あらすじ
命を削り今を生きる「止観の道士」たち。
時に精神は現実を凌駕する――
織田信長が天下統一へ向け着々と歩みを進めていた元亀元年(一五七〇年)、京の街でこれまで交わることのなかった「止観の道士」たちの運命が交錯する。
「水観」の円四郎、「炎観」の平助、「月観」の桂月。
現実と幻想の狭間で揺れる自己矛盾、その道士という生き方にあえぎながらも、厳しい修行の末に彼らが得た止観の力は、やがて到来した織田家との戦いに大きな影響を与えていく――。
歴史上一切語られることのなかった儚き者たち。
その生の輝きと熱情が、乱世の闇を鮮烈に切り裂く!
『ヒートアイランド』 『ワイルド・ソウル』 『室町無頼』に連なる
垣根ワールドのエンターテインメント最高到達点!!
「25年小説を書いてきて初めて、全てをエンタメに振り切った物語を書いた」(著者)
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
エンタメ全振りの作品と漏れ聞いていましたが、まさにエンタメ。
想定していなかった、異能者バトルからの仲間の物語を戦国時代を舞台に描き切ったと感じました。序盤から完全に平助に感情移入してしまいました。ラスト直前は本能寺を平助が焼いて死ぬのだと思っていたのに、まさかの桂月の月観発動であったとは!平助は本望だったことでしょう。残された円四郎は、水観をつなぐことができたのか。それはまた、別の話…
実写化してほしいような、してほしくないような複雑な気持ちです。
Posted by ブクログ
天下統一へ向け着々と歩みを進める織田信長。あまりの残虐さに、水の平四郎、月の桂月、火の平助が立ち向かう。身を捨て命を削って、厳しい修行を重ね身につけた力を発揮する蜻蛉の夏がやってくる…。歴史物ではあるがこの作者さんには珍しいジャンルのエンターテインメント作品。
Posted by ブクログ
「蜻蛉」。最初に本を手に取った時は「とんぼ」と思っていましたが、実は「かげろう」と読むものでした。
本文でその記述が出てきた時に改めて、すごく考えられたタイトルだなぁ、と感心しました。
止観という創作的な概念と実在の歴史とを上手く融合したストーリーは、ものすごく緻密に構成されていました。
なかなか読み応えがあり、読み終えた時はぐったりしてしまいましたが、素晴らしい作品でした。
Posted by ブクログ
結構なボリュームながらあっと言う間に読み切ってしまった。著者が「エンタメに振り切った」と言うだけあって飽きさせないストーリー。
デジタルに支配され、LEDで全てを白日のもとに照らしてている現代においては、人ならぬ者、妖かしの術が存在できる隙間はもうどこにもなくて
水や火や闇を畏れる世界観はもう文字通り別世界だ。だけどどこか懐かしい感じがするのも確か。
20歳位の時に読んだ司馬遼
Posted by ブクログ
私が今一番お気に入り作家の最新作。今回は歴史小説に鬼滅の刃を思わせるフィクション的要素が多分に入り込んだ内容で、純粋に歴史小説が好きな方からしたら評価が分かれる作品かなと感じる。なかなか思い切った一冊です。
Posted by ブクログ
織田信長が天下統一へ向け着々と歩みを進めていた元亀元年、「止観の道士」たちの運命が交差する。修行の末に彼らが得た止観の力は、織田家との戦いに大きな影響を与え…。
「光秀の定理」「信長の原理」を描いてきた垣根涼介、今度の作品は同時代ながらも武術から幻術に世界を拡げた。何だかポケモンのバトルや里見八犬伝を思い起こすような展開だったけれど楽しく読めた。
(B)
Posted by ブクログ
既に時代小説としての地位を確立した著者。本書も十分に面白い内容だが、どうも妖術っぽい話は個人的に好みではないので、評価4で。しかもちょっと無駄に長い気もする。
Posted by ブクログ
信長が天下統一へ向けて着々と歩みを進めていた時代
これまで交わることのなかった止観の道士たちの運命が交錯する
火観 水観 月観 風観
期待した分つまらなかった
なかなか読み進まない感もあった
Posted by ブクログ
平助が終始愛おしい。
『止観』のファンタジー要素を受け入れられるかどうかで評価が割れる作品だと思う。
信長絡みの主だった戦さを、三人の能力と紐づけながらコツコツと話が進むので、結構長い。なるほどそう関連づけるのかと楽しみつつ読んだ。
残り数頁で、あの日本史上最大級のイベントをどう仕舞うのか?と不安になったが、余韻も爽やかで好きだった。