あらすじ
文章を読むと、作家の内面を体感できる共感覚を持つ女はある時、吐くほどにおぞましい内面世界を持ったΩという作家を見つける。Ωの驚愕の正体とは。(スコッパ―の女)
著者が知り合った奇妙な作家L。彼は物事の終焉までの距離を【深さ】として観測できるらしい。ある日Lは鏡に映った自分に【深さ】が全くないことを知る……。(終焉を告げる小説家)
自分が生み出した天峰翔陽というキャラクター。同名の人物が現実にいることが分かり、やがて物語と現実がシンクロし始める。(シンクロニシティ) 他2編。
小説家に纏わる身の毛もよだつ戦慄の短編集。
「この本に収録されている作品は、私が収集した出版関係者の奇妙なエピソードを、小説の形式に書き直したものである。
中には現在も活躍中の小説家が登場する。もしかしたら、あなたの尊敬する大好きな作家こそ、この本に登場する破滅的な小説家その人かもしれない。」 山白朝子
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作家どうしのアイデア交換会で手に入れたアイデアをもとに書かれた短編集、という設定。
1話目の「終焉を告げる小説家」で救われた、良かった、と思ったら、その後は恐ろしい話が続く。
最終話「スコッパーの女」では読者を死に追いやった魔王のような作家が登場。
どの話も怖かった。そしてどの作家も創作の苦しみの只中にいた。作家たちのモデルが乙一さんじゃありませんように。
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スコッパーとは
埋もれている小説を掘り出す人
どこか闇や死を纏うような
語り口調や独白
表題作を含む5つの短編
どの話も異なる切り口で
妙に引き込まれる
終わり間際まで余すことなく
楽しませてもらった
本の頁数の位置や独特の余白に覚えがある
斜線堂有紀さんの
『本の背骨が最後に残る』だ
話し内容も文体も異なるのに
何故か纏う雰囲気に近しいものを感じた
スコッパーの女の影響かもしれない…
こういう感覚の本、すき
Posted by ブクログ
装丁からもうワクワクが止まらなかった。
ゴシックホラーらしい雰囲気たっぷりの表紙と、山白朝子さんの安定した恐怖感が最高の組み合わせ。
どの作品も「ある作家の経験談」という体裁で書かれており、味わい深い。
さまざまなタイプの怖さが詰まっていて、つい一気読みして1日で読破してしまった。
特に表題作「スコッパーの女」は、オチまで含めて本当に面白かった。
怖さと意外性が絶妙で、さすが山白さんだなと唸らされる一編。
全体的にクオリティが高くたまらない一冊だった。
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乙一さんの別名義の1つ、山白朝子名義の新刊である。全5編で200p以下とボリュームは少ない。乙一名義の『さよならに反する現象』を思い出す。
前書きによると、出版界の風習として、アイデア交換会なるものがあるという。ここに収録された全5編は、乙一さんが収集した出版関係者の奇妙なエピソードを、小説の形式に書き直したものだという。まあ乙一さんだけに、嘘でしょうね。
「終焉を告げる小説家」。詳細には触れないが、彼には【深さ】が見えるという。読者の立場ではありがたくないその能力、作家としては武器になるのかどうか。彼は作家をやめても、その能力で令和の世をしぶとく生きていくだろう。
「小説講師の憂鬱」。専門学校のライトノベルコースで、光る才能に出会った講師の男。彼女の意欲を維持させるため、さて彼はどうしたか。あまりにも見え見えで、おぞましいというより引いてしまった。最後のオチは必要か?
「シンクロニシティ」。ある作家の人気作品に登場する少年と、同姓同名の少年がいた。彼が作中で少年を事故死させると、同姓同名の少年も事故死してしまった…。作家がどういう運命を辿ったか、興味がある方は読んでみてください。
「青軸卿」と呼ばれる作家は、ある事情から離島に住むしかなかった。山白朝子作品にしてはユーモア寄りかなあ、と苦笑しながら読んでいたが、最後の最後に…なるほど山白朝子っぽい。彼はその贈り物で、意思を継ぐのだろうか。
表題作「スコッパーの女」。ネット上に公開されているアマチュア小説の数々。そこから才能を発掘する人を称して、スコッパーと呼ぶという。そんな彼女の嗜好が変わった結果…。オチといい、嫌な後味といい、文句なく本作中の一押し。
あっという間に読み終えた。これら5編の中に鬼才・乙一の才能は確かに息づいているが、できればこの倍くらい読みたいというのが本音である。
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「終焉を告げる小説家」
「小説講師の憂鬱」
「シンクロニシティ」
「青軸卿」
「スコッパーの女」
小説家をモチーフにした短編集。
前書きから吸引力があり、陰鬱で濃密な山白氏特有の闇世界へと一気に引き込まれた。
どの短編も完成度が高いが「シンクロニシティ」は、イヤミスとホラーの境界を巧みに横断しながら、読者の感覚をじわじわと侵食していく恐怖表現が秀逸。
表題作「スコッパーの女」では、文章から匂いを読み取ることができる女性という設定でインパクト大。
山白氏が描き出す唯一無二の暗黒世界は強烈な中毒性を持ち読後に独特の余韻を残す。
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あぁ、やっぱこれだよ。こういうのが好きなんだ。
決して文学賞にノミネートされるような作品じゃない。
本屋大賞のように、誰にでもおすすめできる本でもない。
けれど、どっぷりと暗黒の深淵を覗き込みたい人には
まるで底なし沼のように引き込まれる作品だ。
『スコッパーの女』山白朝子
小説家が「奇人変人」が多いというのは、よく聞く話。
そんな小説家や出版関係者たちが集う
アイデア交換会(アイデアの原石を交換し合う会)で
収集された奇妙なエピソードを、小説の形にした作品集。
✧
◆終焉を告げる小説家
物事の終焉を【深さ】として見ることができる小説家。
ある日、彼は鏡に映った自分に【深さ】がないことに気づく。
この一作目はね、これでもまだマイルド。
ここからどんどん沼に沈んでいきます。
◆小説講師の憂鬱
小説講師として働くG先生のもとへ向かう主人公。
G先生が告白したのは、教え子が書いた小説に魅了され、
嫉妬にも似た感情を抱いていたということだった。
そしてラストに待っているのは……
思わず息を呑む展開。
◆シンクロ二ティ
自分の書いている小説の登場人物と同姓同名、
さらに性格やライフスタイルまで一致している少年がいた。
ただの偶然の一致のはずなのだが……
やがて小説と現実が、どろりと溶け合いシンクロしていく。
終盤の展開が怖い。怖すぎる。
◆青軸卿
この作品めちゃくちゃ好き。
ラストも静かに美しい。
青軸キーボードを愛してやまない大御所作家。
でもその打鍵音は凄まじく、近所から苦情が出るほど。
害獣たちが逃げ出すほどの
ダダダダってどんだけなの!笑
◆スコッパーの女
いやぁ、最後にガツンとやられました。
小説から作者の内面を読み取ることができる“スコッパー”。
ある日、スコッパーのCさんは
ネット小説サイトで、とんでもない狂気の世界を抱えた
ある作者と出会うのですが……
✧
やはり表題作「スコッパーの女」のインパクトが凄まじい。
表向きは心温まる感動作を書いていたとしても、
その作者の内面まで同じとは限らないですからね。
オチも秀逸で、
帯にある「死と暗闇の迷宮」とはまさにこのこと。
山白朝子さんは乙一さんの別名義としても有名ですが、
美と退廃と狂気が炸裂した山白作品の方が
個人的にはとても気に入っています。
Posted by ブクログ
小説家という人種には奇人変人がやたらと多い。一見まともそうに見える作家でも話をしてみると変態だとわかる。
一般社会で受けいれられなかった怪物たちが、その嘆きを文章にしている。
だからこそ彼らの物語には力がある。
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スランプがひどく執筆もままならない小説家の「私」。平凡な考え方しかできない「私」が、天才(または変態)と呼ばれる出版関係者の奇妙なエピソードを収集し、小説の形式に書き直した五篇からなる短編集。
てことで、山白朝子さんの「小説家シリーズ」第二弾です。
【終焉を告げる小説家】
物事の「終わり」が見えてしまうL先生。
人の寿命までわかるようになり、その能力を使い 母と幼い自分を捨てた父親に復讐しようと企むも…
「先生は、もうじき死ぬ運命にあるのだと予測できました。でも、先生が死んだ後も残り続ける何かが、僕には見えました。それはおそらく、作品を創作する者の全員が宿すものに違いありません。」
【小説講師の憂鬱】
「私」はあまりのスランプの酷さに、小説家を一時的に廃業しようと転職先を探していた。そこで小説家を養成する専門学校の講師をしているG先生へ電話をかけてみる。ところが G先生は、これから死ぬために富士の樹海へ行くところだと言う。講師の職が一人分 空くのは都合が良い。「私」はG先生に死ぬのを一日延期してもらい相談にのってもらうことにした。
「作家として大成したいなら、幸せになってはいけない。だから私は死ぬべきです。」
【シンクロニシティ】
登場人物の名付けをする際は、慎重にならなくてはいけない。
「私が何をしたというのでしょう。私はただ小説を書いた。同じ名前の少年が交通事故死した。それだけです。私の小説と現実との間に因果関係があるなどというのは妄想です」
当時、S先生は、そのような弁明を担当編集者に語った。
自分の子どもの同級生と同姓同名(それは偶然だったが)の登場人物を小説内で事故死させたことから、S先生の人生は転落の一途を辿る…。
【青軸卿】
青軸キーボードをこよなく愛する変態小説家の話。これは面白さが良くわからんかった。
青軸キーボードを叩く音は植物を枯れさせ、生き物は絶え、愛する人も去って行った…。
【スコッパーの女】
「スコッパー」とは 埋もれているWeb小説から、有望株を見つけだすことを趣味としている人たちのこと。
女子大生のCさんは、共感覚を持ったスコッパーで、物語を読めば それを書いた作家の内面を感じることが出来た。ある日、Cさんはネット小説サイトでΩ氏の小説に出会う。Ω氏の小説から感じた内面世界のあまりのおぞましさに震えと吐き気が止まらなくなるCさん。しかし、いつしかΩ氏の作品を読むことを止められなくなり…。
「見つけた!」
精神を病んだ彼女が見つけたものはΩ氏の本名と住所で…。
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どの章も 最後の数ページで
「え…、そういうこと?!」(;º言º)ゾッ
という展開があったものの
あまり面白くはなかった笑
第一弾の方が好きだったなー
今回は、各章の登場人物の変態さが突き抜けていて、私の理解が追いつかなかったのだ!!
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『もしかしたら、あなたの尊敬する大好きな作家こそ、この本に登場する破滅的な小説家その人かもしれない。』
私の好きな小説家は、天才?変態?
Posted by ブクログ
文章を読むと、作家の内面を体感できる共感覚を持つ女はある時、吐くほどにおぞましい内面世界を持ったΩという作家を見つける。Ωの驚愕の正体とは。(スコッパ―の女)
著者が知り合った奇妙な作家L。
彼は物事の終焉までの距離を【深さ】として観測できるらしい。
ある日Lは鏡に映った自分に【深さ】が全くないことを知る……。(終焉を告げる小説家)
自分が生み出した天峰翔陽というキャラクター。
同名の人物が現実にいることが分かり、やがて物語と現実がシンクロし始める。(シンクロニシティ) 他2編。
小説家に纏わる身の毛もよだつ戦慄の短編集。
「この本に収録されている作品は、私が収集した出版関係者の奇妙なエピソードを、小説の形式に書き直したものである。
中には現在も活躍中の小説家が登場する。
もしかしたら、あなたの尊敬する大好きな作家こそ、この本に登場する破滅的な小説家その人かもしれない。」
山白朝子
山白氏の雰囲気満載である。
何処か拭っても取れない泥のような気味悪さが。
オチはなんとなく読めるが、文章で最後まで引っ張る。
そこは『流石』としか言いようがない。
Posted by ブクログ
読み終わると…
自分の影がいつもより長く、濃くなったような…
そんな奇妙な「物語の侵食」を感じています!笑
小説家にまつわる戦慄のエピソードを
収集したという仕掛けの短編集_
ページをめくるたび
日常のすぐ裏側にある「暗闇の宮殿」へと
足を踏み入れていくような感覚に陥りました
人間が抱える抜き差しならない孤独や
歪んでしまった愛情
そして「物語を書かずにはいられない」という
業のようなものがひっそりと…
けれど確かに息づいています
「最後の一行まで気を抜くな」
その帯の言葉通り、物語が美しく完成した瞬間に
足元をすくい取られるような衝撃!!
恐怖の中にどこか懐かしさや
救いようのない美しさを感じてしまうのは
やはり山白朝子さん(=乙一さん)だからこそ!!
久しぶりに乙一さんの物語の毒に酔いしれました
乙一さん好き〜♡♡