あらすじ
高齢男性の運転する軽トラックがコンビニに突っ込み、店員を轢き殺す大事故が発生。
アクセルとブレーキを踏み違えたという加害者の老人は認知症を疑われている。
事故を取材するライターの俊藤律は、加害者が住んでいた奇妙な風習の残る村・埜ヶ谷村を訪ねるが……。
「この村はおかしい。皆で何かを隠している」。
関係者や村の過去を探る取材の末に、律は衝撃の真相に辿り着く――。
横溝賞出身作家が放つ迫真の社会派ミステリ!
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Posted by ブクログ
良かった、と言うのが読後の正直な感想。
最初、気味の悪い村、変な因習がある村で、何かのしきたりに則って人を轢き殺してしまったのかと思ったが、そうではなくて、村のみんなが、それぞれ支え合って苦しみを分かちあった結果起きた事件だったんだなと理解した。
みんな、優しくていい人。被害者家族以外は。
本当に良かった。
完全なハッピーではないものの、考えうる限りでは最上のエンドだと思った。
Posted by ブクログ
Audibleにて。
コンビニに老人が運転する軽トラックが突っ込んで人が一人亡くなった。その事件を取材するために、福井に訪れることになったフリーのライターが主人公。当人は昔、徹底した取材で政治家の児童虐待をスクープしたことがあり、そのスクープが政治家を自殺に追い込んでしまったという過去を引きずっている。そんな中、件の取材を進めるため、加害者が住む村に訪れたとき、村全体がなにかを隠していることを漠然と感じる。土地固有の風習が色濃く残り、非常に閉鎖的な村文化もあいまって、主人公は再度徹底的な取材を始める。
事実が明らかになったとき、主人公は過去のスクープを振り返り、自身の身の振り方に苦悩する。真実を明らかにすべきというライターとしての矜持と、真実を明らかにすることによって引き起こされる不幸との間でせめぎ合い、まさに震える天秤と化す。
このときの主人公の選択は、私個人としては納得のいくものではなかった。しかし、それは過去の経験あればこそなんだろうと感じた。
一方で、この書籍ではライターという立場で描かれていたが、もし裁判官だったら?警察官だったら?被害者遺族だったら?それぞれに異なる天秤があり、異なる結論になることは想像に固くない。それらもふまえて考えるか、あくまでも自分個人の意志に従うか。。。このような正解のない問いに対し決断し責任を取ることが、人間の役割の中で占める割合が高まっていくことは想像に難くない。
Posted by ブクログ
どんどん読みたくなる。ストーリー展開が知りたくて仕方なくなる1冊でした。
最後の終わりはかなり好みが分かれますね。
もやもやしますが、それもまた人間の複雑な心なんですね。
Posted by ブクログ
認知症の高齢者が引き起こした事故だと思いきや、そこには憎悪のかたまりが起こした殺人事件だったという話
村人達数人が共謀して一人の余所者の殺害計画を企てる
東京から来た一人の新聞記事がその真相を暴いていくのだが、その憎悪の根拠に少し無理があると感じ、最後まで読んだが、非現実過ぎて残念だった
高齢者ドライバーの事故は後を経たないが、これを犯罪の道具に仕立てる発想は稀有である