あらすじ
※本書は、角川書店単行本『コープス・ハント』を加筆修正のうえ、文庫化した作品となります。重複購入にご注意ください。
「1件は俺の犯行じゃない。“思い出の場所”に真犯人の遺体を隠した。さあ、遺体捜しのはじまりだ」8人を殺害したとして死刑判決を受けた猟奇殺人鬼・浅沼聖悟の告白は世間を震撼させた。事件に疑問を抱く刑事の折笠望美は真相解明に乗り出す。一方、引きこもりの中学生・福本宗太は動画配信仲間から誘われ「遺体捜し」に出かけるが……。2つの物語が交わる時、驚愕の真実が浮かび上がる。予測不能のサスペンス・ミステリ。
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Posted by ブクログ
「1件は俺の犯行じゃない。"思い出の場所”に真犯人の遺体を隠した。さあ、遺体捜しのはじまりだ」8人を殺害したとして死刑判決を受けた猟奇殺人鬼・浅沼聖悟の告白は世間を震撼させた。事件に疑問を抱く刑事の折笠望美は真相解明に乗り出す。
一方、引きこもりの中学生・福本宗太は動画配信仲間から誘われ「遺体捜し」に出かけるが……。2つの物語が交わる時、驚愕の真実が浮かび上がる。予測不能のサスペンス・ミステリ。
【あらすじより引用】
ここからは感想。
とにかくテンポよく進むストーリー。ページを捲る手が止まらなくなる。基本は主人公の刑事・望美が事件を捜査するパートと宗太が遺体探しをするパートが繰り返されていくので「このピンチをどうやって切り抜けるの!?」「この後どうなるの!?」とハラハラドキドキ。
終盤にはある仕掛けがあったため「あー、そういう……」と唖然としてしまった。
それ以上に現代日本の世相の描き方がリアル過ぎて、「あったあった!こういう事件!」と思わず頷くことも。
読み終えた後に複雑な感情が澱になって沈んでいくが、この作品は読んでよかったと思う。
Posted by ブクログ
真犯人の遺体を探せという連続殺人犯の一連の事件について真犯人の目星がついているが色々あって休職させられている女刑事と、遺体探しをするユーチューバー少年たち、2つの話が同時に進められていく形式。
展開として真新しいものがあるかというとそうでもないのだが、読みやすくてさっくり読めるし、読んだ後にしっくりきた!で終われる良い作品でした。
Posted by ブクログ
8人の女性を殺害した連続殺人犯・浅沼聖悟が、1人だけ自分の犯行ではないと告白。彼が「思い出の場所」に埋めたという真犯人の遺体を探す少年たちの話と、女刑事・折笠望美による真相究明の話が、どう繋がっていくかが気になるポイントでした。
青春ロードムービーみたいな話と、真犯人関係者に襲われるスリリングなお話は、それぞれ引き込まれるところはありつつも、なかなか真相に近づかない展開に少々ヤキモキ。
しかし、少年たちが目的地で遺体を発見したとき「あれ?もしかして……」と思ったことが次の女刑事のパートでそのままの内容で明かされ、久々にしてやられたというか、作者の手のひらで転がされたようなサプライズ感がありました。
エンタメとして十二分に楽しませてもらいつつ、有害コンテンツに関する考察も盛り込まれており、その内容に共感するところがあったのも個人的に好ポイントでした。
Posted by ブクログ
ずっと気になってた初読みの作家さん。
先の展開が気になり、一気に読めました。
面白かった。
刑事の折笠視点と、中学生youtuberの宗太くん視点が入れ替わるように話が展開していきます。宗太くんの繊細な心理描写が上手。宗太くんパートは、途中まで青春小説みたいなんだけど終盤一気にホラーになったw
セイが聖悟なんだろうなというのはすぐ気がつくけど、それがどう終盤に収束していくのか分からなくて楽しめました。それにしてもセイが怖すぎ。嘘を吹き込んでから殺すの怖すぎる。
にしやんが死んじゃったのはかなりショック。花穂ちゃんが地獄から抜け出せたのは救いか。宗太くんに一番感情移入して読めたかな。
以下付箋貼ったところ。
なぜ正しい主張をする者の中に、世の多くの悪人と同じように罪を犯している人間がいるのか。聖職者が男児や女児に性的虐待を加え、児童ポルノの反対者が未成年を強姦し、人権派のジャーナリストやカメラマンが人権を蹂躙する。
幸せをことさらアピールする人間が実は不幸や寂しさを抱えていたりするように、犯している後ろめたい罪の発覚を恐れる人間ほど、類似行為を公然と批判していたりする。世の中の人々は、まさか不道徳な行為を否定している人間がそんな罪を犯しているとは夢にも思わないのだから。
自分が男社会で男たちに負けじと対抗心を燃やして働いていたからか、平凡な専業主婦を望む女性が存在するなどとは想像もしなかった。心のどこかに、今の時代の女性なら専業主婦を自ら望むはずがない、専業主婦に甘んじているのは日本が女性の社会進出に不寛容だからだ、という決めつけがなかったか。
無意識のうちに、一昔前の価値観を持っている女性を見下してしまっていた。女性の個々の価値観を認めていなかった。
あなたが何かを楽しむことに罪悪感を持つ必要はありません。人に後ろめたさを与えてくる人間は、世の中に多いです。女性であること、男性であること、過激な漫画やゲームや性的なコンテンツが好きであること。何でもそうですが、自分の属性や好きな物に後ろめたさを植えつけられそうになったら、その相手とは縁を切った方がいいです。真面目で誠実な人間ほど、思い詰めるものですから。
Posted by ブクログ
先に似たような叙述トリックものをよんでしまっていたせいかそれと比較して荒削りに感じてしまいました。
また、猫を弱らせていって…という話がネットに転がっている有名なサイコパス診断の内容そのままなのが気になってしまいました…。
物語自体はそこそこ面白く(特に女性刑事視点が)スラスラと読み進められたのですが最後の最後で毒親や漫画・アニメが犯罪に与える影響について説教臭い内容が長々と書かれていたのに少しげんなりしてしまいました。