あらすじ
大阪から横浜へ越してきた小学生の大貴は、マンションで同い年の真吾と出会う。性格は全く違う2人だったが惹かれあい、親友に。やがて高校生になった2人は、雑誌の読者モデルをきっかけに芸能活動をスタート。 同居も始めるが、真吾だけがスターダムを駆け上がっていくことで2人の仲は決裂してしまい……。ステージという世界の魔法、幻想に魅入られた幼なじみの2人の青年の愛と孤独を鮮やかに描いた、作家・加藤シゲアキの原点となる青春小説。
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Posted by ブクログ
最初から最後まで一気に読んだ。
私はNEWSのカトシゲしか知らない。彼がこんな小説を書くなんて!!今まで読まずにいたことを後悔した。
りばちゃんとごっち。友情、信頼、執着、嫉妬…二人の間にあった激しい感情たち、それは確実に「愛」だろう。
素晴らしい小説に出会えたことに感謝!!
Posted by ブクログ
これを現役アイドルが書いたのは まずい。そのくらい凄い。まるで遺作のつもりかのような物凄い気迫。「これを書き上げて、まさか本気で死ぬつもりではないだろうな。」読後に著者が変わらずアイドルを続けていることを調べて安堵した。
“甘美で、絢爛で、絶望的に素晴らしい世界(芸能界)”に魅せられ溺れる人間の哀しさや慄然とするほどの享楽を、その至る結末を、ここまで描いて"しまった"作品は、少なくとも国内ではほかに並列するものがない。
処女作にして渾身の一撃とはまさにこの事。文章はやや荒削りかもしれないが、一読して、そんなことはもはや問題ではない。
「絶望的に素晴らしい」世界。人間としての葛藤や解離を凌駕するほどの抜け出せない美しさがその世界にはあるらしい。その絶望的世界で自己を持って生きることは相当に難しく、それでも魅せられてしまった彼らは麻薬的なその世界に求愛するため、求められた物語を飲み込んで魂を殺し神格者になろうとした。彼らが理解に至る美学の到達点を、甘美に描いてしまった。
フィクションではあれど著者自身の思考が大いに反映されている作品。著者にとってはアイドル最後の思い出作りのつもりだった作品であり、同時に自らに未だ闘志が燻っているか、燃やすことができるか自らの奮起を最後に試す、自らのために書いた『衝動』の作品であったと、そして執筆後に自身の性格に変化があった、と後に著者が語っている。そのこと、つまりは魂の全てを投じたであろうことは、その筆致から明らかである。
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あの加藤シゲアキさんのデビュー作だと知って即購入しました。舞台は芸能界、死が絡む少し重い話ですが作者が現役アイドルだからこそ書ける作品だと思い、読み終えたあとは満足感がありました。作品を構成する章の名前が、「ジンジャエール」「赤ワイン」など飲み物になっているのもオシャレだな〜と。
Posted by ブクログ
※読む前の方は、以下レビューは読まないことをおすすめします。
ネットでたまたま他の本を購入した際に、へぇアイドルさんが書いたの!しかも芸能界の話?!と興味をそそられ(と言っても、そのアイドルさんを、名前を言われても顔浮かばないレベルの知識なのですが。。さすがにグループ名は知ってます。)、同時購入してみた作品。実は結構前の作品だったのね。
そして、そんな前情報があった影響も多少あるのかもしれないけど、なんか良い方に裏切られた、というのが正直な感想!!
通常、小説は号泣本にしか☆5は付けないんだけど。
この本は、号泣するようなドラマはない(と私は思う)のだけど、なんというか、独特の空気感と構成・結末等の斬新さがあったなと個人的には感じて、ちょっと感心?し過ぎて☆五つ。
まず、まさかのイキナリ自殺来るとは思わないし、カリンのキャラよ!!だし、お姉ちゃんの裏話とか最後の視点の入れ替わり(というか混ざり合いというか。)も、死の示唆も、ホントどういうこと!!!という感じで、でも、流れる思想というか空気感は終始一貫していて納得感あって。
感情とは別のところの、感覚?的なところで、面白かったです。
Posted by ブクログ
ラストが心残る良い終わり方でした。どこかよくあるストーリーとは感じましたが、主人公とごっちの心情が骨太に感じて、どんどん読みたくなる本でした。
Posted by ブクログ
オルタネートから読めてなかった加藤さんのデビュー作。
2人の仲の良かった少年が芸能界という世界に入ったことで、すれ違ってゆく切ないストーリー。
演じることで知りえなかった、勘違いしていたごっちの心情に直面していく…。
お互いを思いつつも、別の世界に行ってしまうと価値観が変わったり見えなくなるものがあるし、ひとつの選択で変わってしまう未来があると思うとゾッとした。
前半はゆったりとしてて後半につれ面白いと思ったので★4!!
勝手にラストシーンは遊園地のようなキラキラした世界が見えました。
Posted by ブクログ
加藤シゲアキが書いたという理由で手に取った。どんなもんなのか読んでみたかっただけだった。面白かった。でもモヤモヤが残った。後半にショックを受けてからは流れが早くてすぐに読み終えてしまった。説得力があった。幼い頃から芸能界、しかもジャニーズであった人が書いたもの。芸能界ってそんな感じなんだなって。なんであの人は自分で死を選ぶのかなって思っていたけど、理由はこういうことも一つにあるのかなと思えた。姉のことも最後のりばちゃんが演じていた映画もわからない。よくわからないまま終わった。スッキリ!ハッピーエンド!ではなくモヤモヤ終わったけど、楽しめた。
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アイドルが作った小説ってどんな?って感じで読んだら、普通に小説だし、普通に面白かった。デビュー作でこんな文章を描ける加藤シゲアキさんの才能にビックリでした!
Posted by ブクログ
最近気になっている加藤シゲアキさん。
デビュー作を手に取った。
幼なじみの大貴と真吾。2人はスカウトされたことがきっかけで芸能界に足を踏み入れる。しかし、真吾だけが売れていき、2人の間には溝ができる。
現在と過去が交互に語られる。
子ども時代や青春時代の無邪気な描写もあるのに、終始不穏さが漂っていた。
売れた真吾の気持ちも、売れなかった大貴の気持ちも共感できるが故に、2人の間に溝ができていくのは切なかった。
芸能界についての描写はリアリティがあり、芸能活動をされている加藤シゲアキさんだからこその作品だなぁと感じた。
そして、中盤のあるシーンからの衝撃のラスト。
途中で出てきた、あるエピソードが頭をよぎる。
彼の望みは叶ったのだろうか。
✎︎____________
私は私の色を受け入れるしかないのよ。そしてその色をしっかりと見せるの。これが私の色なのよって(p.120)
やらないなんてないから。(p.135)
嬉しかった思いは絶対にある。なのに、あとから身体の奥の一ヶ所が潰されそうになった。(p.135)
魅力的になろうとすればするほどそういうものは損なわれていくのかもしれない(p.190)
僕を作っているのは僕だけじゃないからさ(p.191)
やれることの全てをなるべくやりなさい。やりたいことじゃないよ、やれること。(p.261)
世界はときどき一時停止をしてくれる。
でも芸能界は違う。再生か、停止か、それしかない。(p.274)
Posted by ブクログ
作者の職業が芸能関係であるだけあって、細かい心理描写がなんだかリアルで面白かった。
映画も見たことあったが、地の文がある点で小説の方が良いと感じた。
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青春的小説と思いながら読み始めた。が、
その中には成功と挫折 沢山の感情が入り混じり二人の感情が一人のものになっていく。青春というだけではない人間そのもののリアリティを感じられた。
生きること そうでないことの選択って何だろうなぁ どちらを美化するのも難しいしわからない。読後感がほんとにピンクとグレーな感じになった。
Posted by ブクログ
面白かった。
様々な側面から描写された、有名税とでも言うような、一般人では気づきにくい生きにくさ。作者の経験もあってか"リアリティ"があり、非常に納得させられながら読んだ。(もちろん、インタビューにあるように相当に悪い方に盛って表現しているのだろうが)
重たい話だから当然と言えば当然なのだが、それでも異様と思えるくらいに胃もたれがしたなという感想。どんよりとした読後感で、それがとにかく後に引いた。
序盤、せっかく時間軸ごとの細かい章立てにしていたのに、さらにフラッシュバックを挟み込んで時系列を崩す構成になっていたのはちょっと嫌気が差していたが、読ませる文章のおかげか自然と気にならなくなっていた。主人公を通して見える人間関係の拗れの描写が絶妙。
芸能人、とりわけアイドルが書いたと話題になる小説には大抵ガッカリしてしまうのだけど、この作者はしっかりと作品を味わえると、個人的に思っている。処女作からここまで良作とは。
Posted by ブクログ
時系列が前後する内容ですが、
ある一定の疾走感を持って心地よく読ませていただきました。
芸能界の裏側。リアリティを感じられる変化や動き、複雑単純な世界線。
自分にとってのアイデンティティとは何か。
いざ立ち止まり振り返ってみると、今、手元には何が残っているのか。
個々の思いの奥底に触れた瞬間、胸がぎゅっとなります。
Posted by ブクログ
芸能界の、妖しさを纏った光に呑み込まれた彼ら。転げ堕ちていく事は選べず、自分をある意味で「伝説」として人々の記憶の中に留めようとした、主人公ふたり。
なんで選んだのがそんな最期だったのか、その思いをトレースしていった追体験の表現が凄すぎて、加藤さんのこの作品に対する本気が伺えた。
Posted by ブクログ
(旧)ジャニーズ好きのわたしとして、なんで読んでなかったんだー!って後悔するくらい、魅力的な作品。
シゲちゃんの彫刻的な美しい顔から、この文が書かれていると思うと更にすごいなぁーと…語彙力ないけど感じた…
時折出てくる倒置法的な文の構成で、ん?と読み返すことはあったけど、すらすら読めたし、ごっちとの再開の後の急展開はショックでしばらく時間が止まった感じがした…ハッピーエンドに向かうのかと思ったのに…
後半、りばちゃんを通しての、ごっち目線も斬新な構成だったし、答え合わせじゃないけど、お互いの心情がわかり、どんどん話に引き込まれる。
他のも読んでみたい。
んでNEWSのライブも行きたい!
Posted by ブクログ
前半の幼少期~高校くらいまでが長く、読むのにだいぶ時間がかかってしまった。だが、そこの部分がしっかり描かれているからこそ、主人公に対する解像度が高くなりどんどん物語にのめり込んだ。率直に面白かった。
舞台に魅せられたごっちのお姉さんも、ごっちも、主人公も、後を追うように自ら命を絶つところにゾワッとした。(主人公が命を絶ったという直接的な描写はないけれど、最後の数ページで主人公の死を感じた。)
Posted by ブクログ
全体的に読みやすい。
アイドルとして生きていた彼だからこそ書ける物語だった。そこには彼自身のパトスがあった。
後半は正直驚いた。時系列崩し系文章構成によって騙されていたので、本筋の誘導に上手く乗ることが出来た。
Posted by ブクログ
261ページ
1238円
12月9日〜12月13日
りばちゃんこと河田大貴は、越してきた団地で、ごっちこと鈴木真吾と出会った。二人は小中高大学と共に過ごす。高校生の時に出会った芸能界の仕事で成功していくごっちと、バーターでしか仕事がもらえないりばちゃん。二人の心の距離は次第に離れ、20歳で決別。25歳の同窓会で再会する。再会した翌日、自らの命を断ったごっち。そのごっちの人生を綴った一冊。
ジャニーズの加藤シゲアキが書いた本ということで、どうしても先入観があった。芸能人が書いた本だから売れたのではないかという。でもそうでなかった。言葉の使い方や、情景描写などがわかりやすく、章立てもうまくてとても読みやすかった。最後、ごっちが死んで、その後、りばちゃんがごっちの人生を演じることになり、この本の仕掛けがわかり、感心する。
Posted by ブクログ
加藤シゲアキさんのデビュー作。これまで芸能人の著書は何となく食指が動かず読まず嫌いをしていたのですが、思った以上に鬼気迫る良作だったと思います。
文章表現も巧みで、何度も読み返したい文や心に引っかかる言葉が多くありました。
題材も、長く芸能界に身を置いている彼だからこそ説得力が増すように思います。
『ドキュメンタリー番組は勝手に「白木蓮吾の悲しみ」をでっち上げて、巧く編集し、視聴者はそれで彼の苦しみをわかったように思う。いくら僕が真実を語ろうと、僕の言葉はいいように素材として扱われる。結局意図しない形でそれらが使われるのは散々だった。それでも視聴者や彼のファンが彼について知りたいなら、僕は語るのではなく、書くべきなのかも知れない。』
演技も歌もバラエティも出来る加藤さんが、作家という道を志したのは、こういう思いが少なからずあったのだろうなと考えてしまいました。
読んでいる最中、ごっちについてを書かれすぎて、彼の魅力が半減しているように感じてしまったのですが、最後まで読んで納得しました。これはふたりの親友の物語である以上に、ふたりがひとつになる物語だったのですね。吉田拓郎の流星の如く、幼い頃にりばちゃんがごっちに対して感じた焦がれるような思いが成就したんだなと、神妙な気持ちになりました。
Posted by ブクログ
著者だからこそ描ける、芸能界の華やかさと危うさ。本当に特殊な世界なんだなぁ、と感じた。
二人のすれ違いの描写が大変繊細に描かれており、かつ最後のシーンは衝撃を受けました。
Posted by ブクログ
ごっちが本当はどう思ってこんな行動をとったのか、どんな気持ちを抱えながら生きていたのかなんて分からないけど、残された者、託された者は断片をつなぎ合わせてその人を作り上げていくしかないんだよなぁ。そうやって理解しようとしなきゃ上手く生きられないのかもしれない。
Posted by ブクログ
「ピンクとグレーはBLモノだ」と言われて(そんなことはなかったです!!)嫌悪感を抱いていましたが、チュベローズを読んで「シゲの他の本読んでみよう」と思ったのでこの本を手に取りました。
最初は現在、過去、現在…という構成がとても読みにくくて面白くなかったんですが、ごっちが俳優として売れ始めてからははまって読みました。
新居探しで二人が揉める描写はすれ違っている様子がとても伝わってきました。
映画でりばちゃんがごっちの役をやる、撮影するところの書き方は「この物語をりばちゃんがごっちに同化していきながら撮影してます」というのもそうですが、私は「この映画を映画館で観ている」という感覚で読みました。最後はちょっと泣いてしまいました。
実際に映画化されているので、映画の方も見てみたくなりました。
Posted by ブクログ
十章以前と以後で文体が少し変化があるのが良かったです。たぶん、りばちゃんの内面がぐちゃっと露呈していくのが、前半の所謂『綺麗な文章』から崩れて見えたせいなのかな? 意外にも読みやすかったけど、十章以後はかなり駆け足。もう少しじっくりりばちゃんが狂うところが見たかったな。 青春小説もアイドルの書く文章も苦手意識強くて避けてたけど、『芸能界』を絡めたストーリーは僅かながらもリアリティがあって良かった。
Posted by ブクログ
幼い頃から仲の良かった友達2人の話。
2人が売れっ子芸能人と芸能活動はしてるものの日の当たらない一般人となり、そこに生まれるお互いの葛藤や想いが描かれている。
最後のごっちとりばちゃんの2人が重なり合う芝居のところは、もはやどっちの立場で読めばいいのかわからないくらいの描写で引き込まれました。
Posted by ブクログ
ごっちが自殺するまでが長い。退屈。そこまでおおよそ半分。そこから後はスムーズ。チュベローズのような滑らかさ。
芸能界に埋もれて、そこで生き抜くしかない、やらないはない、歪まない自分と歪ませた自分、憧れた世界と平凡だった世界への憧れ、どちらの世界にも捨てられないもの、どっちつかずは出来なくてすごくもがき苦しんでる様が芸能界にいる彼だからこそ描けた世界観なのかなと思った。
Posted by ブクログ
前半は読みにくさを感じたけど
後半のどんでん返しで
どっち目線で描かれてるのか、
どっちともとれるような展開や描写がワクワクして素敵だった
映画は中島裕翔 目当てで観たけど、
原作と違いすぎててあんまり…
裕翔くんのイケメンが発揮されてただけだったのでちょっと残念
Posted by ブクログ
デビュー作。私の中では、小説家:加藤シゲアキ!
なかなか凝った複雑なプロットと、エネルギーに満ちていた。
文庫化に際し、わかりやすい文章に改稿した(あとがきより) そうだが、会話の主を時々確かめたり、遠回しな描写がちょっとキザ(笑)
著者自身も『片肘を張っていた』と回顧されていた。
【以下、ネタバレ】
幼馴染のごっち、りばちゃん、サリー。芸能界で変わってしまった色。元の色彩は飲み込まれ戻らない。
どうしても、三浦春馬を重ねてしまった(T-T)
りばちゃんは、ごっちを演じることで彼の内部に近づけた。でも飲み込まれず大貴として戻ってきたと信じたい!