あらすじ
コロナ対応で一気に世間の注目を浴びた「保健所」。そんな保健所が、自殺対策もしていることは、意外と知られていない――。基 羊介はある日職場の上司が自殺したことをきっかけに、脱サラして保健所の保健予防課に転職した新人の精神保健福祉士。保健予防課では「死にたい」と悩む人々の相談に日々応じているが、その対応は一筋縄ではいかず――…。15~39歳の死因第一位が自殺という日本で、「死にたい」と悩む方々に手を差し伸べる人たちが、ここにいます。
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読むべき作品です
監修の松本俊彦氏は薬物依存治療等で活躍されていますので、それもあって読みました。
主に3例、出てきて、軽度の知的障害を伴っているケース、老夫婦で共依存関係になっているケース、不安型愛着障害等々、今時ありそうな症例ばかりです。リストカット、あと自殺未遂も実際の自殺者よりずっと多いです。
なおかつ日本の統計、OECD基準等では甘くて、実数はもっと多いのでは?とも聞きます。政治と行政等の諸問題もあるでしょう。この作品の舞台になっている保健所、この間ずっと減らしてきていますので。当然、行政サービスの質にも影響が出ます。
個々のケースにも絶対的な対処方法はなく、その都度考える必要もあるでしょうから簡単なはずもないです。就労支援でなんとか社会復帰できれば良いのですが、2例目は配偶者の妻に色々と問題がありすぎ、本人の年齢等を考慮したら更生しそうにもないので離れるくらいしかなさそうです。でも当事者が行動してくれないと如何ともし難いです。
永年の行動様式が固まってしまっている高齢者だと、主人公のように、もっと何か出来ないか?と思い悩むところもあるでしょう。
最後のケースとかは一見優しそうな彼氏に問題があって彼女にどうやら売春させているようですんで、女を食い物にするクズ男にも事欠かなさそうです。
DVに対するシェルター、不足しているでしょうし、生活保護を受けることに未だ恥を感じる(不正受給している輩がいるとバッシングするボンクラ政治屋はいますが実際の割合は僅かですし、行政のもっと大きな無駄遣いは無視するのでどうしようもないです)人も多いでしょうから、厄介です……。
Posted by ブクログ
保健所が自殺防止の取り組みもしているとは知らなかった。
実際の保健所がここまで親身になってくれるのかは分からないが、いざという時のための知識として知っておくのに損はないなと思った。
日本は自殺の多い国。
G7の中でも最悪の数値が出ているらしい。
年間約2万人。
事故や戦争と違って表面化しにくい、目を背けられがちな恐ろしい事実。
自殺願望のある人たちにはきっと本人にしかわかり得ない深刻で複雑な事情がある。
いじめや精神疾患が原因でリストカットに手を出したり外に出れなくなったり、当事者の内情を知るにつれ読んでるこちら側もどんどん苦しくなってくる。
男性のDV被害者がいかに助けを求めにくい環境であるかも痛感した。
マイノリティに冷たい視線を向けては排除しようとする社会の残酷で極端な性格が彼らの生きる意味を奪っていくんだなと思った。