あらすじ
小学三年生の詩穂と紗江子は親友同士だったが、紗江子の母の再婚相手である義父と詩穂の母が失踪、駆け落ちと見られていた。その日から、紗江子の母の精神状態は普通ではなくなる。詩穂も父親からDVを受けるようになり、児童養護施設に入れられてしまう。その後、二人は地獄のような人生を送ることになるのだが、実は驚くべき真実が隠されていた。得体の知れない恐怖が襲う、著者最恐のホラー・ミステリー!
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Posted by ブクログ
歌野晶午さんのホラーミステリーということで読んでみた。
間宵己代子は20歳以上年下の夫夢之丞に駆け落ち不倫をされて以来、年中おかしな行動を取り始める…
•己代子の娘紗江子に近づく同級生、紗江子の娘和香子の友達たちが、間宵家と関わる中で混沌に巻き込まれていく。
•家中のものに間宵夢之丞と書いてあったり、駆け落ちした不倫相手の女である西崎早苗の顔写真に”WANTED”の文字をつけたビラをあちこちに貼り付けていたり、己代子の狂っぷり(常にお経を読み上げていたり…お隣さんに毎日怒鳴り込んだり、己代子異常性が脳内でリアルに想像できて恐ろしかった。
•夢之丞はかつて娘の同級生に目をつけ、娘を使って家におびき寄せ、ドラッグを使い性的行為を犯す鬼畜野郎。
•娘の紗江子も同様の行為をされていたが、友達を連れてくることで自分はその間逃げられるので、と絶望的な流れでの出来事。
•夢之丞の鬼畜を知った己代子は夫を許すことができず、夢之丞を殺してしまう。
•紗江子の同級生西崎詩穂も性被害者の1人で、母の西崎早苗は娘がおかしいことに気づき、間宵家へ乗り込むも、己代子によって殺されてしまう(西崎早苗と夢之丞は駆け落ちなど実際はしていなく、2人とも己代子により葬られていたのだ。
•己代子の数多の凶行は、夫に駆け落ちされ精神を病んでしまった妻を演じることで、夫の鬼畜が世間に知れ渡り、娘の紗江子に災難が降りかかるのを防ごうとしたのだ。
その結果途中で演じて行っていたはずの凶行を家でも行ってしまうほどに本当に狂ってしまい、そのまま亡くなり、己代子の魂は呪いとなってしまった…
ラストシーン(己代子の魂が自分の体に乗り移ったことを知った詩穂の息子が、呪いの連鎖を終わらせるためにボールペンで耳を刺し自殺を試みようとするシーンで終わる)が結構好きです。