【感想・ネタバレ】女を書けない文豪たち イタリア人が偏愛する日本近現代文学のレビュー

あらすじ

『舞姫』『こころ』『真珠夫人』etc.
ああも女心をわからないのは、なぜ??
古典文学ではあんなに巧みだったのに(嘆)
日本文学を偏愛し、恋愛下手も自認する翻訳者が文学史の誇る「最もくどくてどうしようもない男」たちから謎に迫る。

近現代文学はロマンチックラブとの格闘史だ!
<愛>の在り方が変わった近代。
名作を誰もが持つロマンスの黒歴史から読み直すと、偉い「文豪」でなく、恋愛下手で頭にもくるけど可愛らしい「男」たちの素顔が見えてくる。
古典文学の超訳で知られる著者だが、最も読み込んできたのは近現代文学。
文学史の誇る「最もくどくてどうしようもない男」たちを、誰もが持つロマンスの黒歴史から読み直し、日本人の恋愛史まで浮かび上がらせる。
未読でも既読でも楽しめる、ロマンスで読み解く日本近現代文学。

【目次】
はじめに
第一部 恋に恋してるだけ 泣き止めばケロッとするオトコたち
元カノって、忘れなきゃダメですか――『舞姫』
ママの呪縛――『不如帰』
妄想こそはオジサンの生きる道――『蒲団』

第二部 結局のところ、俺様が主人公 意識高い系の憂鬱に悩むオトコたち
大人のこころの謎解き――夏目漱石『こころ』
妖婦は男性によって創られた――谷崎潤一郎『痴人の愛』
男性重視はどうにも隠せない――太宰治『ヴィヨンの妻』
女を・棄てた・遠藤周作――遠藤周作『わたしが・棄てた・女』

第三部 とことんウザい いつまでも諦めないオトコたち
ロマンチック・ラブという「病」――尾崎紅葉『金色夜叉』
「新しい女」まで後一歩は本当か?――菊池寛『真珠夫人』
ほんとうに怖い恋愛の話――江戸川乱歩『人でなしの恋』
おわりに
参考文献一覧

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Posted by ブクログ

ネタバレ

中学、高校のころは漫然と触れていた近現代の文豪たちも作品も大人になって読み返してみると、女性への解像度の低さに唖然とする。読み進めながら(んなわけねーだろ!!)とちゃぶ台をひっくり返したくなるような気持ちになるのだ。

これはある意味で現代に生きる女性たちから文豪たちへのカウンターとして生まれたブックガイドでもある。私が本書に取り上げられている作品のなかで読んだことがあるのは「舞姫」「こころ」「痴人の愛」「ヴィヨンの妻」あたりだが、やはり読んでいてツッコミどころが満載なのである。女性のことをなんだと思ってるんだー!と叫んでやりたい。イザベラさんが我々に変わって「おいおい!」とキレ味するどいツッコミを入れてくれている。この本は文豪とその作品の主人公にブーブー言いつつも本の内容を的確に紹介してくれているので、もちろん興味をそそられた。個人的には江戸川乱歩の『人でなしの恋『がとても読みたいと思った。こういう意味での「人でなし」なのかと衝撃を受けた内容だった。

近現代の文豪が描くまるで絵空事みたいな女性の捉え方に文句を言いたい人や、それを理解してもらいたい人は楽しく読めると思う。

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2022年12月25日

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