あらすじ
文章を読むと、作家の内面を体感できる共感覚を持つ女はある時、吐くほどにおぞましい内面世界を持ったΩという作家を見つける。Ωの驚愕の正体とは。(スコッパ―の女)
著者が知り合った奇妙な作家L。彼は物事の終焉までの距離を【深さ】として観測できるらしい。ある日Lは鏡に映った自分に【深さ】が全くないことを知る……。(終焉を告げる小説家)
自分が生み出した天峰翔陽というキャラクター。同名の人物が現実にいることが分かり、やがて物語と現実がシンクロし始める。(シンクロニシティ) 他2編。
小説家に纏わる身の毛もよだつ戦慄の短編集。
「この本に収録されている作品は、私が収集した出版関係者の奇妙なエピソードを、小説の形式に書き直したものである。
中には現在も活躍中の小説家が登場する。もしかしたら、あなたの尊敬する大好きな作家こそ、この本に登場する破滅的な小説家その人かもしれない。」 山白朝子
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
「終焉を告げる小説家」
「小説講師の憂鬱」
「シンクロニシティ」
「青軸卿」
「スコッパーの女」
小説家をモチーフにした短編集。
前書きから吸引力があり、陰鬱で濃密な山白氏特有の闇世界へと一気に引き込まれた。
どの短編も完成度が高いが「シンクロニシティ」は、イヤミスとホラーの境界を巧みに横断しながら、読者の感覚をじわじわと侵食していく恐怖表現が秀逸。
表題作「スコッパーの女」では、文章から匂いを読み取ることができる女性という設定でインパクト大。
山白氏が描き出す唯一無二の暗黒世界は強烈な中毒性を持ち読後に独特の余韻を残す。
Posted by ブクログ
あぁ、やっぱこれだよ。こういうのが好きなんだ。
決して文学賞にノミネートされるような作品じゃない。
本屋大賞のように、誰にでもおすすめできる本でもない。
けれど、どっぷりと暗黒の深淵を覗き込みたい人には
まるで底なし沼のように引き込まれる作品だ。
『スコッパーの女』山白朝子
小説家が「奇人変人」が多いというのは、よく聞く話。
そんな小説家や出版関係者たちが集う
アイデア交換会(アイデアの原石を交換し合う会)で
収集された奇妙なエピソードを、小説の形にした作品集。
✧
◆終焉を告げる小説家
物事の終焉を【深さ】として見ることができる小説家。
ある日、彼は鏡に映った自分に【深さ】がないことに気づく。
この一作目はね、これでもまだマイルド。
ここからどんどん沼に沈んでいきます。
◆小説講師の憂鬱
小説講師として働くG先生のもとへ向かう主人公。
G先生が告白したのは、教え子が書いた小説に魅了され、
嫉妬にも似た感情を抱いていたということだった。
そしてラストに待っているのは……
思わず息を呑む展開。
◆シンクロ二ティ
自分の書いている小説の登場人物と同姓同名、
さらに性格やライフスタイルまで一致している少年がいた。
ただの偶然の一致のはずなのだが……
やがて小説と現実が、どろりと溶け合いシンクロしていく。
終盤の展開が怖い。怖すぎる。
◆青軸卿
この作品めちゃくちゃ好き。
ラストも静かに美しい。
青軸キーボードを愛してやまない大御所作家。
でもその打鍵音は凄まじく、近所から苦情が出るほど。
害獣たちが逃げ出すほどの
ダダダダってどんだけなの!笑
◆スコッパーの女
いやぁ、最後にガツンとやられました。
小説から作者の内面を読み取ることができる“スコッパー”。
ある日、スコッパーのCさんは
ネット小説サイトで、とんでもない狂気の世界を抱えた
ある作者と出会うのですが……
✧
やはり表題作「スコッパーの女」のインパクトが凄まじい。
表向きは心温まる感動作を書いていたとしても、
その作者の内面まで同じとは限らないですからね。
オチも秀逸で、
帯にある「死と暗闇の迷宮」とはまさにこのこと。
山白朝子さんは乙一さんの別名義としても有名ですが、
美と退廃と狂気が炸裂した山白作品の方が
個人的にはとても気に入っています。