あらすじ
築地の橋下で発見された若い女性の変死体。依頼人によると犯行現場は築地ではなく、西銀座の路地だという。事件の謎が俄然金田一の闘志を掻き立てる。金田一耕助の謎めいた日常生活も描く異色作!
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Posted by ブクログ
『扉の影の女』と『鏡が浦の殺人』の中編2篇が収録されている。
『扉の影の女』は金田一耕助と容疑者候補の人々、そして等々力警部が互いに騙し合いながら話が進んでいく。しかし、犯人は最後の方に出てきた奴だったのがビックリ!ただ、犯人が誰かということよりも犯人に至るまでの経緯は読み応えがあるので、全体的に満足いく出来となっている。ハウダニットを中心に据えたミステリと言っていいだろう。
『鏡が浦の殺人』は夏の終わりに起きた毒殺事件をめぐる物語。こちらは犯人は誰かに焦点が当てられたミステリであり、トリックは中盤で明らかになるように書かれている。夏の終わりを惜しむ儚さも感じられる一作である。
さて、本書は横溝正史生誕120周年&没後40周年を記念して俗に言う緑字(背表紙の文字が緑色だったもの)シリーズで復刊されたものの一作であり、末尾に必ず編集部から「現在の人権感覚と照らし合わすと不適切な言葉がある」と記されている。
無論、これらの言葉は人権差別を助長するものではない。大事なのは、それらの言葉が現在の人権感覚で使うことが許されていない言葉でいることを読者である我々が受け止めることだと思う。
Posted by ブクログ
金田一耕助シリーズも、これでコンプリート。
あとはジュブナイル作品のみ。という時点での一冊。
まさか角川文庫で復刊するとは!
扉の影の女
金田一耕助のこの時点のおおよその年齢、食生活、探偵としてのやる気が起こる時、虚無感に襲われる時それはどんな時か。お金の使い方、など人物像にせまる記述も多い。
結末もいい終わり方をしているし、最後に犯人がどう捕まったかも、しっかり書かれているのでそこもスッキリ。
鏡ヶ浦殺人
海辺のシリーズ(パラソルで隠れて…とか砂に埋もれたときに…とか)みたいのかと思ったら、そうではなかった。ゴムマリのトリックは他で読んだのですぐわかった。
こちらは…ひどいやつが結構いた。それと誰が誰とどんな関係だったのか何度かわからなくなって読み返した。
でも世界観は良かった。