あらすじ
東中野にある〈喫茶おおどけい〉は、もうすぐ八十九歳になるハツ子と孫のハヤテが営む老舗の喫茶店だ。ある日、地元を盛り上げる計画が立ち上がったが、集まったのは高齢の親や親戚などに頼まれ、渋々、会に参加した女子大生や会社員たちだった。その彼女たちが会合場所の〈おおどけい〉を訪れ、日常に抱える悩みをハツ子に聞いてもらっていると、不思議な大時計の鐘の音が鳴り、昭和時代へタイムスリップする。美味しい喫茶メニューと懐かしい過去がくれるあたたかな言葉にほっとする、昭和レトロな喫茶物語、大好評シリーズ第二弾!
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『美味しいものを食べながら、ほっとするひとときを過ごせる場所』良き!どんな方法が自分の信念にとってベストか、いつも考えておくことが必要」ハツ子さんの言葉が身に染みる。悩みを抱えた人々が「おおどけい」で自分を振り、元気になる。良き!
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あなたは、こんな思いに囚われたことはないでしょうか?
・『人って、なんのために働くんだろ』
・『ふいにどこかへ逃げてしまいたくなった』
・『なんか、疲れちゃいました。あたし、いったいなにをしているんでしょうね』
長い人生にはさまざまなことがあります。順風満帆の中に日々を生きている…自信を持ってそう言える人はそうは多くないと思います。まさに人生、山あり、谷ありです。そうです。上記したような思いは決して特別な感情ではありません。多くの方にとって一度は苛まれる感情だと思います。
そんな時、あなたはどのようにその瞬間を乗り越えていくでしょうか?悩み苦しみをどのように潜り抜けていくでしょうか?
さてここに、そんなピンチの瞬間を乗り越えるためのヒントを昭和の時代に見る物語があります。”不思議な大時計が”鎮座する”昭和レトロ”な『喫茶店』が描かれるこの作品。そんなお店の『蓄音機』から流れる音楽と、どこか懐かしい”食”に魅せられるこの作品。そしてそれは、そんなお店を訪れたお客さんたちが、まさかの”タイムスリップ”をもれなく体験する物語です。
『人生はトータルで中の上あたり。普通に楽しく生活して、普通に幸せだと思っていた』というのは主人公の藤代加奈(ふじしろ かな)。そんな加奈に『一年少々前』『人生観を変えるできごとが起き』ました。『全国的に有名な伝統のある小規模な私立大』、『付属校がいくつもあるため狭き門と言われている優星学園女子大学』に合格した加奈。『両親も親戚一同も大喜び』という中、『胸を膨らませて入学した』加奈でしたが、『女子しかいない教室』の衝撃と、付属校以外からの進学者が感じる『肩身の狭い雰囲気』に悩まされることになります。そんな中、『資産家のお嬢様』で『リーダー的存在』の桜子から『声をかけられた』加奈は彼女に連れられ『おしゃれなフレンチ・カフェ』へと入ります。『グループの子が集ま』って会話する中、『自分とは別世界』と『心の中で苦笑した』加奈でしたが、『桜子は、その後もいろいろなことに』誘われるようになります。『銀座での買い物』、『白金台のショコラ』…といった『煌びやかな世界』に触れる中、『少し疲れた』加奈でしたが、『”普通”以上を目指そう』と決める中、『やはりお金が必要だ』と思い立ちます。そして、『効率よく稼げるバイトを探し』『高給を謳う』『メイドカフェ』で働きはじめた加奈は、『常に見つめられているような気がして居心地が悪かった』という先に、やがて『指名が増えて、他のバイトの子に密かに妬まれるほどにな』ります。『あたしはもう、地味な普通の子ではない』と思う加奈は、『バイトで知り合った別の大学の女子大生から』K大の集まりに誘われます。そこで『K大の三年生だという四之宮律人』と知り合った加奈は、律人に誘われ『高級イタリアン』へと出かけました。そんな場で、『加奈ちゃんも投資しない?すぐに二、三割の利益が出るよ。その気になったらいつでも連絡して』と言われた加奈は、『数日後、律人に電話をかけ』、『十万円を預け』ます。『すぐに一万五千円の利益が出た』ことに驚く加奈は、『メイドカフェよりずっと効率よく稼げる』と思い、『金額を増やして投資』を続けます。そんなある日、『いつもの三倍の額を入れられないかな』と律人に言われ、『言われるままの金額を律人に渡』した加奈。しかし、律人から『今月中に追加の資金を入れられないと今までの投資が全て無駄になる』と連絡があり、『二十歳になればカードでキャッシングもできるよ…大学の友達を紹介してくれたら今回の分はこっちで処理してもいいよ』と言われてしまいます。『これまでの投資がすべて無に帰すか、カードで借りるか、桜子を紹介するか』、『どこに転んでもいいことはない』と悩む加奈は、『とぼとぼと』『ギンザ通り商店街』を歩きます。『あら、藤代加奈さんよね』と、『「喫茶おおどけい」のハツ子』から声をかけられた加奈は、『ちょっと寄ってかない』と誘われ、店内へと入ります。『全体的に茶色い。そして古びていた』という店内で、ハツ子と会話する加奈は、『気持ちが昂り、いろいろ打ち明けてしま』います。『大学で派手なグループに所属』し、『お金が必要でメイドカフェのバイトを始め』、『律人のこと、投資のことも余さず話した』加奈は、『なんか、疲れちゃいました。あたし、いったいなにをしているんでしょうね』と呟きます。そんな『加奈の背中にそっと触れ』るハツ子の手のぬくもりを感じる加奈。『ハヤテさん。ナポリタンを作ってちょうだい。二番目の引き出しにあるレシピでね』と語るハツ子は『ちょっとレコードでも聞きましょうか』と、『ポータブル蓄音機』の蓋を開けます。やがて、『独特のジジ、という音のあとにメロウな音楽が流れて』きました。そんな中、『ふいに大時計が時を告げ』、『何度も鐘が鳴』ります。そんな時計の『文字盤をぼんやり見つめていると、針が突然にぐにゃりと曲が』ります。『おかしい。必死に目をこらすが、頭がぼうっとしてくる』という中、『時計の間延びしたような”ボウワワァァ~~ン”という夢見心地の響きが相まって店内に充満』します。『ああ、目を、開けていられない…』と『カウンターに突っ伏してしまった』加奈。そんな次の瞬間、『ざわざわという人の声に、ようやく目を開け』た加奈は、そこに『さっきと雰囲気が違う』という『喫茶おおどけい』の店内を見ます。『いったいどうなってるの?』と『パニックを起こしそうになる』加奈。そんな加奈は…とはじまる最初の短編〈53億円のナポリタン〉。”昭和レトロ”な雰囲気感に魅了される中に、まさかの”タイムスリップ”を鮮やかに見せてくれる好編でした。
“東中野にある〈喫茶おおどけい〉は時を超える不思議な喫茶店だ。困りごとを抱えたお客が訪れると、店のシンボルである大時計が鳴り、店内が急に昭和時代に巻き戻るのだ。 ナポリタン、コーヒーゼリー、苺パフェ…老店主ハツ子が提供する絶品喫茶メニューと大時計が繋ぐ過去が、あなたにそっと前を向く力をくれる。タイムスリップする昭和レトロな喫茶店を舞台に贈る、心あたたまる物語”と内容紹介にうたわれるこの作品。前作「レトロ喫茶おおどけい」に続く人気シリーズ第2作となるこの作品は、前作から1年半を経た2025年1月15日に刊行されています。
さて、前作のレビューでも触れましたが、この作品は、私が”起点・きっかけもの”と分類するジャンルの作品になります。何かに思い悩む主人公が、ある”起点・きっかけ”の先に、再び顔を上げて前に向かって歩き出す様を見る展開は、日常さまざまな苦しみの中に生きる私たちにとっても勇気と元気をもらえるものであり、読後感の良さが保証された読書は、気持ちが沈んでいる時などには心安らかな気持ちにさせてくれるものでもあります。とは言え、このタイプの作品は、その”起点・きっかけ”を何に求めるかで物語の色合いが随分と変わってきます。前作のレビューでも触れた通り、この作品ではそれを、これまた人気のジャンルである”食”と組み合わせているのです。しかし、”起点・きっかけもの” × “食”の組み合わせで展開する物語はこの世に数多あり、それだけでは埋没してしまいます。内山さんはそこに独自の飛び道具を組み合わされています。
“起点・きっかけもの” × “食” × “昭和レトロ” × “タイムスリップ”
そうです。”昭和レトロ”と”タイムスリップ”という二つの異なる要素をここに組み入れられたのです。何度も書いてきましたが、私は”タイムスリップ”を取り上げた作品をこの上なく愛しています。私が読書を続ける理由は、”タイムスリップ”を取り上げた作品を一つ残らず掘り起こしたい、すべてを読み切りたい、そういう思いで読書&レビューの日々を送り続けています。そんな私にとって、”タイムスリップ”を取り上げたシリーズものというこの作品はこの上なく貴重です。こんな作品世界を提供してくださる内山純さんには心からお礼を申し上げたいと思うとともに、この先も第3作、第4作と続いていってくれることを切に願います。では、この作品のそれぞれのポイントを順に見ていきましょう。まずは、作品の舞台となる『喫茶おおどけい』です。
● 『喫茶おおどけい』ってどんなお店?
・『入口そばの年代物の大型置時計』
・『五卓あるテーブルや椅子、キャビネットやピアノはどれも年季が入っている。そこここに形の異なるステンドグラスのテーブルランプ』
・『今どき見ないピンク色のダイヤル式公衆電話が置かれていた』
・『壁際の棚には昔流行ったキャラクターのぬいぐるみやブリキのおもちゃが並び、うらぶれた雰囲気を助長』、『あの人形は確か昭和三十年代に流行ったダッコちゃん。あっちはオバケのQ太郎』
・『まさに、ザ・昭和って感じ』
いかがでしょうか?『ザ・昭和って感じ』というまさにそのままに、”昭和レトロ”な雰囲気に満ち溢れた店内、これが『喫茶おおどけい』です。そして、この作品の根底に流れる雰囲気感の源泉でもあります。次に”食”を見てみましょう。作品の雰囲気にぴったりな『ナポリタン』の調理の光景です。
・『フライパンを熱し、まずは玉ねぎを炒めだした。柔らかくなると取り出し、次にソーセージを炒める。また取り出してピーマン投入』。
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・『ピーマンも出すとフライパンを少し冷まし、いきなりケチャップとソースとなにかの調味料を入れた。再び火がつけられ、それらがチリチリと反応する。いい香りが鼻を刺激した』。
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・『そこに茹でたパスタを投入…麺がケチャップ色に染まっていく。なぜだろう、ワクワクする』。
調理の場面はまさしく『ナポリタン』そのものです。特にこれといったオリジナル要素があるわけでもないですが、『なぜだろう、ワクワクする』という主人公の気持ちがとてもよく理解できます。では、”食リポ”です。
『甘酸っぱくて、なぜか懐かしいと思えるような味が口内に広がった。ゆっくりと咀嚼し、もちもちと柔らかい、ケチャップがたっぷり染みた麺を堪能する。
「…美味しい!」』
前作では、『喫茶店』のドリンクやデザート類が登場していましたが、この第2作では、『喫茶店』ならではの食事も登場し、かつこうして”食リポ”が入るところも差分だと思います。”食”の魅力は間違いなく前作から数段上がっていると思いました。
そして、いよいよ触れたいと思うのが”タイムスリップ”です。前作でもこの作品の”タイムスリップ”の概要をご紹介しましたが、本作ではその演出にも手が入れられています。それこそが『蓄音機』の登場です。
『棚の引き出しから出された黒い円盤が台の上に置かれた。ハツ子は元気よくレバーを回し、針をそっと操作する。独特のジジ、という音のあとにメロウな音楽が流れてきた』。
そんな風に描写される『蓄音機』からはそれぞれの短編でその場その場、その主人公にあった音楽が流れてきます。
・池真理子さん「センチメンタル・ジャーニー」
・ジョニー・レイさん「雨に歩けば」
・中野忠晴さん「可愛い坊や」
う〜ん、私は一つも知らないですが、ご存知の方には、シブイ!選曲なのでしょうか?ただ、曲を知らなくても『蓄音機』の操作の場面と、そこに描かれる独特な雰囲気感は十分楽しめます。これは前作にはなかったものです。そうです。この第2作で内山純さんは『聞く』という新たな要素を作品に加えられたのです。
“起点・きっかけもの” × “食” × “昭和レトロ” × “蓄音機から流れる音楽” × “タイムスリップ”
そして、この新たな要素が”タイムスリップ”をする場面に加味されているのです。最初の短編で見てみましょう。
①『ちょっとレコードでも聞きましょうか』と声をかけるハツ子
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②『ハツ子は元気よくレバーを回し、針をそっと操作する』
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③『独特のジジ、という音のあとにメロウな音楽が流れてきた』。
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④『ふいに大時計が時を告げた。時刻はちょうどを示していないのに、何度も鐘が鳴っている』。
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⑤『時計の間延びしたような”ボウワワァァ~~ン”という夢見心地の響きが相まって店内に充満』
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⑥『ああ、目を、開けていられない…』
そんな先に”タイムスリップ”が発生します。置時計の”ボウワワァァ~~ン”と鳴る音はこのシリーズ共通のとても印象的な表現ですが、前作に比べて、心地よい音楽に身を任せる様がそこに描き込まれることで雰囲気感が随分と高まった気がします。こちらも間違いなく前作からパワーアップした点だと思いました。
さて、上記に記した通りこの作品は”起点・きっかけもの”でもあります。それは、何かに悩み、何かに苦しんでいる主人公たちが何かしらの”起点・きっかけ”の先に立ち直っていく様を描く物語です。そして、”食”の名前と組み合わされた各短編のタイトルから朧げながらに見えるものもあります。キーワードのひとつとなる主人公たちの心の声と共にまとめておきましょう。
・〈53億円のナポリタン〉
→ 藤代加奈: 『なんか、疲れちゃいました。あたし、いったいなにをしているんでしょうね』
・〈モーニングセットを真夜中に〉
→ 小倉壮次郎: 『俺は大変なんだ。なのに、誰もが俺を責める』
・〈コーヒーゼリーの宇宙遊泳〉
→ 臼井麻美: 『ふいにどこかへ逃げてしまいたくなった』
・〈東京タワー・パフェ〉
→ 牛窪直樹: 『人って、なんのために働くんだろ』
・〈オレンヂ・イン・オレンヂ〉
→ 青池ひとみ: 『自分がこんなことになるなんて』
それぞれの短編にはそれぞれの短編内で主人公となる人物が登場します。この第2作では、ここにも仕掛けが加えられています。それは、冒頭のプロローグのような一節で、こんな内容が語られています。
『我が「東中野の歴史を保存する会」略して歴史保存会は、おかげさまで来年三十周年を迎えます。ついては記念の年に特別な企画を行うことになり…』
この第2作では、物語全編を通して『「東中野の歴史を保存する会」略して歴史保存会』の物語が5つの短編を強固に結びつけてもいくのです。”昭和レトロ”な雰囲気の中に、”食”が登場し、”タイムスリップ”の瞬間を見る主人公たちが描かれていく物語は、連作短編としても非常に巧みに構成されていることがよくわかります。『喫茶おおどけい』を訪れる前にはさまざまな思い悩みの中にあった彼らが、そんな場で”起点・きっかけ”を得た先に見るもの、感じるものが描かれていく物語は、その後に描かれる短編の中で、その先の未来を歩む彼らのその後を垣間見せてもくれます。そして、前作同様、この作品では『喫茶おおどけい』を営む側にも視点が移ります。前作より一歩踏み込んで、さまざまな謎の一端も垣間見せてくれる物語からは、客を受け入れる側のハツ子とハヤテの優しさが伝わってもきます。そんな物語が至る結末、そこには、それぞれの主人公たちが得た”起点・きっかけ”の先に、再び前に向かって歩いていく姿と、『喫茶おおどけい』の懐の深さを感じるゆったりとした時間の流れる物語が描かれていました。
『東中野には不思議な喫茶店がある。
辛い悩みをもった人物が訪れると、なぜか時間が過去にさかのぼって昭和の激動の時代に迷い込む』。
『喫茶おおどけい』を舞台に5人の登場人物の悩み苦しみが描かれていくこの作品。そこには、前作以上に巧みに構成された味わい深い物語が描かれていました。”昭和レトロ”な雰囲気感に魅せられるこの作品。”食”だけでなく、『蓄音機』の登場で音楽を”聞かせる”魅力にもこだわったこの作品。
表紙の絶妙なイラストがさらに作品を彩ってもいく前作よりも格段に作り込まれた素晴らしい作品でした。
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最後のお話のある言葉に、涙が出た。
あるコミュニティの人物たちの短編で、とても読みやすかったし時系列も前回の本と続いていて心躍った。
優しさとは、生きるとは、思いやりとは…
そんな単純そうで決してそうではない、複雑なものを言語化してくれていて、心に刺さるものがあった。
このシリーズ続いて欲しいなぁ
Posted by ブクログ
喫茶おおどけいのシリーズ2弾。
今回も悩んだ人たちが訪れるんだけど、1弾の時とは違い、喫茶おおどけいに関わりが深い人達のお話で、喫茶おおどけいの歴史や、どういう人達が関わってどんな歴史があるのかっていうのであったり、でも、その悩みを抱える人達も心をホッとできて、素敵なメニューに出会えて背中を押してもらえる。
今回わたしの響いた言葉が
どんな仕事でも「あなたがいい」と言ってもらえたら、それはとても嬉しいことだ。
仕事以外でもそうだ。「あなたがいい」「あなたでなくては」と言ってもらえる事が生きる喜びに繋がる。
人は、人のために頑張る行為によって、逆に救われるのかもしれない。
自分が今ここに生きているだけで誰かの支えになれるなら、それはもう、すごいことなんだって
今回も喫茶おおどけいに立ち寄って美味しいメニューを堪能させてもらいました。
Posted by ブクログ
偶然見つけた続編。
優しい人しか出てこないほっこり系。
こんな喫茶店があったら行ってみたいよね。
ハツ子さんがいる喫茶店。
タイムスリップできなくても、ハツ子さんに会ったら元気になれそう。
この表紙見てたらコーヒーゼリー食べたくなってきたなぁ。
長女に作ってもら…コーヒー今ないんだったー。
Posted by ブクログ
喫茶おおどけいで私も何でもない事や悩みを話してみたい。ハツ子さんならにこにこして聞いてくれるんだろな。優しく背中を押してくれるそんな喫茶店があったら常連になってるのになぁ。少し前向きになれて明日も頑張ろうって思えるお話でした。
Posted by ブクログ
喫茶おおどけいシリーズ第2弾。
喫茶おおどけいは、ハツ子と孫のハヤテが営む喫茶店。
ある日、東中野の歴史を保存する会が30周年を迎えたことで、古参のメンバーの推薦でその身内が集うことになったのだが…。
今回は、年齢性別さまざまの新メンバーたちの悩みを喫茶おおどけいの不思議な空間で、過去にタイムスリップしてそこで集う人の会話を聞くことにより、自ら悩みを解決していく。
喫茶店ならではのメニューも良い具合に提供でき、何故かその人にとってしっくりとくるレコードも聴ける。
店主のハツ子と孫のハヤテもとても穏やかで誘導が上手くて聞き上手でもある。
○53億円のナポリタン〜背伸びしすぎた女子大生がハマってしまった罠。『嘘は罪』
○モーニン上セットを真夜中に〜部下にパワハラを訴えられた50代の家庭持ちの男性。『可愛い坊や』
○コーヒーゼリーの宇宙遊泳〜同居人の気持ちがわからないアジアン雑貨の経営者。『センチメンタル・ジャーニー』
○東京タワー・パフェ〜営業成績がよくない20代半ばの独身男性。『雨に歩けば』
○オレンヂ・イン・オレンヂ〜病気が発覚したフリーライターの独身女性。『ボレロに寄せて』
Posted by ブクログ
時をさかのぼる現象が起きる、古色蒼然とした喫茶店「おおどけい」で起きる様々な出来事を、美味しそうな食べ物や飲み物と共に描いた作品。
今作は「東中野の歴史を保存する会」という会のメンバーが時代を遡る。
ナポリタン、コーヒーゼリー、モーニングセット、パフェ、オレンジジュースなどのメニューや
ジャスの名曲が取り上げられている。
不思議でほっこりさせてくれる「おおどけい」に行ってみたくなる。
Posted by ブクログ
前作からの続きのお話で相変わらず読んでる
こちらまで前向きに頑張ろうと思っちゃう
ハツ子さんのウルトラ前向きな精神が
素敵でした。作中に出てくる人たちの
悩みって昭和・平成・令和と時代が変わっても
基本的には同じように同じような事を
迷っているんだなぁ~と実感。まぁ時代が
変わっても根本的に人間は変わらないって
いうことなんでしょうね。
ハツ子さんの考えたちょっと斬新な
メニューなんかもどれも素敵で
美味しそうなうえに色々と気づかせてくれる
喫茶店・・・是非行ってみたいです。
生きてたら色々と色んなことがありますが
いつまでも辛い自分と付き合っていると
地に足がつかない…ほんとにそうですよね
すごく心に残りました。
ハツ子さんの様には無理ですが
可能な限り前向きな精神でいきたいですね。