あらすじ
鎌倉幕府を打ち立てた源頼朝が没すると、政治の実権を握ったのは北条一族だった。有力御家人を次々に排除し、揺るぎない権力を築き上げていく。義時の執権就任による地位の確立から、朝廷と兵刃を交えた承久の乱、泰時の御成敗式目制定と評定衆による合議制、時宗によるモンゴルとの交戦を経ながら、なぜ130年にわたって勢力を維持できたのか。敗れた御家人や朝廷の思惑にも注目しながら、執権北条氏の新たな像を提示する。
【目次】
プロローグ
第一章 梶原氏と比企氏
一 鎌倉殿頼朝死後の政局
二 梶原景時の失脚
三 比企氏の盛衰
第二章 北条時政と畠山重忠
一 時政と執権
二 元久二年の政変と牧方
第三章 北条義時と和田義盛
一 義時と「執権」制
二 和田合戦
第四章 北条義時と後鳥羽上皇
一 後鳥羽上皇と将軍実朝
二 承久合戦
第五章 北条泰時の政治
一 執権泰時の誕生
二 合議制の光と陰
第六章 北条時頼と三浦一族
一 寛元の政変
二 宝治の合戦
三 北条時頼の政治
第七章 北条時宗と安達泰盛
一 時宗政権とモンゴルの襲来
二 安達氏と鎌倉幕府
第八章 北条貞時と安達氏
一 貞時の政治
二 執権から得宗へ
第九章 北条高時と足利氏・新田氏
一 北条高時と後醍醐天皇
二 足利氏と鎌倉幕府
三 足利高氏と鎌倉幕政
四 新田氏と鎌倉幕府
補論 幕府と官僚
一 大江氏
二 三善氏
三 二階堂氏
エピローグ
あとがき
主な参考文献
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
大幅な加筆・修正を加えて文庫化されたもの。北条氏とその対抗勢力を軸に、鎌倉幕府滅亡までの130年を追う内容。政争の中で没落していった側の叙述に力点が置かれ、それを通して鎌倉幕府の変遷が浮き彫りになる内容が面白い。
Posted by ブクログ
鎌倉殿の13人を見て、その後北条氏と鎌倉幕府はどうなったのか?と気になって読んでみた。
ちょうど同時並行で吾妻鏡を読んでいたこともあって、前半は「鎌倉殿で見たところだ!」「吾妻鏡で読んだところだ!」とイメージが湧きやすくておもしろかった。
本書は緻密な史料をもとに歴史や登場人物の動きが綴られていく。正直登場人物が多すぎて混乱を禁じ得ない。
大河ドラマの中では北条に従い幕政に参画していた一族も、時と共に族滅していく、、、そして最終的に北条氏が幕府と共に滅びる。
多くの一族が消えていく中でも苗字を変えて戦国時代、江戸時代まで続いた一族もあり、今度はこっちの詳細が気になる。
ちなみに島津家が頼朝の時代から現代に至るまで途切れることなく続いていることに一番驚いた。
Posted by ブクログ
岡田清一先生の著書で通史(´・ω・`)
時代の事件は網羅されているが
時政は執権じゃなかった
義時は実朝親政時は疎んじられていた
時房って結構実力者
など、少し違う風景が思い浮かんだ
Posted by ブクログ
次の大河ドラマの影響で、2021年後半から北条氏関係の本がだいぶ刊行されてきている。本書も元版は2001年だか、加筆・修正され文庫化されたものである。
内容としては、鎌倉殿頼朝の死から、いかにして北条氏が幕府の実権を握ることになったのかを、有力御家人を次々に排斥していく過程をたどりながら描いていく。
この時代は、兄弟と言っても同母、異母があって関係が複雑だし、分割相続制で同じ一族の中でも利害が同じではないし、また幾重にも重なる血族・姻族関係や乳人関係があるから、人物の相関関係を追うだけでも一苦労だ。
有力な御家人一族が滅ぼされていくのが、北条氏主流の権力欲に由来するのか、周りも同調したのは執権職の権威、重みがあるからなのか、敗れたのは先手を取られてしまったためなのか、武力的に弱かったからなのか、本書全体を通読してもその辺りのことが良く分からず、やや消化不良の感がする。
もっとも、官僚系御家人、大江氏、三善氏、二階堂氏などは取り上げられることが少ないので、勉強になった。