あらすじ
「うつ」とまでは言い切れない。だから、仕事に行けるし、家事もできる。
だけど、たしかに憂鬱を超えた不快感がある。身体は動くけれど、心が動かない。
「半うつ」とは、そんな憂鬱とも、
うつ病とも言えないグレーな心の状態を指します。
なんと、現代人の5人に1人が、
潜在的にこの「半うつ」に苦しんでいると言います。
名前のない不安ほど怖いものはありません。
でも、名前がつけば
「対処法がある」「1人じゃない」と思えるようになります。
この本は、精神科医として25年、
延べ20万人の患者さんを診てきた著者が、
名前がないばかりに見過ごされてきた苦しさに
「半うつ」という名前をつけ、その改善法を具体的に示した一冊です。
■こんな症状に複数心当たりがあったら「半うつ」かも?
□昔は楽しかった趣味やテレビ番組にも興味が湧かなくなった。
□美味しいものを食べたり、嬉しいことがあったりしても、心から喜べなくなった。
□夜なかなか眠れない、または休日に1日中寝てしまう。
□食事が面倒になる、または無意識に食べ過ぎてしまう。
□本や資料を読んでも頭に入らない、仕事に集中できない。
□原因不明の頭痛、肩こり、胃の不調が続く。
□「今日の夕食何にしよう」といった小さなことでも決められない。
□話している最中に集中が途切れ、相手の話を聞き逃すようになった。
□昔の失敗や恥ずかしい出来事ばかり思い出してしまうようになった。
□歩くのが遅くなったり、物が重く感じたり、身体的な動作が鈍くなった。
□些細なことで急に悲しくなったり、怒りっぽくなった。
□何かを質問されても、思考が停止して考えがまとまらなくなった。
【目次より】
プロローグ
半うつチェックリスト
第1章 憂鬱以上、うつ未満
第2章 半うつになるのも、しょうがない
第3章 半うつにつけるくすり①「食う・寝る」心に燃料を補給する
第4章 半うつにつけるくすり②「セロトニン」ほどよいブレーキのかけ方
第5章 半うつにつけるくすり③「ノルアドレナリン」安全で快適なアクセルの踏み方
第6章 半うつにつけるくすり④「ドーパミン」止まりかけたエンジンの動かし方
終章 精神科医だって、ちゃんと苦しいし、辛い
エピローグ
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
偶然、Instagramで見つけて、惹き付けられた一冊。
いまの自分にしっくりくる本でした。
うつ病の患者さんが最初に行く病院は精神科ではなく内科というのが本当に納得。メンタル不調で調子がでないことは特に何も思わないけれど、ごはんが食べれない、吐き気やめまいがするなどからだの不調が出たときは「なんの病気?」と内視鏡検査をしに行く。そして不調なし。
人がメンタル不調から回復していく順番や、回復方法がわかりやすく書かれていたので、危ないなと思ったときに読み返せるように常に置いておきたい。
まずは睡眠と食を見直すこと!
平先生自身の経験も書かれており、より自分の孤独感などが払拭されたし、本に対して心を許すことができた。
自分はおそらくブレーキを壊しにかかっている生活をしているので、適切にブレーキとアクセルを踏みながら生活したい。
Posted by ブクログ
・「半うつ」とは、医療的に明確な「うつ病」と診断されるほどではないが、慢性的な気分の落ち込み・無気力・自己否定感が続く状態を指す。
・現代では「明確に倒れていない人」ほど見落とされ、本人も「自分はまだ大丈夫」と思いがちなため、見過ごされやすい心の不調である。
・半うつの人は「普段はちゃんと仕事ができる」「人前では元気にふるまえる」など、一見すると適応できているため、周囲からも理解されにくい。
・問題は「機能はギリギリ維持できてしまう」という点で、気力を削りながら無理して動き続けることで、ある日突然「本格的なうつ」へ移行するリスクが高い。
・半うつの根底には「自分の感情を抑え込み、状況に合わせてしまう傾向」があり、怒り・悲しみ・疲労・不満といった内的サインを、本人が感じ取れなくなっていることが多い。
・多くの場合、幼少期から「頑張ることが当たり前」「迷惑をかけてはいけない」「強くあれ」といった同調圧力や自己抑制の習慣が形成されている。
・半うつの人は「できる自分」に価値を置き、役割や責任にしがみつく傾向が強い。結果として「できなくなった時、存在価値がなくなる」という極端な思い込みを抱きやすい。
・回復の第一歩は「抑えてきた自分の感情を、まず“感じ直す”こと」。すぐ解決しようとせず、「本当はどう思っているか」を静かに観察する態度が重要。
・心の不調は、思考や意志による根性論ではなく、「脳と身体の疲労のシグナル」と考える必要がある。休息は「逃げ」ではなく、再起のための条件。
・睡眠・栄養・運動など基本的な身体管理を整えることは、思った以上に効果が大きい。「心の問題」ではなく「全身の状態」として扱うべきである。
・「自分が何を感じ、何を望んでいるか」を言語化できる環境を持つことが、回復の重要な要素となる。信頼できる他者・専門家との対話は有効。
・半うつは「弱さの証」ではなく、適応して生き延びてきた証でもある。だからこそ、「これまでのやり方」を見直すことが必要になる。
・著者は「半うつの人が回復することは、自分を再獲得するプロセスであり、“ちゃんと生きる”ことをやり直すことだ」と強調する。