あらすじ
いつかは欲しい、でもいつなのかわからない……夫婦生活に満足していた知佳。しかし妹の出産を機に、夫に変化が――「1DKとメロンパン」。毎日を懸命に生きる全ての人へ、手を差し伸べてくれる5つの物語
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Posted by ブクログ
子ども、不妊治療、夫婦…
自分の人生におけるタイムリーのテーマを、ここまでリアルに描くか!!というくらい描いている本作。
窪先生は性や命を隠すことになく、真正面から命懸けで描いている…だから毎回目が離せない。とてつもなく好きな作家さんだ。
『1LDKとメロンパン』
姪が生まれたことで、自分たちにも子どもがほしいと感じ始めた夫。それでも子どもがほしいと思えない私。そんな率直な意見を伝えたときの夫の返事に胸が熱くなった…
『無花果のレジデンス』
結婚して2年。子どもができない夫婦は妊活を始めることに…それでも妊娠できないために、不妊治療専門クリニックで検査してもらうと夫の体が妊娠を妨げている可能性が高いとの診断が出る。果たして夫婦の出す結論は…
『私は子どもが大嫌い』
主人公女性は住んでいるアパートの同じ階で、深夜子どもが一人でいるのを発見する。そんな子どもと自分を重ねる女性の葛藤がリアルに描写された話。
『ほおづきを鳴らす』
幼くして亡くなった娘と公園に現れる奇妙な女性に、面影を重ねる男性。男性はそんな彼女に不思議な感情を抱いていく…
『金木犀のベランダ』
パン屋を営む夫婦。子どもを望む夫と、子供を望まない妻。そんな妻に夫は自然妊娠したら、子どもを育てたいと提案し避妊を止めるが、5年経っても子どもはできなかった。そして夫は養子がほしいと妻に新たな提案をする。
登場人物たちの妬みや痛み、辛さ、後悔…
生きている中で感じるマイナス感情が、ひっきりなしにドバッと自分に全て流れてくる。
そしてそれが痛いほど、自分と重なる。
辛くて辛くて、何度も読むのを止めたくなる。
いつも死ぬほど辛い読書を、いつも窪先生はくれる。
でも必ず最後には光もあって、
それを知りたくていつも読んでしまう。
これからも先生の作品を自身の修行だと思って、
がんばって読んでいきたいと思う!
いつもいつも私を強くしてくれる窪美澄という作家に、これからも必死にしがみついていきたい。
Posted by ブクログ
無花果のレジデンスが印象に残った。解説の中で、励ましや転機となる言葉をくれるのが血がつながらない人である、との言葉があったが、この物語の中で主人公に声をかけてくれたすでに死んでしまった上司とその奥さんの温かい言葉が印象に残った。
Posted by ブクログ
息が詰まるような読後感。読んでいて、どこか共感できる部分が多く、でも読まずにいられない、そんな本。
自分自身が子どもは大嫌い、の状態で結婚した。でも相手は何人でも欲しい人だった。ひとり授かり、今となっては本当にいてくれてよかったと思っている。
子どものいる道を選んだら引き返せないこと。その通りで、でもいてくれたおかげで、思いがけない人生を歩んでいる。
この本の中のみんな、
子どもをほしい夫、ほしくない妻、不妊治療をして子どもを授かった妹、急かしてくる母
男性不妊が判明した夫、妊活休止を提案する妻
夫に先立たれた妻、上司を支えた部下
子どもが嫌いな女性、施設で育てられる子ども、施設で育つ子ども
そのすべてにパートナーとしっかり話すこと、って当たり前のように言われるけど、人生そこまで思う通りには進まなかった、というのが私。
思い通りでなくても、その人生を正解にしたい、なるように修正しながら生きているつもり。
この本を読んだ人は、多分『子どもを持つ』(私は持つ、という言い方は好みではないけど)ことを考えてる人には読んでほしいし、考えてほしいなと思う。
心がえぐられるような作品を書く窪美澄さん、すごいと思う。
Posted by ブクログ
どのお話も、子どもを産むことや、子どもっていいよね、いつか欲しいよねみたいな結論に向かわないのが本当によかった。
もっぱら自分の最近の悩みが、子ども欲しくないけど持たない人生を決断しきれてない、ということなので、子どもを持たない選択肢も肯定されたような気がして嬉しかった。
個人的には「無花果のレジデンス」が好きだったかなぁ。
妊活、大変なんだよね…めちゃめちゃわかる。
最終的にひと息ついて、2人の関係が良い方向に向かいそうな終わり方をしたのがよかった。救われた。
この後もしんどい時期がくると思うけど、旅でもしながらゆるりと妊活していってほしいなぁ。
そうそう、この本では養子という選択肢が提示されているのも素敵だと思った。
子どもができないけど欲しいという人にも道を残している気がして。
こういう小説、意外とけっこう需要あるんじゃないかな〜
私はとっても救われました。窪さん、ありがとう。
Posted by ブクログ
本屋さんで文庫に目が止まり、あらすじを読んで興味を引かれ購入。
心に残ったのは、私は子どもが大嫌い。嫌いと言いつつ、子どものことが、みくちゃんのことが気になってしまう主人公。
みくちゃん、どうなっちゃうのかな。先が気になるお話でした。
読んでて辛い…ってなったのは無花果のレジデンス。もし自分が原因の不妊だとしたら…と考えるとあまりにも辛かった。自分が積極的に子どもを欲しがっていた訳じゃないけれども、落ち込んでしまう主人公の姿に同情した。奥さんの立場からしたら休もうか?ってしか言えないけれども、主人公の立場に立つとその言葉は無くない??気を遣ってるつもり???って腹を立ててしまう不思議。〆で素直になった主人公を見れてよかった。