あらすじ
魔王討伐から数年後、王国で開催されている慰霊祭で亡くなった者たちに祈りを捧げる勇者たち。王都が祭りの喧騒に包まれる中、勇者はかつて旅の始まりで出会ったリュドニア国の姫と再会を果たす。少し緊張した面持ちで言葉をかける彼に、姫は冷たく重い声で「リュドニアの勇者を殺したのはあなたですか」と糾弾する。かの勇者が姫の兄であり王子だったことを思い出した彼は、心にかすかな痛みを覚えながら「王子を殺したのは魔物シェイプシフター。あなたもご存じのはず」と伝えるのだが……。これは旅の始まりで出会った、もうひとりの勇者と姫の物語。
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ラノベ読者でない方にもおすすめしたい傑作!
勇者は魔王を倒した。だが同時に帰らぬ人となった。
なぜ、勇者は死んだのか。
魔王が殺したのか、それとも仲間なのか……。
他作品ではあまりない珍しい切り口で描かれるファンタジーミステリ!
魔王が倒され、落ち着きを取り戻した王国は、亡き勇者の偉業を文献にまとめる事業を開始。
魔王討伐の旅を共にした仲間をはじめ、勇者とゆかりある人物へのインタビュー、そして彼らの視点による回想を挟みながら物語は徐々に核心へ。
読みやすい文章ながら、登場人物たちの心情描写や物語の構成の巧みさに唸らずにいられない。
そして充実の読後感。
本作の著者、ライトノベルというジャンルで「本屋大賞」の受賞を目指しているとのことだが、これ本当に狙えるのでは?
老若男女問わずおすすめ。
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
読み終わりました。今回の話は後書にもあるように報いとその先にある光の話ですね。
優し過ぎる人達がなんでこんなしんどい目に遭って、かつなんでこんな最期を迎えないといけないのだ…この全てを残された姫が背負うには重すぎないか?と思いましたがマリアから伝えられたシェイプシフターの最後の言葉。あれが光ですね。
誰にも想われないと言っていた姫の願いが報われた…のかな。何にせよ辛いのですが。
それにしてもマリアがどんどん人間離れしていくなあ^^;
Posted by ブクログ
ファンタジー・ミステリ書評
読書レベル 初級〜中級
ボリューム 252頁
ストーリー ★★★★★
読みやすさ ★★★★★
ハマリ度 ★★★★
世界観 ★★★★★★!
知識・教養 ★★★★
読後の余韻 ★★★★★
一言感想:世界観が最高!!ドラクエ、FF好きな人にオススメのシリーズ第三弾!
とにかく、第一弾から順番に読むことは必須!そうでないと、登場人物の仕草や他愛もない一言の感じ方が全く違うと思うし、この物語を深く味わう事ができないので(笑。
ただ、大好きな物語なだけに、第二弾に当たる「予言の章」が秀逸過ぎてハードルがかなりあがってしまい、今回の「勇者の章」のストーリーは平坦な道のりで終わってしまったかなと言う感じ。
最後に、、、!
ー私の心にブッ刺さったカルロスの言葉ー
「勇者よ、おまえも責務を恐れてはならん。おまえが自分で仲間に命令を下さないのは、恐れがあるからだ。自分のせいでうまくいかないかもしれない、仲間が傷つくかもしれないという恐れだ。人に任せたほうがうまくいくかもしれんし、そのほうが楽だからな。」
Posted by ブクログ
ザックたちが再び!それが嬉しい!
しかし勇者とはとてつもない責任と期待が伴うため、大抵はそうなるよなぁ…。切ない。
シェイプシフターも何となく気づいていたけど、切ない…。
勇者だったよ…。
Posted by ブクログ
「勇者」とは世界共通の称号ではないんですね。あまりにも有名な「勇者」という称号は、人々の「平和であれ」と願う器なのかもしれない。そんな器に満たされる願いは純粋な平和への祈りだけではなく、政治的な昏い思惑も入り込んでしまう・・・
「勇者」であれと願われたが、それを叶えられなかった王子と、王子の形を受け継いだ古の神シェイプシフター、そして、「勇者」アレスの意志を受け継いだザックの物語。
Posted by ブクログ
ミステリー仕立てのちょいとビターなファンタジー。
このシリーズのテーマは「贖罪」なのだと思う。
マリアがこの世界のOSである大神の顕現として、バグであるシェイプシプターを消滅しなくてはならないのは「仕様」。彼女が贖罪としてエレナにできたことは、奇跡を見せることで前に進ませること。それすら詐術なのかもしれないが。
後に魔王を斃す勇者一行だが、出来立てパーティーは纏まりがなく、戦闘はチート級な各人の力業。勇者アレスもクセ強メンバーに気圧されてリーダー感皆無。
そんなアレスが、リュドニア国の勇者カルロス王子に出会い、勇者とはなにかを見つめなおす第3巻。
なんといっても「聖女」マリアの主人公への好意が偏執的で、モラルのぶっ壊れてる感が素晴らしい。
続いてほしいシリーズです。
Posted by ブクログ
もう、RPGそのもの。
この作品はずっと『読むRPG』として楽しめるから、本当にあっという間に読み終えてしまう。
2巻以上は勝手に出ないものだと思っていたし、3巻にいたってはタイトルだけが一人歩きするのだろうと思っていたら、しっかりと『誰が勇者を殺したか』という内容だった。
今作もしっかりと1巻の勇者ご一行が出てきて、魔王を倒す前の話が掘り起こされている。
3巻にもカルロスという、ザックに言わせるとアレスに似た勇敢な『勇者』が出てくるのだが、内乱を起こさせないために自ら毒をあおぎ、それが治らず最期を迎えたと知り、胸が締めつけられた。国を、民を、仲間たちを想って死んだ勇者。
カルロスの意思を受け継ぎ、カルロスの妹・エレナの想いを叶えようとしたシェイプシフターも、まごうことなく『勇者』だった。
今作も『誰が勇者を殺したか』が二転三転する。今作は、今までで一番切ない終わり方だった…。
まだ続くと書いていたので、次回作が楽しみ。
そして、ザックが本当に好き…!!!
私の初めてのライトノベルは、私が唯一買い続けるライトノベルになりそう。
Posted by ブクログ
1作目、2作目に続き、今作もよく練られた構成で読みやすかった。
このシリーズで描かれる勇者は、よくある分かりやすい英雄という訳ではなく、人であってもなくても、心情から表れる部分が重要になっている点が面白いと思う。
次作にも期待したい。
Posted by ブクログ
タイトル回収を今回もきちんとしまくるので、色んなパターンがあって面白いですね。
マリアが凄すぎていつもこの子なんなん?ってなります。
Posted by ブクログ
表層的なファンタジーを装いながら、その実、「勇者とは何か」「正義とはいかなるものか」といった根源的な問いを静かに投げかけてくる、極めて重層的な群像劇です。“勇者殺し”という衝撃的な事件を軸に、登場人物たちそれぞれの過去、信念、矛盾が丁寧に描かれ、読む者の感情を巧みに揺さぶります。リュドニア王家をめぐる姫と王子の複雑な関係性、そして“もう一人の勇者”の存在が物語に深い陰影を与えており、緊張感に満ちた構成が際立ちます。軽妙な会話と緻密な戦闘描写が絶妙なバランスで挿入され、読後には単なる事件の真相以上に、人が何を信じ、どう生きるのかというテーマが静かに残響します。静謐かつ劇的な一冊でした。
Posted by ブクログ
リュドニア国の勇敢で武勇も併せ持つ王子が殺される。殺したのは人の形を自在に作れる「シェイプシフター」という存在。果たして誰がシェイプシフターで、王子を殺したのか…。
このシリーズ、最後の種明かし(?)が良い。毎回、ちょっと驚きつつもそうだったのかと腑に落ちる感じがする。
今回もまた意外な人物がシェイプシフターであった。そうであっても全くおかしくなかったが、気づけなかった。
何でも完璧にできる人でも、期待の重圧だったり自分の限界が見えてしまったりと、全てが嫌になるときがあるのだな。凡人には分からないが。
重圧から解放されるためにその人がどんな選択をしたと言えど、誰も文句は言えないと思う。ただ、生きていてほしかったとは思うけれども。
シェイプシフターという存在の行動も意外だった。人を乗っ取るとか恐ろしいものとして勝手に認識してしまっていたが、それどころか…。
記憶や思考まで引き継げるのだとしたら、死期が迫っている人は積極的に迎え入れるかもしれない。