【感想・ネタバレ】悪と無垢のレビュー

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Posted by ブクログ 2023年03月11日

今回もまんまと翻弄された。
第一章から止まらなくなる流れ。でも読み終わるとさらに深まっている謎。
こんなに整理するために読み直したの久々。

時系列はバラバラながら「英利子」とのそれぞれの出会い、受けた恩恵、予期せぬ無関係そうに思える出来事。
章を重ねるたびにそれらが密接に繋がっていることを理解し、...続きを読む表と裏から覗いているような感覚。理解する喜びとさらに深まっていく困惑がごちゃ混ぜになって、格別な体験だった。

全体的な大きな流れだけではなく、各章の欲望と悲哀、人間の不気味さ、明らかになり切らないちょっとした疑問点など、それぞれの読み応えも抜群だった。
また著者らしい、常識や大多数の意見を背にした正義観から、あぶれてしまう人たちを掬い取る文章はやはり胸がすくものがあった。

”悪気がないことはわかっていた。あるのは使命感。想像力の欠如した的外れの。”

そして、各章の轍を辿っていく最終章。
それまでずっと、もういないことにされていた英利子の長女・聖の視点でできる限りの収斂を迎える。
深く関わった登場人物で唯一、英利子に錯覚を抱かなかった聖は、抗い、逃げながらも創作を通じて母に対峙していく。
でもここで新たに「そんな母親の傍らで、娘のために積極的な行動を起こさなかった父親」は果たして無罪なのか、という疑問が出てくる。
個人的には母娘の話で終わるんだろうなと思っていたから、新たに父の存在まで出てくると一読では処理できない情報と感情になってしまった。
それは聖が生涯かけて解いていく命題でもあるし、最後の文章が納得と諦めの気持ちを持って、全てを代弁していると思う。

”こことここの辻褄が合わないと思うんですが。
その指摘を見たときは笑ってしまった。今見ても可笑しい。何度でも笑える。
事実を記すと辻褄が合わない。不可解で無秩序。それがわたしの育った家だった。”

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Posted by ブクログ 2023年01月13日

不穏なプロローグから、一話目の物語を読み終えてこれは短編集なのか?紹介文にあった悪女とは??
ただ、すごく好みの作品っぽい…
常に持ち歩いて短い時間でも本を開いて没頭するくらい夢中になって読んだ。
読みながら、その嘘に気付かない私も簡単に信じきって騙されてしまう側なんだろう…
1話目2話目の危うい彼...続きを読む女たちのように自らすすんで騙されにいって、その束の間の幸福に身を委ねる描写が本当に上手くて、、私が一木けいさんの作品で一番好きな「穴底の部屋」を感じられたのが一番の収穫でした。

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Posted by ブクログ 2023年08月27日

流れるように心の中に入っていってぐちゃぐちゃにして出ていく
どれも最後はバレていくんだけど、別に構わないというような爽やかさ
結局英利子の目的はわからなかった
悪と無垢ってそういうこと?
目的がないから自覚なく人を傷つけられるってこと?
だとしたらこれ以上の邪悪はないと思う
スリルがあっておもしろか...続きを読むった

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年08月22日

悪い女、それも飛び抜けて悪い女。他人を思うように操る能力が底抜けで、関わったら最後だというのが恐ろしいのだけれど、面白くて一気読み。
最初は短編集なのかと思ったが、人々の繋がりが徐々に明らかにされていくのがたまらなかった。違和感は全部伏線だったのかと。時系列や人物などしっかり把握・理解して読んでいく...続きを読む必要がある本だった。
恐ろしいエピソードは沢山ある。
栄利子が偽の通訳をしていたのは怖かった。そして最初に不倫現場になったマンションが聖の部屋だったと分かった時、この家族は本当にやばいと思った……。
知らない方が幸せ、なのかどうか、栄利子を見ていると不安にさせられる。こちらの常識と価値観が通じない相手である。おそらく純粋な悪意というか、本人は悪意とも思っていないかもしれない。
聖が小説を書いて気持を整理していくシーンはなんだか励まされたようで慰められた。

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Posted by ブクログ 2023年04月29日

嘘に騙され貶められる人達の悲喜こもごもで一気に読んだけど、帯に記されてる実娘のターンが短くてびっくりした。そこがメインじゃないの……?
という物足りなさで☆-1

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年04月28日

サイコパスな女性を中心に、運命を狂わされていく人たちがオムニバス形式でつづられていく。実際にいそうな気もして、怖さを感じた。

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Posted by ブクログ 2023年03月31日

連作短編となっており、それぞれが最終的に繋がって真相が明らかになっていくのだが…。一体なぜその女は躊躇なく嘘をつくのだろう。不可解だし、それ以上に嫌悪感で一杯になるのに、続きが気になって一気に読んだ。

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Posted by ブクログ 2022年12月05日

「奈落の踊り場」
夫のDVに追われるユリはイタリアンレストランで働く真崎と知り合い恋に落ちます。
真崎はユリに「遠くに行くことになったらついてきて」そして、ユリの子どもの郁也と三人で暮らそうといいます。
しかし、真崎は実は妻帯者であることに気づき、いくら探してもみつからなくなってしまいます。
なんか...続きを読む、これ一編でも怪談みたいな話だと思いました。

「馬鹿馬鹿しい安寧」
これは恋愛系ミステリーかと思いました。
若菜は海外で暮らし、ボーンという運転手と英利子から夫の不貞を聞かされ、自分もナットという青年と浮気をします。
夫とナットが鉢合わせたり、ナットといるとき、スリに合った若菜を助けてくれるのはいつも英利子でしたが…。
本当はすべてが違っていたのです。

「戯れ」
中一の僕が万引きした女の子と出会う話。

「カゲトモ」
もの凄い嘘つきの女性が出てくる話。
ここまでするかという嘘。
そういう女性と親友になった女性。

「きみに親はいない」
すべての話がつながる最終話。
英利子の娘の聖が小説家になって登場します。


普通の短編集だと思って読んでいたら、最終話でやっと連作短編集だったことに気づきました。
全然、意味のわからなかったプロローグを全部読んでから再読すると怖い話だということはわかりました。
ジャンルとしてはサスペンスでしょうか?

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Posted by ブクログ 2024年04月04日

一番好きなのは奈落の踊り場。読みやすい文章で物語に入り込めて時間があっという間に感じた。

読むだけで浮かび上がる情景と足りない空白を埋めようと想像させるそのバランスが私の好みだった。


「愛想笑いに疲弊する頬は、真崎の部屋にいたときとは筋肉の使い方が違った」

表現の仕方や一つのアクションに対し...続きを読むて自然なアプローチで情報を説明するのがスマートに感じる。

次に好きなのは馬鹿馬鹿しい安寧
最初の主人公より愚かさを感じるのに何故かイライラせず読める。

この二つの作品は不倫特有のヒリヒリ感とハラハラ感、理性的に考えて決断すればリスクを冒さなくて済むのにそうしない人間の非合理的なところが垣間見れて楽しい。この人の作品もっと読みたいと興奮しながら読んだけどそのほかの作品はどんどん私の中では減速していった。

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Posted by ブクログ 2024年01月20日

グロテスクだったね〜。終始、陰湿な雰囲気が続く。
わたしの理解が足りていないのは大いにあると思うが、最後までわからないことが多い。あらすじに「果たして彼女の目的は、」と書かれているが、最後まで読んでも英利子の目的はわからなかった。
というか、別に目的なんかないんじゃないのとも思った。世の中には娯楽と...続きを読むして嘘をついたり、人を蔑める人もいる。狂人ではなく正気の狂人。あとお父さん。
最後に出てくる切子の「やらないで後悔よりやって後悔って言うけど、迷ったらやらない」の言葉は凄く好き。

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Posted by ブクログ 2023年11月12日

キャラクター小説には成り切れていない。実際にいる表と裏がある人を煮詰めたような悪女だが全くチャーミングではなく、単に不快。人間関係が強引なところも散見されたのが残念。設定は面白いと思うのだが。

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Posted by ブクログ 2023年08月28日

こわい。現実でも周りのあの人ももしかしたらってなりそうだけど、それ思いだしたら気が狂いそう。だから大丈夫。現実にはいません。

一気に読めるしどうなるのか気になる展開ではあったけど、最後のつながりはちょっとわかりづらいのと、えりこがどうしてこんなになってしまったのか、どうして娘をいじめるのかがよくわ...続きを読むからない。

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Posted by ブクログ 2023年08月18日

ずっと不穏。終始べたつくように纏わり付く不快感。読みながら思い出す過去に出会い引っ掻き回したあの女。
私は何のためにこれを読んでいるのか、何?何かの苦行??でも、何故か頁を捲ってしまう。
読み終わって残ったのは、よりいっそうの嫌悪感。
怖い。怖い。

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Posted by ブクログ 2023年04月09日

英利子がとにかく怖すぎる。
完全に狂ってるとしか言い様がないのだけど、体裁を整えるのがうまいから、彼女の嘘を見抜ける人がいない。
こんな人に会ったこともないし、この先も会いたくない…。
ずっと不穏で嫌な気分のままだったけど、短編がどんどん繋がっていくのに引っ張られて、一気読みしてしまった。

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Posted by ブクログ 2023年03月08日

初めて一木さんを読んだ時の衝撃が忘れられない。当時から背後には暗い冷たいものはあったんだろうけれど、あの、ページを読み進めたい!と思わせる躍動感というか胸をえぐられる感じが…やっぱり乏しい。小説家としては、上手くなっているのかもしれないけれど。個人的にはすごく、寂しい気持ちになる。
特に今回は、最初...続きを読む2つを読んで、不倫の話か、もうやめよ…となり、ただレビューを見たら最後には繋がるというので期待を持ち直して最後まで読んだ。最後まで読むと、えぐみとか、薄ら寒さ、心地悪さをちょっとした言動も含め巧く描いているのだけれど…
あの、次のページを読みたい!!ってなる感じが最初の本からどんどん減っていってしまっているな…というのが個人的な感想です。なんだろう、残酷冷淡な環境の中での希望というか、縋るものというか、そこにすごく光があって、心が揺さぶられたんだよね。今回はそれが“書く”ということだったと思うんだけれど、それにしてはそこに焦点があてられるのが遅いし、繋がるのが遅いし、あまりそこに“光”が感じられない…。
でも、また次の作品も追ってみたい読んでみたいです。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年03月04日

短編と見せかけつつ、最終的に、全ての話に登場する1人の嘘つきに繋がっており、その嘘つきの異常性について娘が言及する。
序盤は毒親から逃げる目的で急いで結婚し、その夫も亭主関白が強く、「稼いでくる旦那様の性的奉仕もできないなんて妻失格だぞ」と言っちゃう人だった。帝王切開で出産すると、母からも姑からも、...続きを読む「自然分娩ではない?痛みがなんだって?あんた異常。」とやっと産んだのに罵られ、現実で有り得る光景であり、絶望的で頭が痛くなった。

最後の話で、各話の登場人物が出てきたりするのだが、誰が誰だったか、名前の記憶が曖昧だったのでよく分からなくなった。
誰かの考察を読みたい。

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Posted by ブクログ 2023年02月18日

「奈落の踊り場」「馬鹿馬鹿しい安寧」「戯れ」「カゲトモ」「きみに親はいない」
5話収録の連作短編集。

それぞれ独立した物語だと思い読み進めていくと、一つのアイテムに既視感を覚え、ある人物の姿が浮き彫りになっていく。

途轍もなく嫌な予感は徐々に確信に変わり、この人物から目が離せない。

美しさと賢...続きを読むさを兼ね備え、息をするように嘘を吐く。
彼女に縋り頼って来る者達に見返りも求めず、純真無垢な言動で接しながら、そっとほくそ笑む姿はまるでサイコパス。

彼女の目的を探ろうとしても一向に真実は見えて来ない。

人間の不可解さに唸る読後。

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Posted by ブクログ 2023年02月14日

初読みの作家。
一気に読んでしまいたい魅力がありつつ、終始胸糞悪さが拭えない小説。
湯水のように嘘が出てくる人…出会いたくない。

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Posted by ブクログ 2023年01月08日

これまでの一木さんの作風とは一線を画す不穏な内容だった。
プロローグを除き5篇からなる連作で、最初の2篇はどちらも同じような“不倫もの”でげんなりした。が、3作目から様子が変わり、遠回しに書かれているものの正体に気付く。5作目まで読み終え、改めてプロローグを読む。大きく息を吐いたが、結局のところ理解...続きを読むしたとは言い難い。
病的な人なのか、モダンホラーに出てくるような超自然な存在なのか。どちらとも取れるが、おそらく前者だろう。人の行いは、時としてホラーより恐ろしい。

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Posted by ブクログ 2022年12月31日

息を吐くように嘘をつく母。どれだけ彼女に振り回される続けてきたか。関わるすべての人を不幸にしていく母。いつになっても母は母なのだ。

最終編にすべて集約されるが、そこまでの話が入り組みすぎて…私には難しすぎました。最近こういうのが多いなぁ、私の脳が劣化したんだろう、歳だな。

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