted by ブクログ

SFもホラーも好きなので前から気になっていて読んだ。おばけが怖くないアンドロイドが怪異とどう対峙していくのかの描き方が良かった。ヨモツノヘグイのくだりが好きだった。怪異を「認知フレームの外側にあるもの」として扱っているのが自分の考え方に近くて「わかる~」ってなった。
ラストはこの先も続きそうな感じだったが、続刊が出たりするんだろうか、、、

0
2024年12月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

近城大学の白川有栖教授が、女型アンドロイドのアリサをつくって、怪異調査をする話。アンドロイドなら祟られないから問題なし とはいかない。充電しないとだめだし、AIは自意識過剰なポンコツなところがあるし。最終章も顔をみたら死ぬおばけの画像でラスボスを退治するのはやや無理がある展開だったので小説的には星三つ。怪異が見える子ちゃんを使って怪異検出AIの学習するアイデアは 上手い。

0
2024年07月22日

Posted by ブクログ

近城大学白川研究室。ここで対怪異アンドロイドを開発している。実は白川教授の妹の有紗に似せたアンドロイドだ。有紗は行方不明になっている。そのために白川教授がアンドロイドを開発して、失踪した妹の跡を探そうともしている。そしてそのアンドロイドには対怪異AIが搭載されていて、怪しいものの怪しさを評価してくれるという。

0
2024年07月19日

Posted by ブクログ

怪異を科学的に解明していく話かと思ったら、だいぶ違った。アンドロイドのどんな怪異にも恐怖しない様子は読んでいて小気味良い。

0
2024年06月16日

「小説」ランキング