あらすじ
実家は病院で将来の夢は医師。東京で恵まれた中学校生活を送っていた有人は、学校で注目を集めたある出来事で希望を失い、引きこもり生活を続けていた。彼の行く末を心配した叔父の雅彦は、心機一転、北海道の離島の高校への入学を勧める。「海鳥の楽園」と呼ばれるその島で、たった4人の級友と島民に囲まれる日々。東京での暮らしとは全く違う環境に、有人が戸惑いながらも馴染み始めた頃、残酷な別れが彼を襲い……。未来を失った少年の絶望と再生を描く、感涙必至の青春小説。
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Posted by ブクログ
川嶋有人
引きこもり。出席日数不足で高等部には進めなかった。叔父の勧めで、北海道の離島・照羽尻島の高校に進学する。
川嶋雅彦
叔父。父とは十歳近く歳が離れている。研修医として福井の大学病院へ赴任するまで、同じ食卓を囲んでいた。北海道の離島の診療所に赴任している。
幸子
伯母。
和人
有人の二つ年上の兄。筑駒。両親が卒業した医大に進学。
加奈
幸子の娘。
父
医者。
母
医者。
上原
有人のクラスメイト。女子の中でも華やかでトップのカーストに君臨する。
道下麗奈
前歯に矯正器具が装着されている。夏休み明けに転入してきた。ニューヨークからの帰国子女。アレルギーを発症し言語障害が残った。
野呂
野呂旅館の奥さん。
野呂涼
野呂の娘。有人が島に来るフェリーで会った。照羽尻高校二年生。
田宮
島の配送業者。副業で観光客に案内をしている。
斎藤誠
高校の新入生。照羽尻島で生まれ育った子。申し分のない上背に筋肉を感じさせる体躯、短髪は、まるでエリートスポーツ選手を思わせる。
東村桃花
高校の新入生。札幌から来た子。
桐生
雅彦の診療所の看護師。六十代半ばの女性。照羽尻島出身。独身。後茂内町内で下宿しながら高校へ通い、看護専門学校で看護師の資格を取った。ずっと旭川市内の総合病院に勤務していた。六十歳で退職し、のんびり余生を送るつもりで島に帰ってきた。
森内
医療事務員。
八木陽樹
二年。
斎藤至
誠の兄。パティシエになると啖呵を切って、札幌の専門学校に行った。
柏木道大
医大の学生。研究テーマの話しを聞きに来る。医学部卒業後、博士課程基礎医学コースに在籍中。
森
実習担当の先生。
石川
歴史担当の先生。
赤羽
北辰新聞社社会部。照羽尻高校に取材に来た。
後藤夫妻
照羽尻高校の寮の管理人。
星澤
雅彦の後に来た医者。
海老原
誠の父とタラ漁の船団を組む島の漁師の一人。三十代後半で独身。
小西
天文マニアの観光客。
Posted by ブクログ
不登校の少年が前を向くまでの話。
全体としていい話だけど、細かく違和感が。
親が医者とはいえ中学生が、意識のない人をみて気道確保できる時点ですごい。エピペンがわからないなんて、当たり前じゃない?医者じゃないだからエピペンを打たなかったからって有人は失敗はしてない。両親が間違ってるって言うのも変。有人が気道確保をして救命してることを、医者だからこそ褒めるべきでしょ。事後になぜ先生から労いの言葉がないの?クラスメイト達は自分のことは棚に上げて、随分意地悪。イジメってこんな感じで始まるのかな?ちょっとよくわからない。でも自分が動き出せない状況で、なんとか救おうとしている人に対して不快感って出るもの?理解できない。
叔父さんの論文を読んだ後の有人の反応もよくわからない。中2病?叔父さんが島の人々に不快感を覚えていたとしてもそれが叔父さんへの信頼を失うようなこと?自分が症例として載ってることに不快感はあるかもしれないけど、治療対象だったなんてってショックを受けるようなこと?よくわからない。こういうふうに考える癖があるから引きこもりになったのかな?
でもいい話でした。
島を過剰に評価する自分を自己欺瞞だなんて思わず、東京の叔母さん達とは考え方が違うって思えればいいのにね。難しいけど、他人の評価軸じゃなく、自分の評価軸で生きられるといいよね。
Posted by ブクログ
甘さや弱さから脱却するのって多分想像以上に難しい。人間ってよっぽどできた人間でないと逃げてしまうものだと思う(逃げが悪いかどうかは置いておいて)
そのなかで主人公がそこを乗り越えようとしたこと、それに周りが協力したことが本当にすごいと思う。多分これから先も彼は逃げるだろうし、嫌なことがあったら崩れると思う。人間の本質ってあんまりすぐには変わらないだろうし。でも、一度乗り越えた経験は味方をするんだろうって思う。
一つ気になったのは道下さんがどうしてあんなことを言ったのか。あまりにも一方的で理解できなかった。お礼だけを言おうと思ってたなかで、気に入らない発言があったからってああも態度を帰るものだろうか。言い分も一切わからなかった。そもそも何で主人公があの日のことで責められてるのかもあんまりしっくり来なかったし…