あらすじ
「享徳の乱」「応仁・文明の乱」など戦国時代の扉を開いたとされる大乱をはじめ、室町時代には、将軍家・鎌倉公方家・関東管領家の抗争や、守護家内部での家督争い、「下克上」の象徴ともいえる守護代層による権力掌握など、数々の紛争がいたるところで勃発していた。
絶対的権力の不在による混沌を背景にした衝突と和睦の連続は、室町という時代を、実に複雑怪奇に彩ると同時に、ダイナミズムに溢れたものとしているのである。
本書は、この混乱に満ちた時代の中で、権力者たちがいかに繁栄、あるいは没落していったか、そしてのちの戦国の世がどう形成されていくことになったのかを、豊富な概念図や系図をまじえて解説する一冊。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
平安や鎌倉の時代に溜まった中世の矛盾が噴き出して室町時代は大混乱します。読めば対局観無く、場当たり的に権力を握る連中がわんさか現れます。この時代の混乱は現代にも生きていると思われます。自民党の一党支配、もしくはアメリカ支配が弱まるなかで新しい政治の模索はこの時代と同様の混乱を生むと思われます。
今はアメリカ、中国、ロシア等が日本に外圧をかけている分状況はなお悪いかも。日本の建て直しにのんびりと戦国時代をしている暇はありません。
Posted by ブクログ
室町時代から戦国時代へ至る争乱は、
応仁・文明の乱だけではない。
将軍家・鎌倉公方家の内訌を発端にした関東での享徳の乱。
応仁・文明の乱以降の明応の政変や将軍家・守護家などの
紛争があった。更に、家督や守護職を巡る内訌、
守護と守護代との抗争などでの、権力者たちの明暗を
解き明かしてゆく。
・はじめに
第一部 将軍家・鎌倉公方の内訌
第二部 守護家の勢力争いと、その明暗
第三部 下剋上のはじまり、台頭する守護代
・おわりに
執筆者紹介、主要参考文献、人名索引有り。
当事者は、将軍家・鎌倉公方家、幕政運営の守護や奉公人、
奉公衆、守護代や国人など。
原因は、家督相続や権力の維持に拡大、下克上など。
親子も兄弟も一族も家内も諍いだらけで、守護も守護代も
協力、裏切り、暗殺、没落と、戦乱はぐちゃぐちゃの泥沼化。
土一揆や徳政一揆、一向一揆の影響も。
混乱が生じる権力者は、足利将軍家の義政と義視。
古河公方と関東管領。上杉四家。斯波氏。
畠山義就と政長。富樫氏。六角氏と京極氏。
赤松氏と山名氏。細川政元の暗殺と京兆家。
守護代で台頭するのは多賀氏と浦上氏。(寛正の土一揆鎮圧)
戦国大名の先駆け、朝倉氏。尼子氏の下克上。
そして伊勢盛時(北条早雲)の真実。
新史料や研究が含まれているうえに、
家ごとの室町時代での変遷が分かり、面白かったです。
如何に混乱の時代を生き抜くか、滅亡するかは綱渡り。
織田、浅野、有馬、毛利、松平などの名前が登場してくると、
戦国時代への橋渡しのようにも感じられました。
また、近年の研究成果に基づく伊勢盛時が描かれる
ゆうきまさみの「新九郎 奔る!」も読んでみたくなりました。