あらすじ
十年前に日輪が消えた国、照日原。その辺境の郷の姫・かさねは狐神の花嫁に選ばれる。だが花嫁とは、日照不足で不作続きの郷を救うための贄を意味していた。知らずに狐に喰われかけたかさねは、金目の青年・イチに助けられる。見返りとして彼が要求してきたのは、日輪を司る日神に会うためにかさねの「力」を貸すことだった。
戻る場所のないかさねはしぶしぶ同行を決める。しかしイチこそが日輪が消える原因を作り、都から追放された皇子だと気づき――。
運命に抗うための旅が、今始まる。心揺さぶるファンタジー開幕。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
神とひとが交わる世。日輪が消えた国・照日原。
世界観が凄い!キャラクターも魅力的!
読み進めると止まらないストーリー。
これは映像化してほしい!
心が揺さぶられました。
好きな和風ファンタジー作品の一つになりました!!
Posted by ブクログ
かさねの、世間知らずだけど真っ直ぐな性質がとてもいい。
「かさねはとそなたがとてもすきになった」がほんと好き。幸せになっておくれよ。
Posted by ブクログ
荒ぶる神をどう鎮めるか。
花嫁と言いながら、実質は贄として人を食らう神に、かさねは手探りで、体当たりで「交渉」していく。
もう十年も姿を現さない日神にさえ。
他者さまの作品を出して恐縮だが、勾玉三部作好きならたまらなく好きな世界観だろうなと思いながら読んだ。
個人的には非常に懐かしい空気。
人間に対して容赦のない神に、ただの人の子にできることはしれている。
ただ、かさねはかつて日神に愛された日依り姫の血を引く者、息を吹きかければ花は芽吹き、舞い踊れば大地から春が溢れる力を持っていた。
それは、最後の最後で日神との交渉時にも役立つことになる。
最初はイチに守られてばかりだったかさね(イチの正体や隠されていた事実は正直思っていた以上でかなり驚かされた)
でも、最後は贄になるはずだったイチを救うまでに成長。
一人で旅もできるまでに。
相変わらず危なっかしいところはあるけれども。
でも、成長したのだ。
思い人を自分ひとりで探しにいけるほど。
紆余曲折を経て、日神の光を取り戻した世界。
そこで、かさねの手を取ってくれたのは。
光満ちる世界で始まる「二人の旅」の始まりに相応しい最後だったと思う。
途中、結構しんどい展開もあったので、最後が希望に満ちているのは本当にありがたい読後感だった。