あらすじ
一年は四季で分けられ、四季はさらに二十四節気に分けられます。身近なところでは立春や立夏。ひとつの季節をこまかく区切ることで、日本人は季節の移り変わりを敏感に感じ取ってきました。
そんな二十四節気に合わせ、各季節に咲く花の写真で綴る本書。季節の案内人として、歌人・俵万智さんを迎えました。各節気のはじまりを飾る短歌とエッセイは、なにげない日常の花の話や、私もそう、と共感できることが綴られています。折々の代表花をはじめ、花店や街で目にする、季節を映す花の写真は約300点を収録。また、SNSなどで使いたい美しい季節のことばを216点集めました。
ほかにも、花のいわれ、その季節の風習など、花にまつわる読み物もふんだんに。各季節の代表的な花の扱い方についても丁寧に紹介しています。
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Posted by ブクログ
オムニバスの花と短歌のコラボですね。
短歌は俵万智さんが、四季と二十四節季に合わせて掲載されて、エッセイも書かれています。
花は、『花時間』1991年創刊の花の楽しみ方を提案する女性誌の三十年の歴史を駆使して、二十四節季に合わせたアレンジで紹介されています。
もちろん、二十四節季の意味や、風物詩も紹介されていて盛りだくさんの本です。
特に、花の種類が凄いですね。それぞれの名前から、飾る工夫やアレンジ方法なども記載されていて、一年中楽しめるすぐれものの本ですね。
読むと欲しくなります(=^ェ^=)
で、短歌です。
春
ふうわりと並んで歩く春の道
誰からも見られたいような午後
咲きそうな花が黄色くふくらんで
今朝のやさしき会話のひとつ
春の野にふと舞いおりる朝のため
羽を休めているスイートピー
チューリップ葉っぱ広げて大空に
向かってバンザイしている朝だ
散るという飛翔のかたち花びらは
ふと微笑んで枝を離れる
ガーベラの首を両手で持ちあげて
おまえ一番好きなのは誰
あの赤い花がつつじでこの白い花も
つつじと呼べる不思議さ
夏
思い出の一つのようで
そのままにしておく
麦わら帽子のへこみ
むらさきが好きだったこと思い出す
少女ジダンの夢、ライラック
洗いたての心に一つ咲きそうな
バラのつぼみを感じる朝(あした)
しばらくは白くなりたき心あり
ユリの考えごとにつきあう
思いきり愛されたくて駆けてゆく
六月、サンダル、あじさいの花
テーブルの上に集える向日葵は
人の気配に無口になりぬ
子育ては子ども時代をもう一度
味わうものと思う朝顔
秋
我という銀杏やまとに散りぬるを
別れたびらはからくるエア・メール
台風が誰にも等しく迫る夜
めくり忘れた暦に気づく
この夜によきことあれりんどうは
青むらさきの種火をともす
サヨナラの形にススキが手を振って
駆け抜けてゆく風の輪唱
やさしいね陽のむらさきに透けて咲く
去年の秋を知らぬコスモス
秋の陽に淡く満たされ野菊らは
自分探しの旅を思わず
インスタのダリアが騒ぐ幾つもの
「いいね」の中に君を見つけて
冬
「寒いね」と話かければ
「寒いね」と答える人のいる
あたたかさ
この冬はともに眺める人ありて
少し大きめのシクラメン買う
木枯らしを背負って電話をかけてくる
ぬくもりのある言葉を探す
冬の朝十年前の息子から
「ありがとう!」の缶詰届く
保護色と思う心の色である
ポインセチアの赤を着て会う
水仙のうつむき加減やさしくて
ふるさふいに思う一月
大寒の朝のスプーンのひいやりと
みどりごが飲むりんごの果汁
とにかく、至れり尽くせりの本なので、楽しみかたは千差万別で、手元に置きたい一冊ですね(=^ェ^=)