あらすじ
宮中に出現した危険な物の怪「こうげつ」との決着をつけ、光影との夫婦の絆も一層深まる中、梓子の仕える梅壺の女御、改め中宮が出産のために里下がりすることになった。
だが、里下がり先の邸の近くにある、とある邸が毎夜賑やかに宴を行っているという噂が耳に入る。
それは中宮の出産を快く思わない誰かの人為的なものなのか、それとも怪異の仕業なのか。
中宮が無事の出産を迎えられるよう、梓子は再び光影と真偽の確認と怪異対策に奔走することに!
そんな中、一度は消えたと思われた、光影につきまとう黒い靄が復活してしまう。
梓子は今度こそ黒い靄を退けるために、怪異縛りの業を発展させたあることを思いついて……?
怪異縛りの女房と、憑かれ体質の美貌の貴公子。
噂がたえない夫婦の向かう未来とは――?
平安お仕事×あやかし物語、堂々完結!
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Posted by ブクログ
良かった。
読後の印象としては、終わり方がやや唐突かなとは思ったものの、シリーズ化されると人気作品でも、どうしても中だるみが出てしまうことを考えれば、最適な終わり処ではないかと感じる。まだ読者がもう少し、この作品世界に浸っていたいと思う頃合いが終わり時なのだろう。
ストーリーとしては、特に左大臣家の三女松葉姫の幼い恋が何とも微笑ましく、それでいて哀しかった。自分の予想では、権力者で野心を持つ、ついでに策謀家の左大臣だから、姫を幼なじみの異形の恋人と別れさせ、予定通り、東宮に入内させるのかとばかり思っていたのだが、良い意味で外れた。
「異形の者にさらわれた姫」とは、まさに昔語りに出てきそうな話だし、上手い具合に作品に取り込んでいるところが凄いと思う。
終わり方がやや突然というのは先にも述べたけれど、小侍従が光影との間に一女を儲け、親王の乳母となったという辺り、また彼女が亡き母から「縛りの御業」を受け継いだように、いずれ幼い娘が筆と業を受け継ぐであろうーという先を少し匂わせて終わるのも自然で良かったと思う。
前巻までの感想では、この帝のモデルが一条天皇であり、左大臣が道長、中宮が彰子であると推測したのだが、たぶん、そうなのだろうと今でも思う。しかし、物語では中宮は皇子二人と皇女一人を産んだことになっているし、これも史実とフィクションを巧みに融合させていて良かった。