あらすじ
「逃げなきゃ。この女のそばにいるのは危険すぎる」
新人作家、汐田聖が目にした不倫妻の独白ブログ。ありきたりな内容だったが、そこに登場する「不倫相手の母親」に感情をかき乱される。美しく、それでいて親しみやすさもある完璧な女性。彼女こそ、聖が長年存在を無視され、苦しめられてきた実の母親だった。ある時は遠い異国で、ある時は港の街で。名前も姿さえも偽りながら、無邪気に他人を次々と不幸に陥れる……。果たして彼女の目的は、そして、聖は理解不能の母にどう向き合うのか?
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Posted by ブクログ
悪い女、それも飛び抜けて悪い女。他人を思うように操る能力が底抜けで、関わったら最後だというのが恐ろしいのだけれど、面白くて一気読み。
最初は短編集なのかと思ったが、人々の繋がりが徐々に明らかにされていくのがたまらなかった。違和感は全部伏線だったのかと。時系列や人物などしっかり把握・理解して読んでいく必要がある本だった。
恐ろしいエピソードは沢山ある。
栄利子が偽の通訳をしていたのは怖かった。そして最初に不倫現場になったマンションが聖の部屋だったと分かった時、この家族は本当にやばいと思った……。
知らない方が幸せ、なのかどうか、栄利子を見ていると不安にさせられる。こちらの常識と価値観が通じない相手である。おそらく純粋な悪意というか、本人は悪意とも思っていないかもしれない。
聖が小説を書いて気持を整理していくシーンはなんだか励まされたようで慰められた。
Posted by ブクログ
短編と見せかけつつ、最終的に、全ての話に登場する1人の嘘つきに繋がっており、その嘘つきの異常性について娘が言及する。
序盤は毒親から逃げる目的で急いで結婚し、その夫も亭主関白が強く、「稼いでくる旦那様の性的奉仕もできないなんて妻失格だぞ」と言っちゃう人だった。帝王切開で出産すると、母からも姑からも、「自然分娩ではない?痛みがなんだって?あんた異常。」とやっと産んだのに罵られ、現実で有り得る光景であり、絶望的で頭が痛くなった。
最後の話で、各話の登場人物が出てきたりするのだが、誰が誰だったか、名前の記憶が曖昧だったのでよく分からなくなった。
誰かの考察を読みたい。