あらすじ
「雨がくると、覚悟をしなけりゃいけない。家族がひとり、へることを」。
大人たちの不吉な噂話を聞いたハランの家に、ひとりの男が訪ねてきた。雨をつれて――。
しばらく泊めることになった旅人をハランは警戒し、
噂を知らないはずの兄や姉の態度もどこかおかしい。
祖父と両親は一見いつも通りにふるまっているけれど……。
男の目的が明らかになったとき、家族は何を選び取るのか。
『通り雨は〈世界〉をまたいで旅をする』改題。
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Posted by ブクログ
『記憶の果ての旅』に続いて沢村凛さんの本を読んだ。物語に入り込むまでに少し時間が掛かったのは『記憶の〜』と同じ。最終盤、涙がこみ上げるような感動に包まれた点も。著者の持つ人間や人間社会に対する本源的な信頼が、得がたい希望のように読者にも与えられる。それがあれば、それさえあれば人生は生きていくに値すると思えた。福音みたいな読書体験。
Posted by ブクログ
「雨がくると、覚悟をしなけりゃいけない。家族がひとり、へることを」
そんな不思議な話を耳にしたハランの家にひとりの旅人、スオウが雨の中、宿を求めて訪ねて来た。
しばらく逗留することになったスオウはすぐに家族に馴染みながらも、家族それぞれの心に少しずつ静かなさざ波を起こしていく...
てっきりジュブナイル向けのファンタジーだと思って未読だったのだが、いざ読み始めたら、いきなり1ページ目からSFだったので面食らってしまった。が、むしろそちらの方が好みなので嬉しい驚き。
一家に紛れ込んだ異分子が穏やかな日常を徐々に変えていき、やがて世界の秘密が...というSFのひとつの王道。格段、衝撃の真実という訳でもないのだが、あまり派手な展開もない中で、家族ひとりひとりの心情を細やかに描き、最後に静謐なカタルシスが訪れる。あり得たかもしれないもう一つの人生に思いを馳せ、深い余韻を残す。
同時期に出た「記憶の果ての旅」も未読で、本作の解説によるとSFではないとのことだが、タイトルがゼナ・ヘンダースンみたいだし、ちょっと怪しいかもしれない。