あらすじ
栄転を目前にした検察官が最後に手がけた事件は、社内不倫の果ての殺人だった。故意なのか、それとも事故なのか。「検事さんにだけは本当のことを知ってもらいたい」と、恋の始まりから終わりまでをねっとり語る被告の言葉が、真面目な官吏のおだやかな毎日を少しずつむしばんでいく。思わず我が身を振り返る心理サスペンス長編。
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Posted by ブクログ
初めて手に取った作家さんの本。
読んでる途中これを女性作家さんが書いたのは凄いなと感心してしまったけど、読み終えて調べたら男性でした。
やはり、男性でないと書けないような内容だなと思います。
浮気、不倫、ストーカーをし、果てに殺人まで犯してしまった被疑者の男の供述と、それを聞く検事。
被疑者の男の身勝手な考え方、偏執的な語り口による自己正当化が不愉快だけど、引き込まれるものがありました。相手の女性はもっと取るべき態度があったようにも思いますが、被疑者目線だとこうなってしまうのかな。
検事は栄転を控え、受け持ったこの被疑者の話に多少なり自分の過去を重ね、そして感化されていきます。
男性には少なからずこういった感情があるものなのだろうか。
内容が内容だけに不快感や嫌悪感を感じる人も多いかもしれませんが、女性として心理状態が興味深かったです。
Posted by ブクログ
殺人犯の鳥越昇を取り調べている検事の荒城倫高.昇の自己撞着的な発言に何か共感を覚えて、しゃべらせるままにしている.倫高を取り巻く女性との関係が述べられているが、女性のお喋りのように結論がすっきりしないのがやや不満だ.
Posted by ブクログ
斬新なストーリー展開。読んでいてざわつくテーマだけど面白かった!
彼も彼女も甘いんだよ、と思うけど、その甘さ加減も一種のコミュニケーションだとは知ってる。でも本でも現実でも、やっぱ好きになれないですこういうの。
心の中の絶対に埋められない空白。
埋められないことがわかっていながら、埋めたいという衝動を常にかき立てるうつろな裂け目。
そういうものに気づいたとき、どう対処するのが正解なんだろうね。
と、ネタバレしない程度の感想を言いましたが、個人的に、すごく称賛したいところは、不倫相手となった女性のずるさをものすごく丁寧に書いてるところ!
そしてそのずるさは、不倫・浮気をした男性の言い分(言い訳ではない)を緻密に書くからこそ浮き彫りになるもので。
不義理をした人やそれに荷担した人、ついでにストーカーしそうになったことある人にぜひ読んでほしい。これを読んで、そういう人たちの気持ちがわかった気がした。わかっていいことではないかもしれないけど。
Posted by ブクログ
*栄転を目前にした検察官が最後に手がけた事件は、社内不倫の果ての殺人だった。故意なのか、それとも事故なのか。「検事さんにだけは本当のことを知ってもらいたい」と、恋の始まりから終わりまでをねっとり語る被告の言葉が、真面目な官吏のおだやかな毎日を少しずつむしばんでいく。思わず我が身を振り返る心理サスペンス長編*
可もなく、不可もなく。ストーカーってこうなのね、と淡々と読み進んだ感じ。題名は巧いと思った。
Posted by ブクログ
ストーカー男の独白と、それに影響されていく検事のお話が交互に出てきて、これが結構面白い。検事のイメージが読み始めと読み終わりだとだいぶ変わってしまった。すこーしずつ変わっていって、気づけばすっかり侵食されている感じ。でも、理路整然とした文章で、ストーカーの嫌らしさがあんまり出ないかなと思った。
Posted by ブクログ
人ってぽっかりと穴が空いてて、その穴の深さとか、どうやったら埋まるか、とか人それぞれよねー、って友達と話してたことがある。ショッピングで80%埋まる人もいれば、30%くらいしか埋まらない人もいる。
そういうのがこの検察官と鳥越の共有できる部分だったのかなぁ。
分かるようで分からない、現実的なようで、非現実な感じがする。