あらすじ
ポイット氏は、今日もがっくりと肩を落とした。「またダメだった……」果たしてこれは何度目の失敗だろう。いったいいつになったら……?ひとり悩むポイット氏に、ある日見知らぬ女性が声をかけてきた。――「あなた、まだ〈アレ〉を食べていませんね?」そして知らされる衝撃の事実。どこか風変わりな中年と老年の男女4人による、ちょっと奇妙なお話。もしかしてあなたも、〈4ミリ〉のお仲間ですか?
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Posted by ブクログ
暗喩的な話
マイノリティも自己肯定していきたいねという話(違うかも)
同種の仲間と分かり合えれば幸せだけど、仲間を探すのが大変そう。現実だとネットとかで探すのかな。
Posted by ブクログ
高楼方子さんの作品にはまりつつあり、せっかくなので童話も読んでみました。
児童文学だけど、大人になってから読むとまた違う楽しみがあると思います。
フラココノ実を食べずに大人になった登場人物たちがとても愉快で魅力的。
Posted by ブクログ
ポイット氏はフラココノ実を食べたことがない。
この本の世界では、人はある時期がくるとみんなフラココノ実を食るようになる。はじめて食べる時には、未知の味を味わおうと大人びたふうを装ったり、精神鍛錬に励んだりする人もいれば、逆にフラココノ実を拒否しようとする人もいる。けれど、一人一人違う「食べ時」が来たら、人はフラココノ実を食べずにはいられない。
大きな湖の中程にあるフラココノ島にある木になるフラココノ実。一度食べたら、毎月一度食べに行くことになるが、そうなると、フラココノ実は日常のひとつでしかなくなる。
大人はほぼ、フラココノ実を食べている。
だけど、ポイット氏は、そこそこおじさんで、仕事もしている大人なのに、まだフラココノ実を食べた事がない。島に近付こうとすると何らかの障害があって、島に渡ることさえできないのだ。
他人には隠している、フラココノ実を食べていない事実だけど、ある時、エビータさんという女の人に声をかけられた。
「あなた、お歩きになるとき、4ミリほど浮いていらっしゃることご存じ?」と。
フラココノ実を食べていない人は、地面から4ミリほど浮いている、そして自分もそうなのだと言うのです。
さらに画家のバンボーロ氏もおじいさんなのに4ミリ浮いている。
3人は4ミリ同盟をくんで、フラココノ島へ一緒に行くことを決めましたが・・・。
フラココノ実が大人への階段のようなものであり、フラココノ実を食べていない人の楽しげな空気が、たかどのほうこさんらしい・・・と言うか、たかどのほうこさんこそ、4ミリ浮いていても不思議じゃないと思ってしまう。