あらすじ
霊が視える少女ヴィクトリアは、平和を司る〈アウレスタ神殿〉の聖女のひとり。しかし能力を疑われ、追放を言い渡される。そんな彼女の前に現れたのは、辺境の騎士アドラス。「俺が“皇子ではない”ことを君の力で証明してほしい」この奇妙な依頼から、ヴィクトリアはアドラスと共に彼の故郷へ向かい、出生の秘密を調べ始めるが、それは陰謀の絡む帝位継承争いの幕開けだった。皇帝妃が遺した手紙、20年前に殺された皇子――王宮の謎を聖女が解き明かすファンタジー!
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Posted by ブクログ
パズルを解いている感じで読める小説です。
辺境の騎士アドラスから自分が皇帝の実子ではないことを証明して欲しい(?)という依頼を受けたアウレスタ神殿の聖女のひとりであるヴィクトリア。
ヴィクトリアの聖女としての能力は、霊的なものが視え、話ができると言うこと。しかしながら霊を呼ぶことができるわけではなく、亡くなっているのにこの世を去ることができない霊とは大抵まともな話ができない。除霊ができるわけでもない。余り役立たない能力である。そのため、聖女の資格を剥奪されようとしているばかりか、そんな無能な身分で聖女に選ばれたのは不正があったからだと教会から追放処分をうけ軟禁状態なのである。ともかくも両者の利害が一致し、ヴィクトリアは教会を脱走しアドラスの住む辺境の国に向かう。
ハラハラドキドキの展開で一気読みで最後までいってしまうが、戦闘シーンも悪役の描写も淡々と描かれており、fantasyと言うより謎解き推理小説のおもむきな本である。敵役やライバルは登場するが、どうしようもないドロドロ性悪な悪役はでてこない。
ヴィクトリアの聖女としての能力は、やはりほとんど役立たず。謎解きの材料は包み隠さずでてくるので、読者もビィクトリアとイコールコンディションで推理ができる。自分でも推理しながら読むのが好きな人にはおすすめ。そうでない人でもなるほどね、というエンディングを読むことができる。
ちょっと変わったタイプの小説なのでシリーズ化があっても面白いだろう。忘却探偵シリーズ的なテイストがだせそう(世界観が随分違うが)。
「綺麗事と真実この世はこの世は救われない」とする主席聖女オルタナと、「偽りを塗り固めて至った先には、必ず綻びが生じる」とするヴィクトリアとの勝負の先が楽しみでもある。
Posted by ブクログ
とても読みやすく面白かったです。
聖女ヴィクトリアも 他の聖女たちから認められない存在
辺境の騎士アドラスも 周りからインチキくさく思われる存在
ヴィクトリアが謎を解き進んでいくと いろんなことが起こる。
最後には 昔王子を殺し損ねた呪術師ザザヤさんまで出てくる。
冒頭 イラストとメモで登場人物紹介していたが
あれは便利
これ誰だっけ? に役立ちます。
20年前に殺された王子の謎を解くファンタジー
この作家 春間タツキさん 他にもっとこんな小説書いてないかしら?
と探したくなります。
Posted by ブクログ
次々巻き起こる謎をスパッと解決みたいな感じかと思って読み始めたが、どちらかというとトラブルに巻き込まれ続けて最後に種明かしみたいな感じだった。トリックはおおうそうきたかとびっくり。さくさくと話が進み心地よく、掛け合いも楽しい。
推理小説ファンの方にも
物語の中で、条件も状況も証拠も全て開示され、読者は皆挑戦を受けます。ぐずぐずしていたら、無実の青年が有罪になってしまうかもしれません。
ヴィーの考察を聞いて、全てが明らかになった時に、なるほどと思いました。未読の方はチャレンジしてください。
Posted by ブクログ
後味よくスッキリ読み終えました。
このスッキリ感は主要キャラ達の性格の良さによるところもあるのかな? みな好感のもてるキャラ達で、次の活躍を期待してしまいます。ぜひ続編を書いて欲しい!
ミステリーxファンタジーらしいですが、ほぼファンタジーなので、がっつりミステリーを読みたい人には向いてないと思います。しかし、ファンタジーとしては面白い!
続編が出る事を期待して星4個!
匿名
恋愛成分≒0
主人公、聖女ヴィクトリア(ヴィー)さんは、静かに生きようとしたのに無理でしたね… 次巻で大聖女にでも成っちゃいます? 笑〜
物語や展開はとても面白いですし、小道具の使い方も小気味良く、結果まさかの身バレに吃驚でした。惜しむらくは登場人物たちのキャラが全体的にボケて感じられたところです。皆んなに個性は感じるのですが、何か物足りないです。次巻で満たされるでしょうか。
Posted by ブクログ
ジャンルとしては、ミステリーです。主人公が、死者の霊を見たり声を聞いたりできる異能持ちなのに、謎解き自体にはあまり活用されないのが意外でしたが、面白かったです。
真実を明らかにすることで、不幸になる人が増えるかもしれないけど、「他人と違うものが見えるからこそ、見えたものに嘘をついてはいけない(ついたら二度と信用されなくなる)」という師匠の教えが、きちんと主人公の芯になっているところに好感が持てました。(反発する聖女達の言うこともわからないではないですが)
Posted by ブクログ
意外と面白かった!聖女さまの能力がショボい!みたいなところがあるけど、そのショボさをカバーする“先生”からの教えが聖女を聖女たらんとするところがただのチートよりよほど説得力があった。
Posted by ブクログ
アドラス、冷静に猛進していくかんじが好き。ヴィクトリアがその異能で視たものはそれほど多くないけど、真実を見抜く力がかっこよかった。続編も出るのかなー
Posted by ブクログ
魔法も魔獣も、何なら呪いまで存在するファンタジーな世界観の物語だが、アドラスの正体に迫る部分は完全なるミステリものとして楽しめた。
ファンタジーなのにミステリ部分がしっかりしていたのは嬉しい想定外。
序盤からその片鱗が見えたので「おお、これは!」と俄然期待は上がったが、本当に予想以上だった。
特に真相が明らかになった時と言ったら。
素直に皇子なのか違うのかという論点に注目していたら、全く無防備だった方向からやってきた真相。
痺れました。
「そうきたか!」と。
白が黒に、その逆もまた、な展開。
思い込んでいたキャラの性格がひっくり返るその瞬間。
痺れました(二回目)
そんな真相を明かすのが聖女失格として資格を剥奪されかかったヴィクトリアだったのも、大逆転な感じですっきりできた。
無能ではないのだ。
アドラスは割とチートな戦闘能力を持っていて足止めが足止めにならなかったりする超人的なキャラ。
そんなキャラが終盤どちらかというと精神的に追い詰められるのは少し胸が痛かった。
自暴自棄になっていたというか。
そこからの逆転劇は本当にスカッとするし、様々な伏線が一気に活きる場面なので、是非見て欲しいと思う。
圧倒的劣勢からの一足飛びリーチ一発ツモみたいな感じ。
最高でした。