【感想・ネタバレ】TS衛生兵さんの戦場日記VIのレビュー

あらすじ

サバトの内戦はレミ率いる労働者議会の勝利に終わった。レミはそのままオースティンとの停戦協定を締結、サバト領内は一時的な平穏を取り戻す。しかしレミの語る理想に危機感を覚えるトウリはセドルやアーニャを連れてオースティン領へ帰還する。ヴェルディやケイルら旧友たちと再会を果たす中、トウリはとある少女と出会う。彼女の名はリナリー・ロウ、ロドリーの実の妹だった。だが彼女はかつて北部決戦時に奇襲戦争をしかけてきたフラメール軍に家族を皆殺しにされ、その復讐のみを糧に生きていた。憎しみに囚われるリナリーを見かねたトウリは義理の姉として彼女のことを気にかけるのだが――。

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転生モノながら、チートや無双といったワードとはほぼ無縁。
過酷で悲惨な戦場の地獄を、衛生兵の少女・トウリによる日記として描いた物語。

現世でいうところの第一次世界大戦頃の時代に魔法も存在するファンタジー世界。
戦争で両親を失い、孤児院で育ったトウリは、成人となる15歳で軍へ志願する。

回復魔法の適正があり、衛生兵となった彼女だが、配属されたのは後方ではなく、最前線の突撃部隊だった!
前世ではFPS廃人だったトウリは優秀な兵士になれる自信があったが、目の当たりにした現実はまさに地獄。

前線での新兵の生存率は極めて低く、戦友がひとりまたひとりと命を散らしていく。
非戦闘員であり、ただの華奢で非力な少女でしかないトウリは、この絶望しかない戦場をどのように生き抜くのか?

本作は、数十年後の歴史マニアが当時の戦場跡から発掘したトウリの日記を読み進める、という形で進行する。
ということはトウリはもう…?

重苦しい雰囲気が漂っているもののリアリティもあり、主人公の辿り着く結末をすこぶる見届けたくなる作品である。

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