あらすじ
「性愛」「肉食」「生殖」「自死」。それはテクノロジーの、最後のフロンティア。
高性能AIを搭載し、あなたの欲望をすべて叶えるロボットは「完璧な伴侶」になりうるか? 人工で培養した肉は動物たちの権利を守り、気候変動を防ぎ、地球を救うだろうか? 妊娠も出産も、代理母すら必要ない人工子宮による生殖は本当に女性たちを社会的に救うのか? 人間にとって「満たされた、完璧な死」とは何なのか……?
科学と倫理の境界でゆらぐ、21世紀の性、食、生、死。生命倫理、暴走する資本主義、ジェンダーとフェミニズム、気候変動、管理社会、ウェルビーイング……様々な命題が複雑に絡み合う最新技術開発の最前線で、気鋭のジャーナリストがその進歩や課題、あるいは華やかなシリコンバレーの起業家たちをはじめとしたプレイヤーの虚実を5年にわたって現場取材し、21世紀の「人間性」のゆくえを考察した、グレーな近未来ガイド。
Jenny Kleeman “SEX ROBOT & VEGAN MEAT - Adventures at the Frontier of Birth, Food, Sex and Death”の完訳。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
日本で生きていると実感の湧かない世界の実情、地球の現実を知ることができた、自分にとってはとても貴重な一冊。
テクノロジーの発展は、確かに私たちを便利な生活へと導く。しかし、その甘い蜜を現代を生きる誰もが吸っている(無意識的に)からこそ、「便利さ」という誘惑に私たちは驚くほど脆弱だ。
現代に蔓延る社会問題、環境問題は、紛れもなく私たち人間が、引き起こしたものであり、その責任を私たち人間は、引き受ける必要がある。一度手にした甘い蜜を諦めること、手放すこと、すなわち自分たちの生活が「便利でなくなること」に、私たちは過剰なまでの恐怖を抱く。しかしそれは、私たち人間が歩んできた時間軸を、歴史を逆戻りすることと同義ではないはず。便利さ=豊かさではないはず。
テクノロジーは根本的な問題解決策ではなく、あくまでも延命措置的な役割しかもたない。根本的な解決策は、泥臭く、醜く、涙を流し、頭を抱えながら私たち人間が行動すること。そう思う。
Posted by ブクログ
テクノロジーの進化によってもたらせる
性、食、生、死のアップデート。
技術革新によってこれら全てがもし自在コントロールができるようになったとして、その先にあるのは果たしてユートピアと言えるのか。
本質的で根源的な自分にとっての"幸せ"はなにか考えさせられました。
AI黎明期にあたる今こそ必要な一冊だと痛感。
Posted by ブクログ
性、食、生、死にまつわる4種類の近未来の技術に挑む人々を取材したルポルタージュ。技術の革新性よりも、シリコンバレーなどで開発に挑むユニコーン企業の”上手くいくまでは上手くいっている様に見せる”というビジネスの論理が共通している点に驚いた。
Posted by ブクログ
多様化した現代社会で表面化している性愛、肉食、生殖、自死の問題
人間性の根幹領域をテクノロジーに委ねることで、何か大事なものを失っている
しかしすでにもう舵は切られているんだな…
ホモ・サピエンスは本当に、ホモ・デウスになるのか
面白いが末恐ろしい読書体験
Posted by ブクログ
最後まで読めなかったけど面白かった。特に人工肉の章。フードテックで働いているので今後食べ物に関する人間の価値観がどう変わっていくのか興味がある
Posted by ブクログ
最先端テクノロジーは人間を幸福にするのか。自称「懐疑的なひねくれもの」である女性ジャーナリストが取材するテクノロジーの世界には、人間の見栄、虚栄心、エゴ、支配欲が充満している。
テクノロジーをフェミニズムの問題として読める新鮮な読書だった。
Posted by ブクログ
最新のテクノロジーを詳しく知れると思いながら読んだけど著者の私情がふんだんに入っていて正直邪魔だった。しかも批判的…
セックスロボット、人工肉、人口妊娠、自発的な死を取り上げている。
テクノローと倫理がテーマだった。でも著者に興味はないんだよななければ良かったな。
Posted by ブクログ
倫理の議論が追いついていないほどの超最先端テクノロジーに対して、フェミニズムの視点と生身の人間を最上と定義する著者がインタビューをする内容。質問内容にも筆者の考え方が色濃く出ている。
最新技術はどれもSFのような夢のある発明ばかりで、読んでいてワクワクする。倫理的な議論の余地も存在するが、超最先端テクノロジーが好きな人にはおすすめできる。
Posted by ブクログ
性、食、生、死の形が今後多様化していくのは間違いないと思うし、その多様化を進めていくのは本書に書かれているような人々なのだろうけど…なんとなく拒絶感を感じてしまう…著者が否定的だからなのか、本能的なものなのか…
何十年、何百年後には書かれているような技術が普及してる未来が本当にくるのかしら…?
本書の著者は女性だけど、同じテーマで男性が取材・執筆したらまた少し違う景色が見えてきそう。
Posted by ブクログ
紹介されている内容がどれもこれも胡散臭いと思ってしまったけど、新しい技術が生まれる直前というのはこんな感じなのかなとも思った。
人工子宮の件、女性はキャリアと家庭のすべてを手に入れるのはほぼ不可能という認識は全世界共通なんだなと実感させられた。
どんなにすてきな技術でも、使われ方までは指定できないところが怖い。
Posted by ブクログ
興味のあるテーマなのでどの章もとても面白かった。
が、著者が個人的な自意見や感情を剥き出しにしていたりインタビュー中に喧嘩腰になっていたりする点が読んでいて少し気になった。
読者としては最新の未知なるテクノロジーの情報を得たくて読んでいるので、著者が思うところがあってももう少しジャーナリストとしてフラットな目線で、今後起こりうる様々な可能性や危険性を語ってほしかった。
テクノロジーは人間としての機能や価値を殺すかもしれないが、それにより救われる人も解決される問題も数知れない。
社会が純粋に求めているものと企業が企てている意図が違うこともわかった上で、今までになかった新しい技術というのは恩恵もあるし当然犠牲もあるもの。
それでもこれから起きるか起こらないか分からない問題にばかり目を向けて否定的になったり悲観的になるよりも、私は新しいテクノロジーが多くのものを救い・解決するかもしれないという可能性と希望の方に期待していたい。
そしてそんなテクノロジーを生み出している技術者や企業を応援していきたい。