あらすじ
14世紀初頭、アルプス地方。イタリアへと通じるザンクト=ゴットハルト峠には、非情な番人が守る関所があった。難攻不落をもって知られるその場所を、人々はこう呼んだ。ヴォルフスムント――“狼の口”と。 残酷な代官ヴォルフラムが守るこの関所を、様々な手段で攻略しようとする主人公たち。圧倒的な作画によって再現される中世人の生活様式や、鎧甲冑、鎖帷子、武器、兵器の数々……。そして、圧政者に立ち向かう市井の人々の身を賭したドラマをダイナミックに描き上げた叛乱アクション巨編が装いも新たにrevised editionとしてカバーを久慈光久が描きおろし、ふたたび刊行!
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Posted by ブクログ
「鋼鉄の薔薇」で知った久慈光久さんの作品ということで購入。
14世紀初頭のアルプス。オーストリア帝国からの独立を目指す森林三邦の民衆の歴史を描く作品。
もう第一話から予想を裏切られるので、ぐいぐい引き込まれてしまう。てっきりリーゼとゲオルグの二人が、主人公として物語を牽引してゆくのかなと思っていたら、関所の強大さを示すための要素の一つでしかなかったとは。その後も、多くの独立・反攻を企図する人々が、関所に挑み跳ね返されてゆく。
関所の主のヴォルフラムが狡猾で残忍。そしてそこに感じているであろう愉悦が、関所の強大さに黒さを足して、実物以上に圧迫脅迫感を増してゆく。それでも、挑み続ける人々の強さ。
この関所に挑みつづけた人々。希望が絶望に変えられても尚、未来を望み争うことをやめなかった人々が報われる日。それが、この物語のクライマックス。ヴォルフラムがどんな結末を迎えるのか。その歴史的瞬間に立ち会い、彼に何を宣言するのか。
その役目は、宿屋の女主人だろう。彼女が見続けてきた過去と、望み続けた未来。どんな言葉で表現するのか、と思っていたらそれも裏切られる。
いや、あの女主人退場するのはいかんでしょ。
もう、この物語を最後まで見続けるしかないじゃあないか。
権力への不服従が物語の主軸にあるとは思うのだけど、ハンスとエヴァのような日々の暮らししか考えられない人間の物語も挟まれているのがよい。
大義のために命をかける人もいれば、自分のためにその大義を踏みにじるようなことをしてしまう人もいる。ハンスとエヴァのような存在がいると、単純に善と悪の争い
で割り切れなくなるから、好きな話です。友人にはなれないけども。
ヴォルフラムだって、サディストが強調されすぎてるけど、体勢側からすれば優秀な官吏だものな。エンタメとしては余計な見方だろうけど、歴史への入り口と考えると、そういう視点も大事。
余計というか蛇足なんですが、ヴォルフラム=石田彰でしか脳内再生できなくて困る。
旧作が販売停止されてがっかり
傑作だけど読むのが辛い面もあるので
気力のある時にじっくり購読してたのだけど
6巻まで購読しいよいよクライマックスところでいきなり販売停止になった(他社の告知を見ると7/19付けで停止の模様)
本棚も別れてしまうしなにより表紙が統一感無くなるのが嫌
それほど過去の作品でもないのに本当にこういうのはやめてほしい。
同じ出版社なのになぜ電子版の併売はできないのか…
せめて停止が確定した時点で既存購入者に通知は入れられなかったのか
必要のないお勧め情報はうっとうしいくらい通知してくるくせに
ちなみにいまのところ(2巻まで)revised editionは1冊に旧版2冊分収録のようです。