あらすじ
数年ごとに大流行して多くの人命を奪う天然痘。それに絶対確実な予防法が異国から伝わったと知った福井藩の町医・笠原良策は、私財をなげうち生命を賭して種痘の苗を福井に持ち込んだ。しかし天然痘の膿を身体に植え込むなどということに庶民は激しい恐怖心をいだき、藩医の妨害もあっていっこうに広まらなかった……。狂人とさげすまれながら天然痘と闘った一町医の感動の生涯。
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Posted by ブクログ
・あらすじ
江戸時代末期、福井藩で町医者をしていた笠原良策が天然痘撲滅のために生涯を賭けて奮闘する話。
・感想
人間の性質ってのはやっぱりそんなに変化しないものなんだなと思った。
未知に対する恐怖心は動物であるなら当然持っている生存に必要な能力ではあるので、それがいい方向に行く時もあればそうじゃない時もある。
己の立場や既得権益を守りたい権力争いなんかも「あるあるだなー」と思って読んでた。
私財を投げ打ち自分の全てを賭けて天然痘撲滅のために尽力した笠原先生はとても尊敬する。
でも11月に雪山を超えて福井に帰るくだりは、おそらく作中で1番過酷でドラマッチくな部分だろうとは思うんだけど、個人的には「あと3ヶ月くらいまって春になってから山越えでいいのでは…?付き合わされる家族も大変だし、これで死んじゃったら元も子もないような。4年待ったんだから3ヶ月くらい待ちなよ」と吹雪や苦難を乗り越え山越する良策に感動するよりも無謀さを不振に思ったりしてしまった。
随行家族は山越えせず街道で帰宅してたし…。
そんな数ヶ月も待てないほど一刻も早く福井藩に種痘を持ち帰りたかったんだろうけども。
致死性の未知の病気が蔓延した環境で、人間はどういう反応、行動を起こすのかってのは数年前から散々見聞きして実感したことでもある。
この辺りは江戸時代だろうが現代だろうがそんなに変わらないんだろうな、と思う。